「明日は晴れるかな?」「あの会議、時間通りに終わるかな?」
日常会話で「おそらく」「たぶん」「もしかしたら」といった、未来を予測したり可能性について話したりする言葉、私たちはとてもよく使いますよね。これを英語で言おうとした時、”probably”, “perhaps”, “maybe” のどれを使えばいいか、頭に「?」が浮かんでしまった経験はありませんか?
これらの単語はどれも似たような意味に見えるため、多くの英語学習者が使い分けに悩みます。しかし、実はネイティブスピーカーは、その状況の「確からしさ」や「場面のフォーマルさ」、伝えたい「ニュアンス」によって、ごく自然にこれらの言葉を使い分けているのです。この使い分けができるようになると、あなたの英語はより自然で、表現力豊かなものに変わります。
この記事を読めば、あなたも今日からその感覚が分かり、自信を持って「おそらく」を表現できるようになります。英語学習を再スタートしたばかりの方にも分かりやすいように、たくさんの例文と共に、ゼロから丁寧に、そして深く解説していきます。
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一番大切なポイント:確実性の違いで使い分ける
3つの単語を使い分ける上で、最も重要で基本的なルールは「確実性の度合い」です。話している本人が、その事柄が起こる可能性をどれくらい高いと思っているか。この「確信度」によって、使うべき単語が決まります。
Probably: 確信度80%の「たぶん」 – 根拠のある予測
“Probably”は、3つの中で最も確実性が高い言葉です。日本語では「たぶん~だろう」と訳されますが、その背景には「高い確率でそうなるだろう」という強い予測や、何らかの客観的な根拠が存在します。単なる当てずっぽうではなく、「証拠に基づいた推測」というニュアンスです。
- She will probably pass the exam. She studied very hard.彼女はたぶん試験に合格するでしょう。とても熱心に勉強していましたから。(「熱心に勉強していた」という明確な根拠があるため、合格の可能性は非常に高いと話者は考えています。)
- It will probably rain this afternoon. The sky is getting dark.今日の午後はたぶん雨が降るでしょう。空が暗くなってきました。(「空が暗い」という目に見える事実から、雨が降る可能性が高いと科学的に判断しています。)
- I’ll probably be a little late for dinner. The traffic is terrible.夕食に少し遅れると思います。渋滞がひどいので。(「渋滞」という具体的な理由があるため、遅れることを高い確率で予測しています。)
否定形 “probably not”(たぶん~ないだろう)もよく使われます。これも同様に、何らかの根拠に基づいています。
- He probably won’t come to the party. He said he was feeling sick.彼はたぶんパーティーに来ないでしょう。気分が悪いと言っていましたから。(「気分が悪いと言っていた」という情報が根拠になっています。)
Maybe / Perhaps: 確信度50%の「もしかしたら」 – 五分五分の可能性
“Maybe” と “Perhaps” は、”probably” よりも確実性がぐっと低く、「そうなるかもしれないし、そうならないかもしれない」という、まさに五分五分の可能性を示します。日本語の「もしかしたら~かもしれない」「ことによると~かもしれない」という言葉がぴったりです。こちらは “probably” のような強い根拠はなく、単なる可能性の一つとして提示するイメージです。
この2つの単語の確実性はほぼ同じだと考えて問題ありません。どちらを使うかは、後述する「フォーマルさ」で決まります。
- “Are you going to the party tonight?” “Maybe. I’m not sure yet.”「今夜のパーティーに行く?」「たぶんね。まだ分からないんだ。」(行くか行かないか、可能性が半々であることを示しています。行くかもしれないし、行かないかもしれない、というニュアンスです。)
- Perhaps this is the book you’re looking for.ことによると、これがあなたが探している本かもしれません。(そうかもしれないし、違うかもしれない、という不確かな状況で、可能性の一つを提示しています。)
- Maybe we can go to the beach this weekend, if the weather is good.もし天気が良ければ、今週末はビーチに行けるかもしれないね。(天候という不確定な要素に左右されるため、確信度は低い状況です。)
確実性のものさしで見てみよう
感覚を掴むために、確実性をパーセンテージで表した「ものさし」で見てみましょう。このものさしを頭の中に描けるようになると、単語選びがスムーズになります。
- 100% (確実・絶対): a hundred percent, definitely, certainly
- 80-90% (たぶん・ほぼ確実): probably
- 40-60% (もしかしたら・あり得る): maybe, perhaps, possibly
- 10-20% (たぶんない・なさそう): probably not, unlikely
- 0% (絶対にない): definitely not, certainly not
