英語コーチで英語は上達するのか?コーチングの内情

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初めに

私が初めて「英語コーチ」を知った時、うぶにも凄い成果を真に受けてしまったので、「もし本当なら自分の英会話学校は廃業して、生徒さん全てをそこに行かせるのが英語講師としての良心ではないか?」と数日悩んだのを覚えています。(今では笑い話)

その後、英語コーチの「英語上達のからくり」に気付いたので、今でもこうして英語講師をしているわけですが、最近また耳にするようになってきました。

英語コーチのコーチングを受けて挫折した方が、生徒として来るようになってきたからです。そして話を聞くとビックリするようなことがよくあります。

だから、今自分の知っていることや考えていることを述べておくのが、英語講師としての良心ではないかと思いますので、色々書くことにしました。

最初に言っておきますが、私自身、英語講師ですし、英会話学校の経営者でもあります。だからバイアスが入っている可能性は十分ありますので、あくまでひとつの意見としてお聞き下さい。

(実はこの記事は1年前に書いたものの、内容の過激さから一旦公開を見合わせました。最近また思う所があり、内容を若干ソフトにして公開することにしました)

英語コーチの歴史

まずはじめに、簡単に英語コーチの歴史を振り返っておきます。具体的な企業名とかは出せないので伏せ字で行きます。(笑)

まず、R社が高額ながらも2ヶ月で痩せるパーソナジムで大成功します。それを見た他社や個人が参入して、パーソナルジムやパーソナルトレーナーが大人気になります。業界では、R社は次に英会話に参入するのではないか、という噂が流れます。

ところが、先にK社が短期高額の英語パーソナルジムを始めて大成功します。そして教室を増やして行きました。この時、「英語のパーソナルジム」よりも「英語コーチ」という名前の方がキャッチーだったようで、「英語コーチ」という名前が広がって行きました。

そしてそれを見た他社が一斉に英語コーチング事業に参入してきました。もちろんR社も後に参入しました。同時に、今まで独自の英語学習法を主張していたはずの学校もいつのまにか英語コーチングスクールの看板に変わっていきました。こうして多くの英語コーチングスクールが乱立することになったのです。

ちなみに、日本で初めて「英語コーチ」や「英語コーチング」を言い始めたのはP社だったのですが、どうもこの流れには乗らなかったようです。

さて、各社の宣伝方法なのですが、基本的にはインターネットを使ったアフィリエイト広告です。つまり、ブログなどの紹介を通して無料体験や契約がなされた場合、紹介してくれたブログ主に紹介料を払うというものです。

英語コーチ自体が結構高額なのですが、アフィリエイトの紹介料も数万円とかなりの高額でした。だから多くのアフィリエイターが稼ごうとして、英語コーチの体験談やランキングのホームページを作った結果、英語コーチ関係のブログが乱立することになりました。すると、英語に関して検索をすると嫌でも目に入るようになっていったのです。

すると今度は、その人気と高額な受講料に気付いた個人の英語講師が、英語コーチを名乗り始めます。大手なら3ヶ月で50万円位ですが、個人なら月5万でも十分採算が合います。

なぜなら個人で英語講師をした場合、授業料は1回60分で3000円~5000円位ですから、生徒一人当たりの収益は月に1~2万円です。しかし、英語コーチであれば一人で月5万円~10万円になります。そうであれば、英語講師を名乗るより、英語コーチを名乗るほうが儲かるのです。

さらに、英語コーチングスクールで働いていた講師の中には、独立して個人で始める人が出てきます。コーチングスクールで使う教材は基本的には市販のものばかりですから、指導の仕方さえ分かってしまえば、個人でも簡単に出来てしまうのです。

英会話学校のよくある話に、講師が担当の生徒を引き連れて独立するというのがあります。でも大体1年くらいで廃業します。なぜなら生徒単価が安いため多くの生徒数を維持しなければならないのですが、新規集客ができないため生徒数はだんだん減り、最後は経営的に継続出来なくなるのです。

しかし、「コーチングスクールの XXX 出身」を肩書とし、受講料を月5万円ぐらいにすれば、集客も楽です。生徒からすれば大手コーチングスクールと同様のコーチングが半額で受けられますからね。数人の生徒が集まるだけで生活にも困りませんので、継続も容易です。ましてや今では、Skype や Zoom を使ってオンラインでもコーチングが出来るようになりましたからね。

