英会話、もっと楽しみたいと思いませんか?
「相手の話が途切れたらどうしよう…」
「ちゃんと聞いているって、どうやって伝えたらいいの?」
「沈黙が怖くて、つい焦ってしまう…」
そんなお悩みを持つ方にこそ知ってほしいのが、英会話の「相槌(あいづち)」です。
実は、上手な相槌は、あなたの英会話を劇的に変える魔法のような力を持っています。相手は「この人は私の話をしっかり聞いてくれる」と感じ、安心して心を開き、もっと話したいと思ってくれるようになるのです。
この記事では、英語の相槌の基本から、日本人が特に間違いやすいポイント、そして文化的な背景まで、初心者の方にも分かりやすく徹底解説します。
まずは、こちらのYouTube動画で基本をサクッと掴むのがおすすめです。
動画で基本を理解したら、ぜひこの記事を読み進めてみてください。動画では語りきれなかった、さらに詳しい解説や豊富な例文、そして今日からできる具体的な練習方法まで、あなたの「聞き上手」への道を全力でサポートします。
なぜ英語の相槌はそんなに大切なの?
そもそも、なぜ英会話で相槌が重要なのでしょうか。英語では相槌のことを「バックチャネリング」と呼びます。これは、会話というキャッチボールにおいて、相手が投げたボールをただ受け止めるだけでなく、「ちゃんと受け取ったよ!」「いいボールだね!」「次も待ってるよ!」とサインを返すようなもの。聞き手が「聞いていますよ」「その話、分かります」「興味があります」といったサインを送る、大切なコミュニケーションの一部なのです。
上手な相槌には、こんなメリットがあります。
- 相手が安心して、もっと深く話しやすくなる
- 会話に心地よいリズムが生まれ、スムーズに続き、途切れにくくなる
- 「聞き上手」「話しやすい人」という良い印象を与え、良好な人間関係を築ける
もし相槌が全くないとどうなるでしょう。相手は壁に向かって話しているような気分になり、「私の話、聞いてるのかな?」「もしかして、つまらない?」「もう話すのをやめた方がいいかな…」と不安になってしまいます。せっかくの会話も、すぐに気まずい沈黙に包まれてしまうかもしれません。相槌は、難しい単語や複雑な文法を知っていることと同じくらい、あるいはそれ以上に、会話の生命線ともいえる重要な役割を担っているのです。
これだけは覚えたい!基本の英語相槌フレーズ集
では、具体的にどんな相槌があるのでしょうか。ここでは、5つの機能に分けて、すぐに使える基本のフレーズを、より多くの例文やワンポイントアドバイスとともにご紹介します。
1. 「うんうん、聞いてるよ」「続けて」のサイン
相手の話を遮らずに「あなたの話に集中していますよ、続けてください」という気持ちを伝える、最も基本的で重要な相槌です。会話の潤滑油のような役割を果たします。
- Uh-huh. (アーハン)
- Mhm / Mm-hm. (ンーフン)
- Yeah. (ヤー)
- Okay. (オーケイ)
- Right. (ライト)
- Go on. (ゴー オン) 「続けて」
ワンポイントアドバイス:
これらの相槌は、イントネーション(声の調子)が命です。語尾を少し上げるように「Uh-huh?」と言うと、「それで、それで?」と相手の話を積極的に促すニュアンスが出ます。逆に、平坦なトーンで言うと、単に「聞いてはいます」という少し冷めた印象になることもあるので注意しましょう。
A: I went to a new cafe in my neighborhood yesterday.
(昨日、近所に新しくできたカフェに行ったの。)
B: Uh-huh?
(うんうん?)
A: And they have a beautiful terrace seat with a great view.
(それでね、眺めのいい素敵なテラス席があるのよ。)
B: Oh, yeah? Go on.
(へえ、そうなの?続けて。)
A: I spent the whole afternoon reading there.
