初めに
私が初めて「英語コーチ」を知った時、うぶにも凄い成果を真に受けてしまったので、「もし本当なら自分の英会話学校は廃業して、生徒さん全てをそこに行かせるのが英語講師としての良心ではないか?」と数日間、本気で悩んだのを覚えています。(今では笑い話)
その後、英語コーチの「英語上達のからくり」に気付いて幻滅し、今でもこうして英語講師をしているわけですが、最近また耳にするようになってきました。
英語コーチのコーチングを受けて挫折した方が、生徒として来るようになってきたからです。そして話を聞くと愕然とするようなことがよくあります。
だから、今自分の知っていることや考えていることを述べておくのが、英語講師としての良心ではないかと思い、色々書くことにしました。
最初に言っておきますが、私自身、英語講師ですし、英会話学校の経営者でもあります。だからバイアスが入っている可能性は十分ありますので、あくまでひとつの意見としてお聞き下さい。
(実はこの記事は1年前に書いたものの、内容の過激さから一旦公開を見合わせました。最近「被害者」をよく見掛けるようになり、被害を抑えるために内容を若干ソフトにして公開することにしました)
英語コーチの歴史
まずはじめに、簡単に英語コーチの歴史を振り返っておきます。具体的な企業名とかは出せないので伏せ字で行きます。(笑)
まず、R社が高額ながらも2ヶ月で痩せるパーソナジムで大成功します。それを見た他社や個人が参入して、パーソナルジムやパーソナルトレーナーが大人気になります。業界では、R社は次に英会話に参入するのではないか、という噂が流れます。
ところが、先にK社が短期高額の英語パーソナルジムを始めて大成功します。そして教室を増やして行きました。この時、「英語のパーソナルジム」よりも「英語コーチ」や「英語コーチング」という名前の方がキャッチーだったようで、そちらの名前が広がって行きました。
そしてそれを見た他社が一斉に英語コーチング事業に参入してきました。もちろんR社も後に参入しました。同時に、今まで独自の英語学習法を主張していたはずの学校もいつのまにか英語コーチングスクールの看板に変わっていきました。こうして多くの英語コーチングスクールが乱立することになったのです。
ちなみに、日本で初めて「英語コーチ」や「英語コーチング」を言い始めたのはP社だったのですが、 P社はどうもこの流れには乗らなかったようです。
さて、各社の宣伝方法なのですが、基本的にはインターネットを使ったアフィリエイト広告です。つまり、ブログなどの紹介を通して無料体験や契約がなされた場合、紹介してくれたブログ主に紹介料を払うというものです。
英語コーチ自体が結構高額なのですが、アフィリエイトの紹介料も数万円とかなりの高額でした。だから多くのアフィリエイターが稼ごうとして、英語コーチの体験談やランキングのホームページを作った結果、英語コーチ関係のブログが乱立することになりました。すると、英語に関して検索をすると嫌でも目に入るようになっていったのです。
すると今度は、その人気と高額な受講料に気付いた個人の英語講師が、英語コーチを名乗り始めます。大手なら3ヶ月で受講料50万円位ですが、個人なら月5万でも十分採算が合います。
なぜなら個人で英語講師をした場合、授業料は1回60分で3000円~5000円位ですから、生徒一人当たりの収益は月に1~2万円です。しかし、英語コーチであれば生徒一人で月5万円~10万円になります。そうであれば、英語講師を名乗るより、英語コーチを名乗るほうが儲かるのです。
さらに、英語コーチングスクールで働いていた講師の中には、独立して個人で始める人が出てきました。コーチングスクールで使う教材は基本的には市販のものばかりですから、指導の仕方さえ分かってしまえば、個人でも簡単に出来てしまうのです。
英会話学校のよくある話に、講師が自分の担当している生徒を引き連れて独立するというのがあります。でも大体1、2年くらいで廃業します。なぜなら生徒単価が安いため多くの生徒数を維持しなければならないのですが、新規集客ができないため生徒数はだんだん減り、最後は経営的に継続出来なくなるのです。
しかし、「コーチングスクールの XXX 出身」を肩書とし、受講料を月5万円ぐらいにすれば、集客も楽です。生徒からすれば大手コーチングスクールと同様のコーチングが半額以下で受けられますからね。生徒が数人集まるだけで生活にも困りませんので、継続も容易です。ましてや今では、Skype や Zoom を使ってオンラインでもコーチングが出来るようになりましたからね。