それで近年、個人の英語コーチも一気に増え、英語コーチが乱立しているのです。

英語コーチとは

英語講師が英語を教えるのに対して、英語コーチは英語を教えること自体はせずに、生徒の目標を確認し、勉強の仕方を教え、あとは進捗を管理していく、というのが基本のようです。

基本と言ったのは、英語コーチ自体には特に定義がないので「企業や個人が色んなスタイルでやっている」という感想を持っています。

大手だと、短期間で一気に英語力を上げることを謳っていることころが多く、「科学的英語学習」というのを一つのキーワードとし、1日3時間の英語学習を強要しているところが多い気がします。

個人だと、「科学的英語学習」というのはあまり聞かず、講師自身の経験から得たノウハウを全面に出しているようです。

しかし、傍目から見るとその区別がつきにくく、単に、お金に余裕のある生徒は大手に行き、そうでない生徒は個人の英語コーチを選ぶという選択になっているのではないかと思います。

英語コーチの問題点

個人的には「英語コーチ」というのは、単に名前の話だけで、英語講師には「指導」の仕事もありますので、その面を強調した名前だと思っています。だから良いとも悪いとも思っていません。

ただ、大きな問題が起きていると感じています。

問題1.英語力が低い英語コーチが多い

英語コーチの募集要項を見ていると、必要とされる英語力が低いのです。だから全体として低いだろう思わざるを得ないのです。

大手の英会話学校の募集要項で英語講師に必要な英語力はTOEICなら850です。これは理解できます。おそらく日本人で英語がそれなりに話せる方はそれぐらいはあるでしょう。私の実感とも合います。それ以下だと、本人が何と主張しようとも、英語力が怪しいと私は思ってしまいます。

大手英会話学校もかつて、800に落としたことがあるようなのですが、やはり問題があったようで、すぐに850に戻しました。

さて、英語コーチの募集要項なのですが、必要とされる英語力は多くがTOEIC800なのです。(850のところもあるのは一応言っておきます。そこも一旦800に落としましたがすぐに戻しました)

私は講師を募集するとき、最低でもTOEIC900としているので、私は厳しすぎるのかも知れません。それでも、850はまだ理解できますが、800は理解できません。基準を800に落とした学校が次々と850に戻したと言いましたが、それが全てを語っています。英語力が明らかに足りていないのです。

ところがさらに驚いたことに、中には700のところもあります。学校名は言いません。興味のある方は「学校名 採用」で検索してみて下さい。(最近、1つは800に引き上げ、1つは廃業したみたいです)

また、とある英語コーチ養成講座では「TOEIC700あれば大丈夫。なぜなら英語を教えるのではなく、勉強させるのが仕事だからです」というようなことが書いてありました。さて皆さん、そんなコーチに多額の授業料を払って指導してもらいたいですか?

以下、私の考えです。

英語講師も英語コーチもなるのに資格は要りません。名乗るだけです。実は英語力は必須ではないのです。

でも私は、英語のプロを名乗る以上、最低でもTOEIC900は必要だと思っています。なぜならTOEIC900は多くの日本人が目標として目指し、海外留学経験が無くても努力で取得可能だからです。

昔読んだ本に「TOEIC900は英語ペラペラの入り口に過ぎない」と書いてあったのを見て、当時TOEIC600ぐらいだった私は衝撃を覚えたことがあります。でも今はその通りだと思っています。

今の私は、「TOEIC900は英語のプロの単なるスタート地点に過ぎない」と考えています。だから900に達していないというのは、「プロとしてのスタート地点に立つ努力すら足りていない」と見えるのです。人柄の良し悪し以前の問題なのです。

もちろん、「TOEICは英語テストとして問題がある」とか、「TOEICと実際の英語力は関係ない」という議論があることも理解しています。私もTOEICは英語テストとして問題があるという立場です。

それでも日本でプロとして英語を教える以上、TOEIC900は必須だと私は考えます。日本でTOEICが英語力の大きな基準になっている以上、講師は自らの英語力を証明しなければならないのです。

だから多くの生徒さんが、「ゆくゆくはTOEIC900を取りたい」と考えているなかで、「講師やコーチの英語力が実はTOEC800しかありません」というのは、受講する生徒として許せないと思うのですが、いかがでしょうか?

