英語の勉強を再開したとき、「言う」や「話す」を意味する単語がたくさんあって、どれを使えばいいか迷った経験はありませんか?
say
, tell
, speak
, talk
…
日本語なら「言う」の一言で済む場面でも、英語では状況や伝えたいニュアンスによって、これらの単語を使い分ける必要があります。似ているようで、実はそれぞれにユニークな個性(ニュアンス)があり、この使い分けができるようになると、あなたの英語はもっと自然で、表現豊かになります。
この記事の基本をまとめたYouTube動画はこちらです。
まずは動画でサクッと概要を掴みたい方は、ぜひこちらをご覧ください。
さらに内容を深く、たくさんの例文を通して理解したい方は、ぜひこのまま読み進めてください。この記事を読み終わる頃には、4つの単語が持つそれぞれのキャラクターがはっきりと見え、自信を持って使い分けられるようになっているはずです。
大きな違いは「内容」vs.「行為」
まず、この4つの単語を大きな2つのグループに分けてみましょう。この最初のステップが、使い分けを理解する上で羅針盤のように役立ちます。
- 内容グループ (
say
,tell
): 「何を」話したか、つまり話の「内容」そのものにスポットライトが当たります。メッセージの中身が主役です。 - 行為グループ (
speak
,talk
): 「話す」という「行為」そのものにスポットライトが当たります。会話や発言というアクション自体が主役です。
この基本の枠組みを頭に入れて、それぞれのグループを詳しく、たくさんの例文と一緒に見ていきましょう。
内容グループ: say vs. tell
この2つは、どちらも「何を言ったか」というメッセージの中身を伝えるときに使いますが、聞き手(誰に伝えたか)を意識するかどうかで大きな違いが生まれます。
say: 「セリフ」をそのまま伝える
say
の核となるイメージは、「言った言葉そのもの」です。まるでセリフにカギ括弧「” “」がつくような感覚で、誰かが発した言葉をそのまま伝えたいときに最適な単語です。焦点はあくまで「言葉の内容」にあります。
過去形は said
(セッド) です。
say の使い方
- 誰が何と言ったか、その内容を伝える。直接話法(” ” を使う)でも間接話法(that を使う)でも、どちらでも使えます。
- She said, “I’m hungry.”(彼女は「お腹が空いた」と言いました。)
- He said that he would be a little late.(彼は少し遅れるだろうと言いました。)
- My mom always says, “Be kind to everyone.”(母はいつも「誰にでも親切にしなさい」と言います。)
- 誰に言ったかを伝えたいときは to が必要。say のすぐ後ろに人 (me, you, himなど) を置くことは絶対にできません。これは多くの人が間違えやすい、とても大事なルールです。
- He said hello to me. (OK)(彼は私にこんにちはと言いました。)
- She said something interesting to us. (OK)(彼女は私たちに何か面白いことを言いました。)
- He said me hello. (NG)
- 意見を述べるときにも使える。自分の考えや提案を切り出すときに便利です。
- I say we should start early tomorrow.(私たちは明日、早く始めるべきだと思います。)
- What do you say to a cup of coffee?(コーヒーを一杯いかがですか?)
- 物事が主語になることもある。時計や標識、手紙などが何かを示している、と表現するときにも使えます。
- The clock says it’s ten o’clock.(時計は10時を指しています。)
- The sign says “Stop”.(その標識には「止まれ」と書いてあります。)
- Her letter said she was enjoying her trip.(彼女の手紙には、旅を楽しんでいると書かれていました。)
tell: 「誰かに情報」を伝える
tell
の核となるイメージは、「相手への伝達」です。誰かに情報を「教える」「伝える」という、情報が相手に向かって流れていくニュアンスが強く、聞き手(誰に伝えたか)が文の重要な要素になります。
過去形は told
(トールド) です。
tell の使い方
- tell のすぐ後ろに「伝える相手(人)」が来るのが基本。say とは違い、to は絶対に使いません。「誰に」伝えるかがセットになっているのが tell の特徴です。
- He told me his secret.(彼は私に秘密を教えてくれました。)
- She told her children a bedtime story.(彼女は子供たちに寝る前のお話をしました。)
- Can you tell me your name?(あなたの名前を教えてもらえますか?)
- 情報を「教える」という意味合いが強い。道案内や時間の伝え方など、「教える」場面で頻繁に使われます。
- Please tell me the way to the station.(駅への道を教えてください。)
- Could you tell me what happened?(何が起こったのか教えていただけますか?)