更に近年では「英語コーチ養成講座」が乱立し始めました。2,3カ月で英語コーチになるための知識や技術を教えてくれるそうです。
それで最近、個人の英語コーチも一気に増え、英語コーチが乱立しているのです。
2023年の時点では、X(旧Twitter)での英語コーチの集客が目立ちますね。
英語コーチとは
英語講師が英語を教えるのに対して、英語コーチは英語を教えること自体はせずに、生徒の目標を確認し、勉強の仕方を教え、あとは進捗を管理していく、というのが基本のようです。
基本と言ったのは、英語コーチ自体には特に定義がないので「企業や個人が色んなスタイルでやっている」という感想を持っています。
大手だと、短期間で一気に英語力を上げることを謳っているところが多く、「科学的英語学習」や「第二言語習得理論」というのを一つのキーワードとし、1日3時間の英語学習を強要しているところが多いです。
個人だと、そういったキーワードは聞かず、講師自身の経験から得たノウハウを全面に出している方が多いようです。
しかし、傍目から見るとその区別がつきにくく、単に、お金に余裕のある方は大手に行き、そうでない方は個人の英語コーチを選ぶ、という選択になっているのではないかと思います。
英語コーチの問題点
個人的には「英語コーチ」というのは、単に名前の話だけで、英語講師には「指導」の仕事もありますので、その面を強調した名前だと思っています。だから良いとも悪いとも思っていません。
ただ、大きな問題が起きていると感じています。
問題1.英語力が低い英語コーチが多い
英語コーチの募集要項を見ていると、必要とされる英語力が低いのです。だから全体として低いだろう思わざるを得ないのです。
大手の英会話学校の募集要項で英語講師に必要な英語力はTOEICなら850です。これは理解できます。おそらく日本人で英語がそれなりに話せる方は最低でもそれぐらいはあるでしょう。私の実感とも合います。そのレベルに達していないと、本人がいくら英語が話せると主張しようとも、英語力が怪しいと私は思ってしまいます。
某大手英会話学校もかつて、800に落としたことがあるようなのですが、やはり問題があったようで、すぐに850に戻しました。
さて、英語コーチの募集要項なのですが、必要とされる英語力の多くがTOEIC800なのです。(850のところもあるのは一応言っておきます。そこも一旦800に落としましたがすぐに戻しました)
私は講師を募集するとき、最低でもTOEIC900としているので、私は厳しすぎるのかも知れません。それでも、850はまだ理解できますが、800は理解できません。私の生徒でもTOEIC800は普通に取れるのです。では彼らに英語が教えられるかと言ったら、無理だと言わざるを得ません。採用基準を800に落とした学校が850に戻したと言いましたが、それが全てを物語っています。英語力が明らかに足りていないのです。
ところが驚いたことに、英語コーチングスクールの中には採用基準がTOEIC700のところもあります。学校名は言いません。興味のある方は「学校名 採用」で検索してみて下さい。(その後、一社は800に引き上げ、もう一社は廃業したみたいです)
また、とある英語コーチ養成講座では「TOEIC700あれば大丈夫。なぜなら英語を教えるのではなく、勉強させるのが仕事だからです」というようなことが書いてありました。さて皆さん、そんなコーチに多額の授業料を払って指導してもらいたいですか?(実はその後、ここの養成講座や出身コーチが色々と問題になっていると言うことをネットで知りました。やっぱり・・・)
さらに最近、英語力が無くても数ヶ月で英語コーチになって儲かるというホームページを見つけてしまいました。いやぁ~、凄いですね。英語力が無くても他人に英語を勉強するように言うだけで、生徒さんの英語力が伸びて、喜んでお金を払ってくれるそうです。もう笑うしかありません(笑)
【2023.05.07 追記】コロナ禍も収まりつつあり、英語コーチの募集も再開し始めています。見ると、募集要項のTOEIC基準を800から880に上げた学校があって「やはりね」と思っていたら、その一方で、なんと650に落とした学校があります。650って子供英会話の募集要項レベルですよ!興味ある方はindeedで検索してみてください。【2024.02.07 追記】650に落としたところが募集要項の点数上げましたね。まぁ、当然ですが。
