「英語の勉強を始めたけれど、似たような単語の使い分けが難しい…」と感じていませんか?特に、日本語では同じ「仕事」と訳される「work」と「job」は、多くの学習者がつまずきやすいポイントです。
まずは、こちらのYouTube動画で基本的な違いをサクッと確認してみましょう。動画で概要をつかむだけでも、大きな一歩です。
動画で基本を掴んだら、ぜひこの記事を読み進めてみてください。この記事では、さらに内容を深く、そして話題を広く掘り下げていきます。単に単語の意味を覚えるだけでなく、ネイティブが持つ「感覚」を掴むことを目指しましょう。読み終える頃には、二つの単語の違いが明確になり、自信を持って使い分けられるようになりますよ。
基本の「き」:「work」vs.「job」の根本的な違い
まず、最も大切な核となる違いから見ていきましょう。この二つの単語は、数えられるか数えられないか(可算性)と、言葉が指し示す範囲の広さに大きな違いがあります。この点を押さえるだけで、混乱は一気に解消されます。
「work」とは? – 活動や努力そのものを指す言葉
「work」は、肉体的または精神的な努力や活動全般を指す、とても広い意味を持つ言葉です。一番のポイントは、基本的には数えられない名詞(不可算名詞)であるという点です。「作業」や「労働」といった、具体的な形のない概念だとイメージしてください。水や空気のように、一つ、二つと数えられないものと捉えると分かりやすいかもしれません。
- 一般的な活動・努力・タスクとしてこの意味での「work」は、具体的な「職」そのものではなく、「作業」や「労働」といった行為や概念を指します。数えられないので、”a”を付けたり、複数形の”s”を付けたりはしません。例文:I have a lot of work to do today.(今日、やらなければならない仕事がたくさんあります。)Learning English takes hard work.(英語の学習には大変な努力が必要です。)This project requires a great deal of work.(このプロジェクトには、多大な労力が必要です。)
- 「職場」や「勤め先」として「work」は「職場」という意味でもよく使われます。これも具体的な会社の名前などを指すのではなく、「働く場所」という抽象的な概念です。「go to work (職場へ行く)」「at work (職場で)」「leave work (退社する)」のように、決まった形で使われることが多いです。例文:I go to work by train.(私は電車で職場へ行きます。)He is at work now.(彼は今、職場にいます。)What time do you usually finish work?(普段、何時に仕事が終わりますか?)
「job」とは? – 特定の「職業」や「地位」を指す言葉
一方、「job」は、お金をもらうための特定の職業や地位、つまり「職」そのものを指します。 こちらは数えられる名詞(可算名詞)なので、一つなら”a job”、複数なら”two jobs”のように数えることができます。「先生」や「医者」「エンジニア」といった、具体的な肩書きをイメージすると分かりやすいです。求人広告に載っている一つ一つの募集が「a job」です。
例文:
She is looking for a new job.
(彼女は新しい仕事を探しています。)
He has two jobs to pay for his school.
(彼は学費を払うために、二つの仕事を掛け持ちしています。)
I applied for a part-time job at the convenience store.
(私はコンビニのアルバイトに応募しました。)
まとめ:違いが一目でわかる比較リスト
- work
- 意味:一般的な活動、努力、労働、職場
- 可算性:数えられない(不可算名詞)
- 範囲:広い・抽象的
- 報酬:必ずしもお金が関わるわけではない(家事や勉強など)
- job
- 意味:特定の職業、地位、職務
- 可算性:数えられる(可算名詞)
- 範囲:狭い・具体的
- 報酬:基本的にお金が関わる
この二つの関係を理解するために、「全てのjobはworkの一種だけれど、全てのworkがjobではない」と覚えておくと非常に便利です。例えば、「教師(a job)」は「働くこと(work)」に含まれます。しかし、趣味のガーデニングやボランティア活動といった「work(労力、活動)」は、必ずしも「job(職業)」ではありません。この包含関係を頭に入れておくと、使い分けに迷った時の良い指針になります。
もっと詳しく!場面別の使い分けレッスン
基本がわかったところで、次は具体的なシチュエーションでどちらを使うべきか、さらに深く見ていきましょう。例文を声に出して読んでみると、感覚が掴みやすくなりますよ。
「work」が適切な場面
- 一般的な労働や努力について話すときやるべき作業の量や、何かを成し遂げるための努力について語る際は「work」を使います。例文:It takes a lot of work to build a house.(家を建てるには、多くの労力が必要です。)I appreciate all your hard work on this report.(このレポートに対するあなたの多大な骨折りに感謝します。)
- 家事やボランティアなど、無償の活動お金が支払われない活動も「work」で表現できます。「housework(家事)」や「yard work(庭仕事)」、「volunteer work(ボランティア活動)」のように、他の単語と結びついて使われることも多いです。例文:I do most of the work around the house on weekends.(週末は、私が家事のほとんどをこなします。)She does a lot of volunteer work for the community.(彼女は地域のために多くのボランティア活動をしています。)
- 機械などが「機能する」「作動する」とき「work」は動詞としても非常によく使われます。この「機能する」という意味はとても便利なのでぜひ覚えておきましょう。人や計画などが「うまくいく」という意味でも使われます。例文:My computer isn’t working properly.(私のパソコンは、正常に作動していません。)The medicine worked wonders for my headache.(その薬は私の頭痛に驚くほど効きました。)Our plan worked perfectly!(私たちの計画は完璧にうまくいきました!)