- 命令や指示を伝えるときにも使う (tell + 人 + to do)。相手に「〜するように」と指示・依頼する定番の形です。
- The doctor told me to get more rest.(医者は私にもっと休息をとるように言いました。)
- My boss told me to finish the report by Friday.(上司は私に金曜日までにレポートを終えるように言いました。)
- 決まった言い方でよく使われる。これらの表現は、相手に何かを伝えるという tell のイメージにぴったりです。
- tell a story (話をする)
- tell a lie (嘘をつく)
- tell the truth (本当のことを言う)
- tell a joke (冗談を言う)
- tell the difference (違いを見分ける)
まとめ: say vs. tell
特徴 | say | tell |
焦点 | 言葉・セリフそのもの | 相手への情報伝達 |
聞き手 | to を使えば表現できる (必須ではない) | ほぼ必須 (tell me のようにすぐ後ろに置く) |
命令 | あまり使われない | よく使う (tell me to... ) |
イメージ | カギ括弧「” “」 (言葉を引用) | 矢印 → (相手に情報を渡す) |
簡単に言うと、誰かが言ったセリフを伝えたいなら say
、誰かに情報を教えたり指示したりするなら tell
と覚えておくと、多くの場面で迷わなくなります。
行為グループ: speak vs. talk
この2つは「話す」というアクションそのものを表しますが、その場のフォーマルさや、会話が一方的か双方向かで使い分けられます。
speak: フォーマルな場で「話す」、言語を「話す」能力
speak
の核となるイメージは、少し硬い「発言する」という感じです。公の場でのスピーチや、言語を話す能力について語るときなど、改まった響きを持つ単語です。
過去形は spoke
(スポーク)、過去分詞形は spoken
(スポークン) です。
speak の使い方
- 言語を話す能力を表す (最重要)。「英語を話せますか?」のように、言語能力について話すときは、必ず speak を使います。これは talk では絶対に代用できない、speak だけが持つ特別な役割です。
- She speaks three languages fluently.(彼女は3カ国語を流暢に話します。)
- Do you speak English?(あなたは英語を話しますか?)
- I want to learn to speak Spanish.(私はスペイン語を話せるようになりたいです。)
- フォーマルな場面やビジネスで「話す」。会議での発言や、大勢の前でのスピーチ、真剣な話合いなど、少し改まった状況で使われます。
- Dr. Ito will speak about the new technology at the conference.(伊藤博士が会議で新技術について講演します。)
- I need to speak with my boss about this serious issue.(この深刻な件について上司と話す必要があります。)
- 電話での決まり文句。電話で相手を呼び出したり、自分が本人であることを伝えたりする際の定番表現です。
- “Hello, may I speak to Ms. Sato?” “Speaking.”(「もしもし、佐藤さんとお話できますか?」「私です。」)
- 一方的に話すニュアンス。必ずしも会話のキャッチボールではなく、講演会のように一人が大勢に向かって発言している状況を指すことが多いです。
talk: カジュアルに「おしゃべりする」
talk
の核となるイメージは、友人や家族との気楽な「おしゃべり」です。speak
よりもずっとカジュアルで、双方向のコミュニケーション、つまり会話のキャッチボールを連想させます。
過去形は talked
(トークト) です。
talk の使い方
- カジュアルな会話、「おしゃべり」。日常的な会話のほとんどは talk で自然に表現できます。リラックスした雰囲気です。
- We talked for hours on the phone last night.(私たちは昨夜、電話で何時間も話しました。)
- I was talking with my friend at a cafe yesterday.(昨日、カフェで友達と話していました。)
- My children are always talking about anime.(私の子供たちはいつもアニメについて話しています。)
- 特定の話題について話し合う。about と一緒に使われることが非常に多く、「〜について話す」という便利なパターンです。
- Let’s talk about our plans for the weekend.(週末の計画について話しましょう。)
- What are you talking about?(何について話しているのですか?)
- 双方向のコミュニケーション。speak が一方的な発言のイメージなのに対し、talk はお互いに意見を交換したり、感情を共有したりする対話のイメージが強いです。まるで言葉のキャッチボールです。
まとめ: speak vs. talk
特徴 | speak | talk |
焦点 | 話すという行為、一方的な発言 | 会話、双方向のおしゃべり |
フォーマル度 | 高い (フォーマル、真剣) | 低い (カジュアル、日常的) |
相互作用 | 一方的なことが多い | 双方向のことが多い |
言語能力 | 使う (speak English ) | 絶対に使わない |
イメージ | 演説、スピーチ、電話 | 井戸端会議、チャット、相談 |
要するに、プレゼンや言語能力の話なら speak
、友人との気軽なおしゃべりなら talk
と使い分けるのが基本です。
最終まとめ
最後に、4つの単語のキャラクターを一言でまとめてみましょう。このイメージを掴めば、もう迷うことはありません。
- say: セリフを言う「アナウンサー」
- tell: 情報を教える「先生」
- speak: 公の場で話す「スピーカー」
- talk: 気軽におしゃべりする「友達」
いかがでしたか?
最初は少し複雑に感じるかもしれませんが、この4つの単語が持つ個性的なキャラクターを意識することが、使い分けマスターへの第一歩です。
ぜひ、これから英語の映画や海外ドラマ、ニュースを見るときに、「今のは say
だったな」「ここはフォーマルだから speak
なんだ」と、意識して聞いてみてください。実際の使われ方に触れることで、理屈ではなく感覚的に、それぞれの単語が持つ「気持ち」や「温度感」が分かってきます。
単なる丸暗記ではなく、言葉の背景にあるニュアンスを感じ取ること。それが、あなたの英語をより豊かで、生き生きとしたものに変えてくれる一番の近道です。今日の学びが、あなたの英語学習の確かな一歩となることを願っています。

英会話カーディム講師。元外資系エンジニアでMBA保持者。海外留学なしに国内で独学にて英語を習得。ラテン語や印欧語、英語史の知識を持ち、英文法を含めた英語体系に詳しい。英語オタクで出版された英和辞典や英文法書は絶版も含めて殆ど持っている。
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