以下、私の考えです。
英語講師も英語コーチもなるのに資格は要りません。名乗るだけです。実は英語力は必須ではないのです。
でも私は、英語のプロを名乗る以上、最低でもTOEIC900は必要だと思っています。なぜならTOEIC900は多くの日本人が目標としている一つの基準だからです。海外留学経験が無くても努力で取得可能なのです。
昔読んだ本に「TOEIC900は英語ペラペラの入り口に過ぎない」と書いてあったのを見て、当時TOEIC600ぐらいだった私は衝撃を覚えたことがあります。でも今はその通りだと思っています。
今の私は、「TOEIC900は英語のプロの単なるスタート地点に過ぎない」と考えています。だから900に達していないというのは、「プロとしてのスタート地点に立つ努力すら足りていない」と見えるのです。人柄の良し悪し以前の問題なのです。
もちろん、「TOEICは英語テストとして問題がある」とか、「TOEICと実際の英語力は関係ない」という議論があることも理解しています。私もTOEICは英語テストとして問題があると思っていますし、実際の英語力とは乖離がある、という立場です。
それでも日本でプロとして英語を教える以上、TOEIC900は必須だと私は考えます。日本人の多くがTOEIC900をひとつのステイタスと考え、「いつかはTOEIC900を取りたい」と思っている以上、講師はTOEIC900を持っているべきなのです。
大体、TOEIC900ってそんなに難しいわけでもないんですよ。もしそんなに難しかったら、広告でよく見かける「3ヶ月でTOEIC900超えました!」って人が出てくるわけがありません。
だから高いお金を払っているのに「講師やコーチが実はTOEC800しかありません」というのは、受講する生徒として許せないと思うのですが、いかがでしょうか?
もちろん各コーチングスクールには立派なノウハウがあるでしょうから、TOEIC700や800で入った講師をTOEIC900以上の英語力まで一気に引き上げてから生徒を担当させているというならまだ納得もできます。
コーチングを使って短期間で英語力を上げられる、と主張しているわけですから当然可能な筈です。でも、そんな話は聞いたことがありません。
それどころか最近、コーチングスクールの講師募集ページが分かりにくいところに移動していますね。なぜ隠すのでしょうか?
英語力が低くても英語コーチはできるのか
「英語コーチは勉強させるだけだから、高い英語力は要らない」という反論はあります。
例えば、友人にこう言われました。「金メダリストを育成するのにコーチが金メダリストである必要はない。」
これは正論です。ただ、それに代わる優れた知識や経験が必要でしょう。コーチをコーチとして認めるには、教わる側が、「このコーチに英語力は無いが、〇〇があるから教わりたい」と思える「何か」がいるのです。
現状は、コーチの英語力が高いように生徒に錯覚させているだけではないでしょうか。「英語コーチを名乗るぐらいだから当然、英語力も高いはずだ」と。生徒も失礼だから講師やコーチにTOEICの点数なんて聞けませんからね。
中には、「我々にはノウハウがあるからそれを使えば、高い英語力が無くても生徒の英語力を上げるのは可能だ。」という意見もあるでしょう。でもそうなら、最初にコーチの英語力そのものをあげるべきではないでしょうか。それが出来ないのは自己矛盾に陥っています。
また、近年では「ビジネス・コーチング」というのがあります。これは、コーチは教えることを一切せず、会話や質問を通して、相手自身に気づきを与えるものです。自分は「スポーツ的なコーチングではなく、ビジネス・コーチングだ」という方もいるでしょう。
でもビジネス・コーチングは、英語を勉強しなければならないという自覚を与えたり、勉強時間のやりくりに示唆を与えるだけです。では、生徒からの英語の質問はどうするのでしょうか。英語学習では必ずつまづく箇所があるのですが、そこはどう乗り越えさせるのでしょうか。
例えば、多くの生徒さんが「to 不定詞と動名詞の違い」や「過去形と現在完了形の違い」でつまづきます。これもやはり「ではどうやったら解決できると思いますか?」と自問自答させるのでしょうか? それで、理解できるようになるのでしょうか?