もちろん各コーチングスクールには立派なノウハウがあるでしょうから、TOEIC700や800で入った講師をTOEIC900以上の英語力まで一気に引き上げてから生徒を担当させているというなら納得できます。

短期間で英語力を上げられる、と主張しているわけですから当然可能な筈です。でも、そんな話は聞いたことがありません。

それどころか最近、コーチングスクールの講師募集ページが分かりにくいところに移動しています。なぜ隠すのでしょうか?

英語力が低くても英語コーチはできるのか

「英語コーチは勉強させるだけだから、高い英語力は要らない」という反論はあります。

例えば、友人にこう言われました。「メダリストを育成するのにメダリストがコーチである必要はない。」

これは正論です。ただ、それに代わる優れた知識や経験が必要でしょう。コーチをコーチとして認めるには、教わる側が、「このコーチに英語力は無いが、〇〇があるから教わりたい」と思える「何か」がいるのです。

現状は、コーチの英語力が高いように生徒に錯覚させているだけではないでしょうか。

中には、「我々にはノウハウがあるからそれを使えば、高い英語力が無くても生徒の英語力を上げるのは可能だ。」という意見もあるでしょう。でもそうなら、最初にコーチの英語力そのものをあげるべきではないでしょうか。それが出来ないのは自己矛盾に陥っています。

また、近年では「ビジネス・コーチング」というのがあります。これは、コーチは教えることを一切せず、会話や質問を通して、相手自身に気づきを与えるものです。「スポーツ的なコーチングではなく、自分はビジネス・コーチングだ」という方もいるでしょう。

でもビジネス・コーチングは、英語を勉強しなければならないという自覚を与えたり、勉強時間のやりくりに示唆を与えるだけです。では、生徒からの英語の質問はどうするのでしょうか。英語学習では必ずつまづく箇所があるのですが、そこはどう乗り越えさせるのでしょうか。

例えば、多くの生徒さんが「to 不定詞と動名詞の違い」や「過去形と現在完了形の違い」でつまづきます。これもやはり「ではどうやったら解決できると思いますか?」と自問自答させるのでしょうか? それで、理解できるようになるのでしょうか?

私は懐疑的です。

私は市販の学習書を常に調査していて、生徒さんの家庭学習に活用しています。おそらく市販のテキストは、ほぼ全て把握しています。時には無名で絶版の学習書でも良い評判を聞けば取り寄せています。だから作者の名前やタイトルの一部を聞いただけで、「ああ、○○ですね!」と言えるのです。

それでも市販の学習書の独学だけで「to 不定詞と動名詞の違い」や「過去形と現在完了形の違い」を理解してもらうのまず無理です。授業で説明しても、十分理解して習得してもらうにはかなりの苦労をしているのです。

だから生徒さんの英語力を上げるには、コーチ自身が英語を教えられるぐらいの高い英語力が必要と考えます。泳げないコーチから泳ぎ方を学びたいとは誰も思わないのです。

問題2.値段が異常に高い

「短期集中で英語力が上がるから結局コスパは安い」というのは、多くのアフィリエイターが使っている決まり文句です。でもそれって単なるポジショントークですよね? 実際は、短期で英語力が上がる人はほんの一部の方だけです。

それで月10万とか15万とか払い続けられますか?

問題3.口コミが信用できない

アフィリエイターへの報酬が大きいので、ネット上はアフィリエイトだらけです。本当の口コミを探すこと自体が難しくなってきました。

個人のブログはほぼ全滅です。ほとんどステマ状態です。「ランキング」「体験談」「比較」とあったらまずアフィリエイトです。一見、客観的な意見を装って、最終的には高額のコーチングスクールの無料体験に誘導しています。

ちなみに見分け方は簡単です。リンク先のアドレスに、数字とアルファベットの羅列があればアフィリエイトです。

PCならクリックすべき場所にマウス・ポインターを持っていくと、リンク先のアドレスが左下に表示されます。

スマホならリンクを押しっぱなしにするとリンク先のアドレスの最初の部分が表示されますが、表示スペースの問題で最初の部分しか表示されません。であれば、以下のアドレスがあればアフィリエイトです。(以下が有名な所です)

https://px.a8.net/ アフィリエイトのA8.net

https://h.accesstrade.net/ アクセストレード

そのリンクをクリックして、無料体験の申込をすると、皆さんが入学した際、このブログを書いた人に多額の手数料が入ります。大体●万円と高額です。

問題4.教え方が適当なコーチが結構いる

これは当初より感じていましたが、無料体験で来られる方が実情を教えてくれ、驚く事が多くなりました。

2つほど例を出します。

Aさん:「海外の同僚と会話がしたいだけなのに、TOEICの勉強を1年間させられた。」
⇒ 何故、会話目的なのにTOEIC? かえって遠回りでは?