まずはこの「ものさし」を意識して、「今、自分が言いたいことの確信度はどのくらいだろう?」と考える練習をしてみましょう。それだけで、使い分けの精度が格段に上がります。
Maybe vs. Perhaps: シーンで選ぶカジュアルとフォーマル
さて、「確実性が同じくらいなら、MaybeとPerhapsはいつ、どう使い分けるの?」という疑問が当然湧いてきますよね。ここでの答えは、英語のコミュニケーションにおいて非常に大切な「フォーマルさの度合い」です。話している相手や状況(TPO)に合わせて、ふさわしい方を選びましょう。
Maybe: 友達との会話で使うカジュアルな「たぶんね」
“Maybe” は、主に日常会話で使われるインフォーマル(カジュアル)な言葉です。友人や家族とのリラックスした会話、気を使わない間柄でのやり取りに最適です。テキストメッセージやSNSでのやり取りでも頻繁に見かけます。
- Maybe we should order pizza tonight.今夜はピザを注文しようかな。(友人や家族との夕食の相談のような、ごく日常的でカジュアルな場面です。)
- “Do you want to go shopping this weekend?” “Maybe, if I finish my work.”「今週末、買い物に行かない?」「仕事が終われば、たぶんね。」(友人同士の気楽な週末の予定についての会話です。)
ビジネスシーンなど、フォーマルな場で “Maybe” を使うと、少し子供っぽく聞こえたり、状況を軽く見ているような印象を与えてしまう可能性があるので注意が必要です。
Perhaps: 少し丁寧さがほしい時の「ひょっとすると」
“Perhaps” は、”Maybe” よりもフォーマルで、少し丁寧、かつ知的な響きを持つ言葉です。そのため、書き言葉(レポートやメール)、ビジネスシーン、学会での発表、目上の方との会話などで好んで使われます。
- Perhaps it would be better to check the data one more time.念のため、もう一度データを確認した方がよろしいかもしれません。(ビジネスの場で、同僚や上司に丁寧に提案している場面です。断定的な響きを避け、相手への配慮を示しています。)
- Perhaps you left your umbrella on the train.ひょっとすると、傘を電車に置き忘れたのかもしれませんね。(相手に何かを指摘する際に、直接的な表現を避け、断定的な響きを和らげることで、丁寧で思いやりのある印象を与えます。)
このように、同じ「もしかしたら」でも、相手や状況によって “Maybe” と “Perhaps” を的確に使い分けることで、あなたの英語はより洗練され、コミュニケーションが円滑になります。
置く場所で変わる自然さ:文中での正しい位置
単語の置き場所(文中での位置)も、自然な英語に聞こえるかどうかを左右する大切な要素です。文法的に間違いではなくても、不自然に聞こえてしまうことがあります。それぞれの単語には、ネイティブが最もよく使う「定位置」があります。
MaybeとPerhapsは「文の最初」が基本
この2つは、文の頭に置いて、文全体のトーンを「もしかしたら」という不確かなものに設定するのが最も一般的です。
- Maybe I’ll go for a walk later.あとで散歩に行こうかな。
- Perhaps the store is already closed.ことによると、その店はもう閉まっているかもしれません。
文の最後に置くことも可能で、その場合は「〜かなあ」「〜かもね」といった、後から付け加えたような、あるいは少し発言を和らげるようなニュアンスになります。
- We could go to the movies, perhaps?映画に行くとか、どうかな?
Probablyは「文の途中」が自然
“Probably” の定位置は文中です。ここには明確なルールがあります。
- be動詞(am, is, are, was, were)の後ろ
- 一般動詞(go, eat, studyなど)の前
このルールを覚えておくと、常に自然な位置に置くことができます。
- She is probably at home now. (be動詞 “is” の後ろ)彼女はたぶん今、家にいます。
- He probably forgot about our appointment. (一般動詞 “forgot” の前)彼はたぶん私たちの約束を忘れてしまったのでしょう。
- They will probably arrive soon. (助動詞 “will” と一般動詞 “arrive” の間)彼らはもうすぐ到着するでしょう。
“Probably” を文頭に置くことも稀にありますが、それはその「可能性」を特に強調したい場合で、少しドラマチックな響きになります。まずは基本の「文中」をマスターしましょう。
一歩進んだ使い分け:言葉が持つニュアンス
確実性、フォーマルさ、文中の位置という3つの基本ルールをマスターしたら、最後にそれぞれの単語が持つ微妙なニュアンスの違いも知っておくと、表現の幅がさらに豊かになり、ネイティブの感覚に一歩近づけます。
Maybeが持つ「偶然性」や「不確かさ」のニュアンス
“Maybe” には、「どうなるかは分からない」「運次第かな」といった、少し成り行きに任せるような、あるいは話者自身の不確かさや迷いを強調するニュアンスが含まれることがあります。