私は懐疑的です。
私は市販の学習書を常に調査していて、生徒さんの家庭学習に活用しています。市販のテキストは、ほぼ全て把握しています。時には無名で絶版の学習書でも良い評判を聞けば取り寄せています。だから作者やタイトルの一部を聞いただけで、「ああ、○○ですね!」と言えるのです。
だから生徒さんごとに適切な参考書や問題集をお勧めできるのですが、それでも市販の学習書の独学だけで「to 不定詞と動名詞の違い」や「過去形と現在完了形の違い」を理解してもらうのまず無理です。授業で説明しても、十分理解して習得してもらうにはかなりの苦労をしているのです。それにもかかわらず、「家庭学習だけで学習上のつまづきをすべて克服」なんてまず無理です。(時々「ダメダメな自分でもできたから誰でもできるはずだ!」とか言い出す英語コーチがいるから生徒はたまったものじゃないんですけどね。⇒ 追記:これは情報教材を売る時のテクニックらしいです。)
だから生徒さんの英語力を上げるには、コーチ自身が英語を教えられるぐらいの高い英語力が必要と考えます。25メートルも泳げないコーチから水泳を学びたいとは誰も思いませんよね?
問題2.値段が異常に高い
「短期集中で英語力が上がるから結局コスパは安い」というのは、多くのアフィリエイターが使っているポジショントークです。実際は、短期で英語力が上がる人は「ある条件(後述します)」を満たした一部の方だけです。
大体の人は「短期間で英語力が上がるなら高いけど仕方ない」と言って始めて、「高い金出したのに英語力が全然伸びなかった」となります。で「やっぱりこんなのでうまくいくわけないよね。良い勉強になりました。」と人生の勉強代として割り切るのです。
【2024.04.03追記】これに関しては最近面白いことに気がつきました。当の英語コーチ自身は値段が高いと思っていないのです。例えば、大手英会話学校でネイティブのプライベートレッスンを受けると1時間あたり1万円します。そう考えると、週1回1時間のコーチングを月4回5万円で提供してもそんなに高い気はしませんよね。
これは「売り手の錯覚」ですね。提供してる側からすれば、相応の労力はかけてるし、質の高いサービスだから高価で当然と思ってるわけです。しかしサービスを受け取る側からすれば、そんなことは関係なくて、その価値が自分にとってあるかどうかだけなのです。
例えば、スーパーでお豆腐が2種類売っているとします。1つは生産者が朝から晩まで丹精込めて作った手作りで豆腐ですが、見た目が悪くお値段も200円と高いとします。もう1つは機械で作られた豆腐なので、見た目もきれいでお値段も100円と安いとします。もし味の違いがよくわからなければ、大半の人は100円の豆腐を買うはずです。
でも手作りの豆腐屋さんとしては「丹精込めて手作りで作ったのだから、こちらの方が美味しいはずだし、見た目は問題ではなく、お値段の違い分の価値はある」と言いたくなるでしょう。これは売り手の論理で、買い手の論理とは違うのです。しかし多くの人は往々にしてこの「売り手の錯覚」に陥るのです。
現在、英語コーチングは「短期間で効果がある」と多くの人が思っています。だからお値段が高くても買う人がいるのです。でもこれは単なる「錯覚と流行」で、そのうち多くの人が本当の価値に気づき、値段は落ち着くだろうと私は考えているのです。
問題3.口コミが信用できない
アフィリエイターへの報酬が大きいので、ネット上はアフィリエイトだらけです。本当の口コミを探すこと自体が難しくなってきました。
個人のブログはほぼ全滅です。ほとんどステマ状態です。「ランキング」「体験談」「比較」とあったらまずアフィリエイトです。一見、客観的な意見を装って、最終的には高額のコーチングスクールの無料体験に誘導しています。
ちなみに見分け方は簡単です。リンク先のアドレスに、数字とアルファベットで意味不明の羅列があればアフィリエイトです。
PCならクリックすべき場所にマウス・ポインターを持っていくと、リンク先のアドレスが左下に表示されます。
スマホならリンクを押しっぱなしにするとリンク先のアドレスの最初の部分が表示されますが、表示スペースの問題で最初の部分しか表示されません。であれば、以下のアドレスがあればアフィリエイトです。(以下が有名な所です)
https://px.a8.net/ アフィリエイトのA8.net
https://h.accesstrade.net/ アクセストレード
そのリンクをクリックして、無料体験の申込をすると、皆さんが入学した際、このブログを書いた人に多額の手数料が入ります。大体●万円と高額です。
本当のクチコミを見たかったら、グーグルマップの方が優れています。気になるスクールがあったらGoogleマップで検索してください。