Bさん:「海外旅行が目的なのに映画を1本丸暗記するように言われた。それも毎週どこまで覚えたか確認するだけで受講料が月10万円」
⇒ 何故、基本も理解できていない初心者に英検1級レベルの高地トレーニングをやらせるのか?

英語力が高くない方でも、これを聞いておかしいと思いますよね? 目的と手段が噛み合っていません。

さらに最近、次のことが分かってきました。

生徒の目標が何であれ、とにかくTOEICの勉強をさせて、TOEICを受けさせるコーチングスクールがあるらしいのです。TOEICを指導するだけなら教え方はワンパターンで良いし、生徒のTOEICの点数が上がれば、宣伝で使えますからね。

問題5.英語力が上がるのは一部の人だけ

おそらく多くの人は期待したほど英語力が上がらないと思います。

どういう事かというと、英語には上がりやすいポイント、ボーナスステージがあるのです。

例えば、TOEIC600点台の人です。このレベルの方は、短期で一気にTOEICの点数を上げることが可能です。

このレベルの人は、基礎知識はあるものの、英語のスピードに慣れていません。だから、毎日TOEIC教材でシャドーイングを3時間もすれば、3か月で一気に英語力が上がることが期待できるのです。

ちなみに私も、生まれて初めて1ヶ月の海外滞在で、TOEIC600点台後半から800点台後半まで一気に伸びたことがあります。その時は何が起きたか理解できませんでしたが。

一方、このTOEIC600レベルに達していない人は、そもそも基礎知識がまだ身についていないので、英単語や英文法を身に付けなければなりません。しかしよく言われている「3ヶ月で英語力を飛躍的に伸ばす」ことまず不可能です。つまり、多くの人は殆ど英語力が伸びないのです。

問題6.結局、やる気があれば独学で十分

つまり、英語コーチが英語を教えず、ひたすら参考書や問題集をやらせるだけなら、自分ひとりで出来てしまうということです。

例えば、どこのコーチングスクールでも1日3時間は要求します。でも、1日3時間勉強したら、普通に英語力は上がります。

私の生徒でも毎日3時間勉強して、1年足らずでTOEICを400から800位まで上げて、海外勤務に喜んで行ってしまった生徒もいますからね。

他にも毎日3時間勉強して、1年で英語を話せるようになった方はいます。

1日3時間、本気でやるなら英語力が伸びない方がおかしいのです。逆に言うと、1日3時間本気で英語が勉強できるなら、なぜ月10万円も払う必要があるのでしょうか?

なぜこの記事を書いたのか

最初に述べたとおり、他で英語コーチを試してから私の学校に来る方が増えてきました。よく聞く有名なスクールもあれば、個人の先生の場合もあります。

それぞれの英語講師や学校には独自の考え方があります。英語の教え方や学び方に唯一の正解がある訳ではないと思っています。だからみんな違っていても良いと思っています。生徒さんは、考え方の合うところに行けば良いと思うのです。

ところが、コーチされた内容を聞くと、私が愕然とするような、おかしなコーチングを受けていることがよくあるのです。それは「4. 教え方が適当なコーチが結構いる」で書いた内容です。

「苦しんでいる癌患者に怪しげな民間療法を高値で売りつける」という話は昔からよく聞きますが、英語学習も段々似てきたなぁ、と最近つくづく思います。

だから警告を発したいと思いこの記事を書いたのです。

ちなみにコンピューターのプログラミング・スクールも似た状況が起きていますね。高額だけど短期で技術が身につくというスクールが大流行りだったのです。しかし、状況は変わりつつあります。卒業生にスキルがあまりないことがばれ、ソフトウェア会社がスクール卒業生の採用を控え始めたからです。それをユーチューバー達が暴露し、生徒が集まらなくなりつつあるようなのです。

このままだと、英語コーチも近いうちに、そうなる気がします。すでにネットのクチコミは荒れつつありますね。

しかし、せちがらい世の中になってきましたね。みんなそんなにお金が欲しいんですかねぇ。。。

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