(午後は丸ごとそこで読書して過ごしちゃった。)
2. 「なるほど」「分かったよ」のサイン
相手の言っている内容を理解した、納得したことを示す相槌です。落ち着いたトーンで、語尾を少し下げ気味に言うと「腑に落ちた」という感じが伝わります。
- I see. (アイ スィー)
- 意味: なるほど。(客観的に理解した感じ)
- Okay. (オーケイ)
- 意味: 分かったよ。(指示などを了承した感じ)
- Right. (ライト)
- 意味: なるほど、その通りだね。
- That makes sense. (ザット メイクス センス)
- 意味: 筋が通っていますね、なるほど。
- Got it. / I get it. (ガット イット / アイ ゲット イット)
- 意味: 理解した!分かった!(I seeよりも少しカジュアルで、完全に理解したニュアンス)
ワンポイントアドバイス:
“I see”は「見えました」という文字通りの意味から、「(状況や説明が)見えました→なるほど」というニュアンスで使われます。一方、”I understand”はより深く、心から理解したという強い意味を持つので、少し重い話題や複雑な説明に対して使うと良いでしょう。
A: You need to take this bus and get off at the third stop. The museum is right across the street.
(このバスに乗って、3つ目の停留所で降りてください。美術館は通りの真向かいです。)
B: Got it. Thank you so much.
(理解しました。本当にありがとう。)
3. 「そうだね」「私もそう思う」のサイン
相手の意見や考えに同意する時に使います。「あなたの意見を支持します」という気持ちをはっきりと伝え、相手との一体感を高めることができます。
- Exactly. (イグザクトリー)
- 意味: まさにその通り。
- Absolutely. (アブソルートリー)
- 意味: 全くその通り。(Exactlyより強い同意)
- That’s true. (ザッツ トゥルー)
- 意味: それは本当だね。
- You’re right. (ユア ライト)
- 意味: あなたの言う通り。
- I agree. (アイ アグリー)
- 意味: 賛成です。
- For sure. (フォー シュア)
- 意味: 間違いないね。(カジュアル)
- Tell me about it. (テル ミー アバウト イット)
- 意味: (同意しすぎて)言うまでもないよ、本当にそうだよね。(カジュアルな強い共感・同意)
ワンポイントアドバイス:
“Tell me about it.”は直訳すると「それについて教えて」ですが、実際の意味は「言わなくても分かるよ、私も全く同じ気持ちだよ」という強い同意です。相手が愚痴や不満を言った時などに使うと、「この人、分かってくれる!」と思ってもらえます。
A: This summer is incredibly hot. I can’t stand it.
(今年の夏は信じられないくらい暑いね。もう耐えられないよ。)
B: Tell me about it! I feel like I’m melting every day.
(ほんとそれ!毎日溶けちゃいそうだよ。)
4. 「え、本当?」「すごい!」のサイン
驚きや感動など、感情が動いた時に使う相槌です。会話がパッと華やぎ、相手も「この話をしてよかった」と感じてくれるでしょう。少し大げさなくらい感情を込めて言うのがポイントです。
- Really? (リアリー?)
- 意味: 本当に?
- Seriously? / Are you serious? (シリアスリー? / アー ユー シリアス?)
- 意味: マジで?本気で言ってる?
- Wow! (ワオ!)
- 意味: うわー!すごい!
- No way! (ノー ウェイ!)
- 意味: まさか!信じられない!
- You’re kidding! (ユア キディング!)
- 意味: 冗談でしょ!
- That’s incredible! / That’s amazing! (ザッツ インクレディブル / ザッツ アメイジング)
- 意味: それは素晴らしい!
ワンポイントアドバイス:
これらの感情を表す相槌は、会話のスパイスです。使うことで、あなたの人間味や素直な感情が伝わり、相手との距離がぐっと縮まります。平坦なトーンで言うと皮肉に聞こえることもあるので、心から驚いた時に、表情とセットで使いましょう。
A: I saw a famous actor on the train this morning!
(今朝、電車で有名な俳優さんを見たの!)
B: Are you serious?! Who was it?
(本気で言ってる?!誰だったの?)