また以下の口コミサイトは割と信用できると思っています。なので私も学校インタビューを受けたことがあります。インタビュアーも良い方で、色々と英語学習の話で盛り上がりました。
2023.05.07 追記】アフィリエイトのリンクが分かりにくいように変えられています。
2023.11.13 追記】新しいアフィリエイト会社が出てきてますね。
問題4.教え方が適当なコーチが結構いる
これは当初より感じていましたが、無料体験で来られる方が実情を教えてくれ、驚く事が多くなりました。
6つ例を出します。すべて実話です。
英語力が高くない方でも、これを聞いておかしいと思いますよね? 目的と手段が噛み合っていません。
さらに最近、次のことが分かってきました。
生徒の目標が何であれ、とにかくTOEICの勉強をさせて、TOEICを受けさせるコーチングスクールがあるらしいのです。TOEICを指導するだけなら教え方はワンパターンで良いし、講師はそもそも英語が話せる必要がありません。そして生徒のTOEICの点数が上がれば、宣伝で使えますからね。
最近ではスクールでの英語コーチの募集もよく見かけますが、学校としてのやり方が特にあるわけではなく、業務委託で採用した講師に丸投げと思われる案件もよく見かけます。英語ができるからと言って効率的な英語学習法を教えられるわけではないのです。
英語の学び方は人それぞれだし、唯一の正解があるわけではありません。だからそれぞれの英語コーチが自分のやり方を伝授するのは別に構わないと思います。ただ明らかに非合理的な方法を生徒に押し付けるのは問題だと思います。
それに生徒にやらせる教材はもっとしっかり吟味すべきです。教材の選択があまりにもいい加減すぎます。私の学校では考えられません。
問題5.英語力が上がるのは一部の人だけ
おそらく多くの人は期待したほど英語力が上がらないと思います。
どういう事かというと、英語力(というよりTOEIC)には上がりやすいポイントがあるのです。私は「ボーナスステージ」と呼んでいます。
具体的には、TOEIC600点前後の人です。このレベルの英語力の方は、短期で一気にTOEIC800点台半ばまで上げることが可能です。私の生徒たちもTOEICが必要になった方にはTOEIC攻略法を教えていますが、2,3カ月で700や800は普通に超えます。
このレベルの人は、高校程度までの基礎知識はあるものの、英語のスピードやTOEICのテスト形式に慣れていません。だから、毎日3時間勉強して、TOEIC教材でシャドーイングしたりTOEICの単語帳や問題集をすれば、3か月で一気に英語力が上がるのです。
ちなみに私も、生まれて初めて1ヶ月の海外滞在で、TOEIC600点台から800点台後半まで一気に伸びたことがあります。その時は何が起きたか理解できませんでしたが、今考えれば私はTOEICのボーナスステージにいたのです。実はTOEICのリスニングは難しくないので、一定のリスニング力を超えると一気に点数が跳ね上がるのです。(なのでTOEIC 900保持者はリスニングがほぼ満点で、リーディングで苦労してる方が大半です。)
一方、このTOEIC600レベルに達していない人は、「3ヶ月で英語力を飛躍的に伸ばす」ことはまず不可能です。なぜかと言うと、そもそも基礎知識がまだ身についていないので、英単語や英文法を身に付けなければなりません。しかし、これらを身につけるのは3ヶ月では全然足りないのです。
問題6.結局、やる気があれば独学で十分
つまり、英語コーチが英語を教えず、ひたすら参考書や問題集をやらせるだけなら、自分ひとりで出来てしまうということです。
例えば、どこのコーチングスクールでも1日3時間は要求します。でも、1日3時間勉強したら、普通に英語力は上がります。
私の生徒でも毎日3時間勉強して、1年足らずでTOEICを400から800位まで上げて、海外勤務に喜んで行ってしまった生徒もいますからね。
以下の方は1カ月でTOEIC700から800に上がっていますね。この方は卒業してしまいましたが、数ヶ月語には900超えているでしょうね。(追記:数か月後に900超えたと連絡が来ました)
他にも毎日3時間勉強して、1年で英語を話せるようになった方はいます。
1日3時間、本気でやるなら英語力が伸びない方がおかしいのです。TOEIC600以上の方なら1日3時間、TOEICに特化した勉強やシャドーイングを行えば、数ヶ月でTOEICは800を超えます。1年頑張れば900を超えても不思議ではありません。逆に言うと、1日3時間本気で英語が勉強できるなら、なぜ月10万円も払う必要があるのでしょうか?