「job」が適切な場面
- 具体的な職業について話すとき「教師」「医者」「エンジニア」など、特定の職種を指す場合は「job」がぴったりです。「full-time job (常勤の仕事)」や「dream job (夢の仕事)」といった表現もよく使われます。例文:Being a nurse is a demanding job.(看護師は、体力のいる仕事です。)He finally landed his dream job as a designer.(彼はついにデザイナーという夢の仕事に就きました。)
- 相手の職業を尋ねるとき定番の質問フレーズですね。「What do you do?」や、少し丁寧な「What do you do for a living?」も同じ意味で使えますが、「What’s your work?」とは言わないので注意しましょう。例文:What’s your job?(あなたの仕事は何ですか?)So, what do you do for a living?(それで、お仕事は何をされているのですか?)
- 特定のタスクを褒めるとき相手が何かをやり遂げた時にかける「よくやったね!」という褒め言葉です。「Great work!」も使えますが、これはプロセス全体の努力を称えるニュアンスがあるのに対し、「Great job!」は特定の成果や完成した仕事を称えるニュアンスが強いです。例文:You did a great job on your presentation!(プレゼンテーション、とても良かったですよ!)”I finished cleaning the garage.” “Wow, great job!”(「ガレージの掃除が終わったよ。」「わあ、よくやったね!」)
日本人学習者が間違いやすいポイント
なぜ私たちは「work」と「job」の使い分けに混乱してしまうのでしょうか。それは、日本語の「仕事」という言葉が、英語の「work」(労働、作業)と「job」(職業)の両方の意味をカバーする、とても便利な言葉だからです。
この日本語の感覚のまま英語に置き換えようとすると、不自然な表現になってしまいます。よくある間違いを、なぜそうなるのかという解説付きで見ていきましょう。
- 間違い:My work is a teacher.
- 正解:My job is a teacher.
- 日本語訳:私の仕事は教師です。
- 解説:「work」は活動そのものを指すため、「私の活動=教師」という奇妙な文になってしまいます。具体的な職業・肩書きを説明するときは、必ず「job」を使いましょう。「I work as a teacher.」というように動詞の work を使って表現するのも自然です。
- 間違い:I have many works to do.
- 正解:I have a lot of work to do.
- 日本語訳:やるべき仕事がたくさんあります。
- 解説:一般的な「やるべきこと」や「作業」を指す「work」は数えられない名詞です。そのため、”many” を使って数えることはできません。”a lot of” や “much” を使います。もし、数えられる具体的な用件が複数あるなら、「I have many tasks to do.」と言えます。
- 間違い探し:「I’m looking for a work.」
- 正解:I’m looking for a job. / I’m looking for work.
- 解説:「a work」という言い方は基本的にしません。特定の職を探している場合は「I’m looking for a job.」が最も一般的です。一方、「I’m looking for work.」と言うと、「何か仕事(働き口)を探しています」という、より広い意味合いになります。フリーランスの人が単発の仕事を探している場合などにも使われます。
表現の幅を広げる関連ワード
「work」と「job」をマスターしたら、次は「仕事」に関連する他の単語も覚えて、表現の幅を広げてみましょう。これらの単語を使い分けることで、より細やかなニュアンスを伝えることができます。
- Task(タスク、課された務め)
- より大きな仕事の中の、一つ一つの具体的な作業を指します。To-doリストに書き出すような項目が「task」です。
- 例文:My first task of the day is to check my emails.
- 日本語訳:私の一日の最初の仕事(任務)は、メールをチェックすることです。
- 例文:He was given the difficult task of organizing the event.
- 日本語訳:彼はそのイベントを準備するという難しい任務を与えられました。
- Occupation(職業)
- 「job」よりもフォーマルな言葉で、書類や公的な場面で職業を記入する際に使われることが多いです。日常会話では「job」の方が一般的です。
- 例文:Please state your name, age, and occupation.
- 日本語訳:氏名、年齢、職業を記入してください。
- 例文:Her father’s occupation was a carpenter.
- 日本語訳:彼女の父親の職業は大工でした。
- Career(経歴、キャリア)
- 生涯にわたる職歴全体や、長期的な仕事の道のりを指す言葉です。一つの「job」ではなく、これまでの「jobs」の連なりが「career」になります。
- 例文:She has a successful career in marketing.
- 日本語訳:彼女はマーケティングで輝かしい経歴を築いています。
- 例文:He is thinking about a career change.
- 日本語訳:彼は転職(キャリアチェンジ)を考えています。
- Profession(専門職)
- 医師、弁護士、教師など、高度な専門知識や訓練、資格が必要な職業を指します。尊敬の念が込められることが多い言葉です。
- 例文:The medical profession requires years of study.
- 日本語訳:医療という専門職は、長年の勉強を必要とします。
- 例文:Teaching is a noble profession.
- 日本語訳:教職は崇高な専門職です。
これらの単語は、「work」という大きな概念の中に、それぞれ異なる角度から光を当てています。これらを使いこなせると、あなたの英語表現はぐっと深まります。
さいごに
「work」と「job」の違い、いかがでしたか?最後に、もう一度だけポイントをおさらいしましょう。
- 「work」は数えられない、広くて一般的な「労働」や「活動」。川の流れのようなものです。
- 「job」は数えられる、特定の「職業」。川で釣れる一匹一匹の魚のようなものです。
この二つの核となる違いを意識するだけで、あなたの英語はより自然で正確になります。言語の学習は、時に難しく感じることもありますが、こうした違いを発見し、一つ一つ理解していくプロセスは、とても知的な楽しさに満ちています。今日の学びが、あなたの英語学習の旅を、より豊かで実りあるものにする一助となれば嬉しいです。

英会話カーディム講師。元外資系エンジニアでMBA保持者。海外留学なしに国内で独学にて英語を習得。ラテン語や印欧語、英語史の知識を持ち、英文法を含めた英語体系に詳しい。英語オタクで出版された英和辞典や英文法書は絶版も含めて殆ど持っている。
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