【初心者でも分かる】even の意味と使い方

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はじめに

この記事は、英会話カーディムの講師 Yasuが、3大英和大辞典(研究社新英和大辞典ジーニアス英和大辞典ランダムハウス英和大辞典)を中心に、OEDを始め英米の英英辞典も参考に、意味と使い方を再体系化し、初心者でも理解しやすいよう簡単な英単語を用いて、基本から順番に説明しております。

even には大きく2つの意味があります。 だから1つの単語が2つの意味を持ってるのではなく、たまたま2つの単語のスペルが同じだったと考えた方が分かりやすいかと思います。

まず、even の構造を図で確認してみて下さい。

even 初心者編

「~でさえ」の even

一つ目の evenです。 「何々でさえ」という意味を作ります。

Even the child can read the book.
その子供「でさえ」その本を読むことができる。
(「誰もがその本を読むことが出来る」という主張が背後にあります)

even は強調したい単語の前に置きます。ただしこの強調というのは、驚きや意外性がある強調であることが重要です。

そしてこの even は強調したい単語の前に置くだけですから、今の例文でも色々な場所を強調できます。

The child can read even the book.
その子供はその本「でさえ」読むことができる。
(「その子供は様々な本を読むことが出来る」という主張が背後にあります)

The child can even read the book.
その子供はその本を読むこと「でさえ」できる。
(「その子供は様々なことが出来る」という主張が背後にあります)

このように強調したい単語の前に置くだけで、「でさえ」の意味を付け加えることができるので、使い方は難しくありません。

「~でさえ」の even の位置

強調したい単語の前に置くだけ、と言いましたが、動詞の場合は少しだけ考えねばなりません。

「置く場所は「be動詞・助動詞の後、一般動詞の前」というルールがあります。

聞いたことがある方もいるのではないでしょうか。 sometimesなど、いわゆる「頻度の副詞」と言われる単語を置く時の位置です。他に、often、usually、などがあります。

上記の例文では助動詞 can が使われていたので、can の後に置きました。

では他の例文でも見てみましょう。

Be動詞

My parents were even angry.
私の両親で怒ってさえいました。

一般動詞

My girlfriend even knows Japanese history.
私のガールフレンドは日本史すら知っている。

一般動詞の場合は、三単現のsの付け忘れに気をつけて下さい。

さて、こんな感じになります。

だから置く場所さえ気をつければそんなに難しい単語ではありません。

even 中級者編

「むしろ」の even

「むしろ~でさえ」の even と言ったほうが良いかもしれません。

一度何かを言っておいて、強調して言い変える場合に使います。

Her song was bad, even the worst.
彼女の歌はひどかった、むしろ最悪でさえあった。

He didn’t say anything, even a word.
彼は何も言わなかった、一言さえ。

このように何か言っておいて、強調のために後から付け加える場合に even を使います。

「むしろ」の even2:比較級

even には比較級を強める働きがあります。

Her help makes my work even more difficult than usual.
彼女の助けは私の仕事を普段よりむしろより難しくする。

You look even better than yesterday.
君は昨日よりむしろ調子よく見える。

ちなみにこの場合は even の代わりに still を使うことも可能です。ただし still は主に書き言葉で使います。still を使うと文が少々硬くなります。

人によってはこの時、even の代わりに much でも良いのではないかと考える人がいると思います。文法的には much を入れても大丈夫ですが、意味が変わってしまいます。

even には「驚きや意外性」が含まれます。だから上の例文でも、彼女が助けてくれればもっと楽になるだろうと言う予想に反して、難しくなるので even が使われているのです。 二つ目の例文も同じです。相手が予想に反してよく見えるので even が使われているのです。

一方、much は比較の大きさを強調します。

Her help makes my work much more difficult than usual.
彼女の助けは私の仕事を普段より大きく難しくする。

単に事実として、 難しくする度合いが大きいことを強調します。

次の例も同じです。単に事実として、相手が昨日よりもよく見える度合いが大きいことを強調します。

You look much better than yesterday.
君は昨日よりかなり調子よく見える。

というわけで、even と much では強調している対象が違うのです。

予想に反していることを強調したい場合は even、程度が大きいことを強調する場合は much を使います。

形容詞「平らな」の even

次は形容詞としての「平らな」evenです。 これは先ほどまでの even とは全然違う単語だと考えていただいた方が分かりやすいです。

The floor is not even in the house.
その家の床は平らではない。

形容詞としての even は、 この「平らな」が基本の意味で、そこから「水平な」「均一な」「等しい」などのニュアンスに広がっていきます。そしてその中でも「五分五分の」と言う表現はよく耳にすると思います。

The game is even.
試合は互角です。

We are even.
私たちは互角です。

The score is even.
得点は同点です。

こんな感じです。

面白いのが偶数という表現で、even number と言います。ちなみに奇数は odd number です。 

2, 4, and 6 are even numbers. 3, 5, and 7 are odd numbers.
246は偶数です。357は奇数です。

またお金の貸し借りがない状態も even と表現します。

I’m even with you.
私は君とは貸し借り無しだ。

これは別の言い方でこう言えます。

We are even.