5. 「それは大変だったね」と寄り添うサイン
相手が困ったことや悲しいことを話してくれた時に、共感や同情の気持ちを表す相槌です。優しいトーンで、相手の心に寄り添うように言いましょう。あなたの温かさが伝わります。
- Oh no… (オー ノー)
- 意味: まあ、なんてこと…。
- That’s too bad. (ザッツ トゥー バッド)
- 意味: それはお気の毒に。
- I’m sorry to hear that. (アイム ソーリー トゥ ヒア ザット)
- 意味: それを聞いて残念です。
- That must be tough. (ザット マスト ビー タフ)
- 意味: それは大変でしょう。
- That sounds hard. (ザット サウンズ ハード)
- 意味: それは大変そうですね。
ワンポイントアドバイス:
相手がネガティブな経験を打ち明けてくれた時は、無理にアドバイスをしようとせず、まずは「大変だったね」と気持ちを受け止めてあげることが大切です。あなたの共感的な姿勢が、相手にとって何よりの慰めになります。
A: I lost my wallet on my way home. It had all my cards in it.
(帰り道で財布をなくしてしまったの。カードが全部入ってたのに。)
B: Oh no… That must be so stressful. Is there anything I can do to help?
(まあ…。それはすごくストレスでしょう。何か手伝えることはある?)
【最重要】英語の相槌 vs. 日本語の「あいづち」- 誤解を避けるためのポイント
さて、ここが日本人学習者にとって最も重要なセクションです。良かれと思って使っている日本語の「あいづち」の感覚が、英語の会話では思わぬ誤解を招くことがあります。なぜ違うのか、どうすればいいのか、深く掘り下げていきましょう。
違い1:頻度 – 「心地よい相槌」のリズムが違う
日本語の会話では、相手の話の節目節目で「うん、うん」「はい、はい」とリズミカルにあいづちを打ちます。これは「ちゃんと聞いていますよ」「あなたの話にしっかりついていっていますよ」という丁寧さや同調の表れであり、会話をスムーズに進めるための大切な文化です。
しかし、英語の会話で同じように頻繁に相槌を打つと、相手は「話を急かされている」「私の話を遮ってまで、何か言いたいことがあるの?」と感じてしまう可能性があります。英語の相槌は、日本語よりもずっと頻度が少なく、より戦略的に使われるのが普通です。日本語のあいづちが「BGM」のように常に流れているものだとしたら、英語の相槌は「効果音」のように、ここぞというポイントで使われるもの、とイメージすると分かりやすいかもしれません。
違い2:タイミング – 「発言のターン」を尊重する文化
英語の相槌は、相手の話が一段落した「間」や、文の「区切り」(専門的には思考のまとまり)で打つのが基本です。なぜなら、英語の会話は「話し手」と「聞き手」の役割(ターン)が比較的はっきりしているからです。相手が話している間は、相手のターン。そのターンを尊重し、話が終わるのを待つのがマナーとされています。
日本語のように、相手が話している言葉の途中に頻繁に相槌を挟むことは、相手の思考を中断させ、話を奪おうとしている失礼な「割り込み」と捉えられがちです。
違い3:意味合い – 「聞いている」と「同意している」は別物!
これが最大の落とし穴であり、最も注意すべき点です。日本語の「はい」「うん」という返事や、こくこくと頷く仕草は、「あなたの話を聞いていますよ」という傾聴のサインが主な意味で、必ずしも内容に「同意」しているわけではありませんよね。
一方、英語の “Yeah” や “Uh-huh”、そして「頷き」は、多くの場合「その通りだね」「賛成です」という「同意」のニュアンスを強く含みます。
例えば、ビジネスの交渉で、あなたが相手の提案に100%は賛成していなくても、日本語の癖で「Yes, yes…」と言いながら頷いてしまうと、相手は「彼女は完全に同意してくれた」と解釈します。後であなたが「検討します」や反対意見を言おうものなら、「え、さっきは賛成してくれたじゃないか!話が違う!」と、信頼を失いかねない大きなトラブルに発展する可能性すらあるのです。
英語の相槌 vs. 日本語のあいづち 比較表
特徴 | 典型的な英語の相槌 | 典型的な日本語のあいづち |
頻度 | 比較的少ない(ポイントで打つ効果音) | 非常に多い(常に流れるBGM) |