- Maybe it was meant to be.たぶん、そうなる運命だったんだよ。(人の力ではどうにもならない「運命」や「偶然」のようなものを感じさせます。)
- “What should we do?” “I don’t know. Maybe just wait and see.”「どうしようか?」「分からないな。まあ、待ってみるしかないかもね。」(積極的な解決策ではなく、状況を受容するような、少し受動的な態度が感じられます。)
Perhapsが持つ「丁寧な提案」や「思慮深さ」の響き
“Perhaps” は、何かを控えめに、しかし思慮深く提案するような響きを持つことがあります。フォーマルさと相まって、知的で落ち着いた、丁寧な印象を与えます。相手の意見を尊重しつつ、自分の考えを穏やかに伝えたい時に非常に便利です。
- Perhaps we should consider another option.別の選択肢も検討してみてはいかがでしょうか。(”We must consider another option.” (別の選択肢を検討しなければならない) と言うよりも、はるかに柔らかく、協調的な響きになります。)
- This is, perhaps, the most important discovery of the century.これは、ことによると、今世紀で最も重要な発見かもしれません。(断定を避けることで、客観的で慎重な科学者のような、思慮深い態度を示しています。)
英語学習者が一番間違えやすい! Maybe と May be の違い
最後に、多くの英語学習者が混乱し、英作文などで間違えやすい “Maybe” と “May be” の決定的な違いについて、しっかりと解説します。発音はほとんど同じですが、品詞も意味も使い方も全く異なります。
- Maybe (1語): これは副詞で、「たぶん、もしかしたら」という意味。これまで解説してきた単語です。文の飾りとして機能します。
- May be (2語): これは助動詞 “may”(~かもしれない)と動詞 “be” が組み合わさった動詞句です。文の「述語」として機能します。
例文で構造の違いを見てみましょう。
- Maybe he is tired. (彼はたぶん疲れている。)→ この文の主語は “he”、動詞は “is” です。”Maybe” は文全体を修飾する副詞です。
- He may be tired. (彼は疲れているかもしれない。)→ この文の主語は “He”、動詞(述語)は “may be” です。
意味は非常に似ていますが、文法的な役割が全く違うのです。
見分け方は「Perhaps」に置き換えてみること
この2つを確実に見分けるための、魔法のような簡単なテストがあります。それは、その部分を “Perhaps” に置き換えられるかどうかを試してみることです。”Maybe” は “Perhaps” とほぼ同じ意味の副詞なので、置き換えが可能なはずです。
- “Maybe he is tired.” → “Perhaps he is tired.” (意味が通じる!) → だから Maybe (1語) が正しい。
- “He may be tired.” → “He perhaps tired.” (意味が通じない!不自然!) → だから may be (2語) が正しい。
この違いは書き言葉で特に重要になります。この「Perhapsテスト」をぜひ覚えて、自信を持って使い分けられるようになりましょう。
まとめ:もう迷わない!「おそらく」の使い分け早わかり表
これまでの全てのポイントを、一覧表にまとめました。会話中や英作文で迷った時は、この表を頭に思い浮かべてみてください。
単語 | 確実性 | フォーマル度 | 文中での位置 | 主なニュアンス・機能 |
Probably | 高い (約80%) | ニュートラル | 文中 (be動詞の後/一般動詞の前) | 根拠があり、確信に近い予測 |
Perhaps | 低い (約50%) | フォーマル | 文頭が基本 | 丁寧な提案、思慮深い可能性の提示 |
Maybe | 低い (約50%) | カジュアル | 文頭が基本 | 気軽な可能性、不確かさ、偶然性 |
最後に:たくさん使って、たくさん間違えて、感覚を掴もう
いかがでしたか?3つの「おそらく」の違いが、かなりクリアになったのではないでしょうか。
最初はルールが多くて難しく感じるかもしれませんが、一番大切なのは「確実性の違い」を常に意識することです。まずは「これは80%くらい確実かな?それとも50%くらいかな?」と自問自答する癖をつけるところから始めてみてください。
そして、英語学習で最も大切なのは「実践」です。映画や海外ドラマで俳優がどんな表情で、どんな場面でこれらの単語を使っているかに耳を澄ませてみましょう。好きな洋楽の歌詞の中で探してみるのも楽しい練習になります。たくさんの生きた実例に触れることで、頭で考えなくても、感覚的に使い分けられるようになっていきます。
間違いを恐れないでください。今日から、あなたの英会話や日記に “probably”, “perhaps”, “maybe” を意識して取り入れてみてください。たくさん使って、たくさん間違えることこそが、本当の意味で言葉を自分のものにする一番の近道なのです。

英会話カーディム講師。元外資系エンジニアでMBA保持者。海外留学なしに国内で独学にて英語を習得。ラテン語や印欧語、英語史の知識を持ち、英文法を含めた英語体系に詳しい。英語オタクで出版された英和辞典や英文法書は絶版も含めて殆ど持っている。
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