これは先ほどの例文で出てきましたね。

確かに試合で二つのチームが同点の時、貸し借りがないとも言えますしね。

even 上級者編

動詞「平らにする」の even

ここまで来れば容易に想像がつくと思いますが、even は「平らにする」という意味の動詞として使うこともできます。

ただし単体としては使用頻度が低く、出てもほとんどが熟語としての使い方なので、動詞の even はあまり気にしなくても大丈夫だと思います。 

even でよく使う熟語

even if と even though「たとえ~だとしても」

この2つは非常に混乱しやすいのでここでまとめて説明します。まず if と though の使い分けの違いは、even if が「仮定の話」であり、even though が「事実の話」であることです。

I’ll go to work even if it rains.
仮に雨が降るとしても、私は仕事に行きます。
(雨が降るかどうかは分からない)

I’ll go to work even though it rains.
雨は降っていますが、私は仕事に行きます。
(雨が降ってるのは既に確定)

このように、仮定を置いて話す時に使うのが even if、事実を語り「それにもかかわらず」という意味で使うのが even though です。

※ 未来形にもかかわらず、ここで rain が現在形で使われてるのは「時・条件の副詞節」だからです。よくわからない方は文法書を確認してください。

even now「今でさえ」

通常否定文で使います。

Even now, I can’t believe her words.
今でも彼女の言葉が信じられません。

even の意味が「~でさえ」と言うことさえ覚えておけば、特に難しくはありません。

even so「そうだとしても」

「逆説の even so」とも言えます。固い文章なので、文頭に置くことで前の文節に対する反論を述べます。however と同じとも言えますが、howeverよりも強い意味になります。

He is young. Even so [= However], he is smart.
彼は若い。そうだとしても、彼は賢い。

get even with ~「~に借りを返す」

先ほど even に「貸し借り無し」 という意味があると言いましたが、 「貸し借りをなしにする」、つまり「借りを返す」と言いたい時にこの表現を使います。

I’ll get even with him next time.
次回はやつに借りを返してやる。

break even「損得なしになる」

Our company will break even this year.
我が社の収支は今年トントンだろう。

They worked hard, but they broke even last year.
彼らは一生懸命働いたが、去年の収支はトントンだった。

even 英語オタク編

even に大きく二つの意味があるというのは、非常に分かりにくく、even の歴史を追いかけてようやくいくらか理解できます。

上でも少し述べましたが、even の本来の意味は「平らな(凹凸がなく水平な)」です。 

だから「同じく」「均一に」などの意味が発展してできたことは容易に想像できます。

ところが16世紀に「~でさえ」の意味が生まれ、その後 even if などの表現が出来てくるのですが、OEDを調べても分かるのは実はここまでなのです。

そこで、いろいろ調べてみると、Online Etymology Dictionary に興味深い記述があります。

Modern adverbial sense (introducing an extreme case of something more generally implied) seems to have arisen 16c. from use of the word to emphasize identity (“Who, me?” “Even you”).

Online Etymology Dictionary

これによると、「~でさえ」というのは、「同じ」ということを強調する用法から生まれたそうです。例として「Who, me?(誰、私?)」「Even you.(君もだよ)」というのが載っています。

つまり、「平らな」から「同じ様に」と言う意味が生まれ、その後「同じ様に~も」という表現が生まれ、「~でさえ」と意味が発展していったようです。ところが、後から出来た「~でさえ」の方が使用頻度の高い使い方になってしまい、逆に「平らな」という意味が変に聞こえるようになってしまったのです。

説明は以上です。お疲れ様でした。

参考文献:
研究社新英和大辞典ジーニアス英和大辞典ランダムハウス英和大辞典ビジネス技術実用英語大辞典新編英和活用大辞典リーダーズ英和辞典+プラスウィズダム英和辞典OEDOALDロングマン現代英英辞典Oxford Learner’s ThesaurusLongman Pronunciation Dictionary、その他、オンライン上の英英辞典を一通り確認しています。

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