タイミング | 主に話の区切りや間(相手のターンを尊重) | 話の途中でもリズミカルに入る(同調を示す) |
主な意味 | 「聞いている」に加えて「理解・同意」を含むことが多い | 主に「聞いている」「話についていっている」という傾聴姿勢 |
誤解の可能性 | 日本人が多用すると「割り込み」「急かしている」と思われる | 英語話者から「同意した」と誤解され、後で問題になることがある |
英語の相槌、今日からできる練習法
違いが分かっても、長年の癖をすぐに直すのは難しいかもしれません。でも大丈夫。簡単なことから一歩ずつ始めれば、誰でも聞き上手になれます。具体的な練習法をご紹介します。
- 意識して「観察」してみるまずは、映画や海外ドラマ、特に台本のないインタビューやトーク番組で、登場人物がどんな相槌を、どんなタイミングで、どんな声のトーンや表情で使っているか、じっくり観察してみましょう。「ただ聞く」から「分析するように観察する」に変えるだけで、「あ、今の”Really?”は驚きじゃなくて、ちょっと皮肉っぽいな」「この頷きは、同意じゃなくて『続けて』のサインか」など、たくさんの生きた発見があります。
- 頻度を意識的にコントロールしてみるいきなり完璧を目指す必要はありません。いつもの日本語の会話より、「相槌の回数を半分にしてみよう」とか「相手が3〜4文話す毎に1回くらいにしてみよう」など、具体的な目標を立てて意識してみましょう。まずは量より質。「ここぞ!」というタイミングで、効果的な一打を打つことを目指しましょう。
- シンプルな相槌を「声に出して」練習する”Uh-huh”, “Yeah”, “Okay”, “I see” といった簡単なものからでOKです。大切なのは、タイミングとイントネーション。スマホの録音機能を使って、自分の声を録音してみましょう。お手本となるネイティブの音声と聞き比べて、「語尾の上がり方が違うな」「もっと感情を込めた方がいいな」など、客観的に自分の声を分析することが上達への近道です。
- もし分からなければ、正直に、具体的に伝える勇気を持つ一番避けたいのは、分かっていないのに分かったふりをして相槌を打ってしまうことです。これは後々の誤解を生む最大の原因です。もし相手の言っていることが聞き取れなかったり、理解できなかったりしたら、曖昧に相槌を打つのではなく、勇気を出して聞いてみましょう。”Sorry, could you say that again?”(すみません、もう一度言っていただけますか?)”Sorry, I don’t quite understand. Could you explain it in a different way?”(ごめんなさい、ちょっとよく分かりません。違う方法で説明していただけますか?)このように正直に伝えることは、決して失礼なことではありません。むしろ、「あなたの話を真剣に理解しようとしています」という誠実な態度の証拠であり、相手も喜んで力を貸してくれますよ。
- 言葉以外の相槌(非言語コミュニケーション)も忘れずに相槌は言葉だけではありません。優しい眼差しで相手の目を見たり、話の内容に合わせて微笑んだり、驚いた表情をしたり、軽く頷いたり。こうした言葉以外のサインも、非常に強力な相槌です。あなたの「関心」や「共感」を雄弁に物語り、言葉の壁を越えて相手に安心感を与えます。
まとめ
英語の相槌は、単なる会話のテクニックではありません。相手への思いやりや関心を示す、心と心をつなぐコミュニケーションツールです。それは、相手の話というプレゼントを、両手で大切に受け止める姿勢そのものです。
日本語との違いに戸惑うこともあるかもしれませんが、心配はいりません。一番大切なのは、テクニックよりもまず「相手の話を真剣に聞こう」「相手を理解しよう」という気持ちです。その気持ちがあれば、たとえ最初はぎこちなくても、あなたの相槌は必ず相手の心に届きます。
この記事で紹介したフレーズやコツを参考に、まずは一つでも二つでも、実際の英会話で試してみてください。相槌が上手になると、会話がもっと楽しく、もっと深くなり、英語を話すことへの自信も自然と湧いてくるはずです。あなたの英会話が、もっと豊かで楽しいものになることを心から応援しています。

英会話カーディム講師。元外資系エンジニアでMBA保持者。海外留学なしに国内で独学にて英語を習得。ラテン語や印欧語、英語史の知識を持ち、英文法を含めた英語体系に詳しい。英語オタクで出版された英和辞典や英文法書は絶版も含めて殆ど持っている。
★ このブログの運営は、初心者専門英会話カーディム が行っています。★