英語コーチが教えるようなテキストや勉強の仕方は、多くの方がYouTubeで無料で公開しています。それで十分ではないでしょうか。
コーチングでよく使われるテキスト
YouTubeやブログで公開してる人もいますが、私も一応書いときます。よく使われるのは以下の3冊です。
【通称】金フレ
【通称】出る1000
【通称】公式問題集
TOEIC600からの戦略
TOEICで高得点を取るにはコツがあります。中学、高校、大学入試などでしっかり英語を学んできた人であれば、実質TOEIC 600ぐらいの力はあるはずです。そういう方であれば、以下3つの攻略法を使って、独学で数ヶ月でTOEIC 800点超えが可能です。
1. TOEIC頻出単語の攻略
TOEICに出てくる単語には癖があります。多くの日本人は大学受験を土台とした英語学習をしてると思いますが、そこではあまり見かけない単語がTOEICには出てきます。なのでTOEIC頻出単語の習得は必須です。
そしてそのための単語集として一番使われているのが「金フレ」なのです。この単語帳を勉強すれば、TOEICで未知の単語に出会う可能性はかなり減ります。
2. Part 5 の攻略
TOEICのリーディングを時間内に全問終わらせるのは至難の技です。そのためパート7は途中から適当にマークシートを塗って終わる、いわゆる「塗り絵」の方が大半です。しかし実はパート7は時間さえあれば正解するのはそれほど難しい問題ではないのです。
そのための有効なのが、Part 5 を短時間で駆け抜けることなのです。
パート5は「短文穴埋め問題 30問」ですが、知っていればすぐに解ける問題ばかりです。なのでこの30問を短時間で正解して終わらせてしまうのです。そもそもここで悩んでるからパート7で時間がなくなるのです。だからここを短時間で終わらせれば、パート7を解く時間が一気に増えます。
つまりパート5を短時間で終わらせることが、パート7の正解数を増やすことにつながるのです。だからパート5の攻略が重要になってくるのです。
そのために使うのが「出る1000」です。パート5に出るパターンの問題を力技で制覇してしまうのです。
3. リスニングの攻略
意外かもしれませんが、実はTOEICのリスニングは簡単です。日本人は英語の音に耳が慣れてないので、トレーニングしさえすれば数ヶ月でTOEICのリスニングは一気に伸びます。その証拠にTOEIC 900を超えた方々の大半は、リスニングはほぼ満点(490位)なのにリーディングは400を少し超えるぐらいです。
そして、リスニング力を鍛えるのに有効なのがシャドーイングです。それも「公式問題集」を使って行うのです。なぜかと言うと実際のTOEICで問題を読み上げるネイティブが、公式問題集でも問題を読み上げているからなのです。同じネイティブでも話し方は様々な癖があります。だから実際の試験で話すネイティブの英語に事前に慣れておけば、TOEIC本番でかなり有利になるというわけなのです。
その他
本気で短期間でTOEICの高得点を目指すのであれば、上記の勉強法を1日2、3時間行うとともに、毎月TOEICを受けてください。1回の試験で高得点を達成しようとは思わないでください。
いくつかの理由があります。
まず、TOEICを頻繁に受けることによって、TOEICの最新の形式に慣れることができます。TOEICは日々変化してるので、市販の参考書では追いつかないのです。
またTOEICの点数は同じ英語力で受けたとしても毎回ばらつきます。TOEICの試験問題を作っているETSも、50点ぐらいの誤差が出ることを、研究者に指摘されて過去に認めています。
それに受験環境が毎回変わります。音が響きやすい教室に当たったり、近くに問題のある受講者がいて集中できなかったりします。常に万全の状態で受験できるとは限らないのです。
というわけでTOEIC 600を超えた方向けに、短期間でTOEICの点数を上げる方法を簡単に説明いたしました。私の生徒さんもこの方法で短期間で800を超えています。英語の基礎力さえしっかりしていれば、短期間で800越えるのは難しくないのです。
TOEIC600以下の方は
初めて受けるTOEICは50点ぐらい低めに出ます。ただそれを差し引いても実力的にTOEIC 600以下の方は先ほどの方法はまだ早いです。先ほどの体験談のCさんもTOEIC 300点台で、今紹介した3冊をやらされていて行き詰まっていました。ですので中学生レベルの別の参考書をおすすめしたら、後で非常に感謝されました。
まずは中学や高校で学ぶ基本英単語と英文法をしっかりと身につけましょう。これらは短期間で身につけることは無理です。さらに中学英語も身についていない方であれば、現時点でTOEIC 400もないはずです。さらに社会人であれば時間がないので、数年単位の長期戦で英語の基礎力を身につけていく必要があります。決して「大金使って短期集中でTOEIC高得点」の甘い誘惑に乗らないでください。それが可能なのは中高の英語力の基本が相応に身についている方のみです。
中学レベルの英語力の方がコーチング半年で100万円使って、ほとんど英語力が伸びなかったという話を聞いたことがあります。本当に残念な気持ちになりました。皆さん、甘い話にはお気を付けください。高いお金を払ったからと言って、英語力が伸びるとは限らないのです。
アフィリエイトブログに騙されず、適切な学校を見つけて行ってください。もし近くに良いところがなければ、私の学校、カーディムもご検討ください。オンラインでも行っていますし、通常の授業料のみでコーチングも行っています。良心的な学校だと自信を持って言えます。
なぜこの記事を書いたのか
最初に述べたとおり、他で英語コーチを体験してから私の学校に来る方が増えてきました。よく聞く有名なスクールもあれば、個人の先生の場合もあります。
それぞれの英語講師や学校には独自の考え方があります。英語の教え方や学び方に唯一の正解がある訳ではないと思っています。だからみんな違っていても良いと思っています。生徒さんは、考え方の合うところに行けば良いと思うのです。
ところが、コーチされた内容を聞くと、私が愕然とするような、おかしなコーチングを受けていることがあまりにもよくあるのです。それは「4. 教え方が適当なコーチが結構いる」で書いた内容です。「苦しんでいる癌患者に怪しげな民間療法を高値で売りつける」という話は昔からよく聞きますが、英語学習も段々似てきたなぁ、と思った次第です。スタイルが違うのは理解できますが、明らかに合理的でないのです。
だから警告を発したいと思いこの記事を書きました。
ちなみにコンピューターのプログラミング・スクールも似た状況が起きていますね。高額だけど短期で技術が身につくというスクールが大流行りだったのです。しかし、状況は変わりつつあります。卒業生にスキルがあまりないことがばれ、ソフトウェア会社がスクール卒業生の採用を控え始めたからです。それをユーチューバー達が暴露し、生徒が集まらなくなりつつあるようなのです。
【2024.2.29追記】短期集中の高額プログラミング・スクールの騒動は一通り落ち着いたみたいですね。
このままだと、英語コーチも近いうちに、そうなる気がします。すでにネットのクチコミは荒れつつありますね。そのうちどこかが問題を起こしてテレビに取り上げられ、一気に英語コーチ人気が下がる気がしています。英語コーチの受講を検討されている方はアフィリエイトを扱ったブログではなく、信頼できる口コミサイトやGoogleマップのクチコミを確認して下さい。
悪評高い「聞き流すだけ」教材がようやく駆逐されたと思ったら、次から次へと色々出てきますね。皆様、お気を付けください。
英会話カーディム講師。元外資系エンジニアでMBA保持者。海外留学なしに国内で独学にて英語を習得。ラテン語や印欧語、英語史の知識を持ち、英文法を含めた英語体系に詳しい。英語オタクで出版された英和辞典や英文法書は絶版も含めて殆ど持っている。
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