英語で「会う」と言いたい時、’see’ と ‘meet’ のどちらを使えばいいか迷った経験はありませんか?
「”Nice to see you.” と “Nice to meet you.” って何が違うの?」
「友達とランチの約束をしたけど、’see’ と ‘meet’、どっちが自然?」
「予約しているのに、なぜお医者さんに会うのは “see a doctor” なんだろう?」
こうした日常的によくある疑問を、この記事でスッキリ解決します。日本語では同じ「会う」でも、英語ではその背景にあるニュアンスを使い分けることで、より自然で、気持ちの伝わるコミュニケーションが可能になります。
まずは約8分で基本を解説したこちらのYouTube動画をご覧ください。
動画で概要を掴んだら、この記事でさらに深く学んでいきましょう。
この記事では、動画の内容に加えて、より多くの例文や詳しい解説、そしてネイティブが持つ「コアイメージ」という感覚的な部分まで掘り下げていきます。この記事を読み終える頃には、あなたが明日から自信を持って ‘see’ と ‘meet’ を使い分けられるようになることを目指します。
根本的な違いは「コアイメージ」にあり
see vs. meet の使い分けをマスターする最大のコツは、それぞれの単語が持つ「コアイメージ(核となるイメージ)」を理解することです。一つ一つのルールを丸暗記するのではなく、この根本的なイメージで捉えることで、様々な状況に柔軟に応用できるようになります。
meetのコアイメージ:点と点が「カチッ」と出会う
‘meet’ のコアイメージは、点と点、あるいは今まで交わることのなかった線と線が「カチッ」と明確に接触する感覚です。まるで、地図上の2つの点が約束の場所でぴったり重なるような、はっきりとしたイメージです。ここから、以下のようなキーワードが連想されます。
- 初めて会う(初対面)
- 計画して会う(待ち合わせ、会議、約束)
- 合流する
- 目的がある
人や物が初めて出会う「はじめまして」の瞬間や、ビジネスの会議、待ち合わせなど、特定の目的を持って計画的に接触する場面で使われます。フォーマルで、目的志向な響きを持つことが多いのが ‘meet’ の特徴です。
seeのコアイメージ:時間の流れの中で「フワッ」と現れる
一方、’see’ のコアイメージは、自分の過ごしている時間の流れの中に、人や物が「フワッ」と自然に現れる感覚です。元々「見る」という意味が基本にある通り、相手が自分の視界に入ってくる、という受け身で緩やかなイメージが根底にあります。
- (知り合いに)会う、顔を見る
- 再会する
- 日常的に会う
- 専門家に診てもらう
- 関係性がある
すでに関係性が構築されている人との継続的な交流や、偶然の出来事、あるいは専門的な視点で見てもらうなど、より広く、緩やかな「会う」場面で使われます。’meet’ のような明確な「点」のイメージとは対照的に、’see’ は継続性のある「線」の関係の中での出来事というニュアンスが強いです。
【場面別】seeとmeetの具体的な使い分け
それでは、具体的な4つの場面を例に、どのように使い分けるのかをさらに詳しく見ていきましょう。
場面1:初対面の挨拶
これは最もわかりやすく、そして重要なルールです。初めて会う人への挨拶は、必ず ‘meet’ を使います。
“Nice to meet you.”
(はじめまして、お会いできて嬉しいです。)
これは決まり文句として覚えてしまいましょう。点と点が出会う ‘meet’ のコアイメージにぴったりですね。
少し丁寧に言いたい場合や、気持ちを強調したい場合は、以下のような表現も使えます。
“It’s a pleasure to meet you.”
(お会いできて光栄です。)
“I’m so happy to finally meet you in person.”
(ついに直接お会いできて、とても嬉しいです。)
※メールや電話でやり取りはしていた相手と、初めて顔を合わせる時などに最適な表現です。
逆に、初対面で “Nice to see you.” と言うと、「(また会えて嬉しい)」という再会のニュアンスになり、相手は「以前どこかでお会いしましたっけ?」と混乱してしまう可能性があります。’see’ はすでに関係性がある(線で繋がっている)人に対して使う言葉だと覚えておきましょう。
ちなみに、一度会ったことがある人には、次からは “It’s nice to see you again.”(またお会いできて嬉しいです)と言うのが自然です。
場面2:約束して会う
友人や知人と約束して会う場合。ここが最も迷いやすいポイントですが、コアイメージを思い出せば大丈夫です。’see’ と ‘meet’ の両方が使えますが、「会う目的」によってニュアンスが大きく異なります。
楽しむことが目的なら ‘see’
会って一緒に時間を過ごすこと自体が目的で、その時間を楽しみにしているカジュアルなニュアンスの場合は ‘see’ が非常に自然です。社交的な活動や、友人・家族との交流はこちらを使うことがほとんどです。
“I’m going to see my friends this weekend.”
(今週末、友達に会う予定です。)
“Do you want to see a movie on Friday?”
(金曜日に映画を観に行かない?)
※この場合「映画を観る」と「会う」の両方の意味が含まれ、会って楽しい時間を過ごすことが強調されます。
“I’m looking forward to seeing you soon.”
(近いうちにお会いできるのを楽しみにしています。)
※これも、再会して一緒に過ごす時間を心待ちにしている気持ちが伝わります。
計画や目的が重要な場合は ‘meet’
時間、場所、議題など、何らかの「目的」を達成するために会う場合や、「待ち合わせる」「合流する」という計画的なニュアンスを強調したい場合は ‘meet’ を使います。ビジネスシーンで多用されるのはこのためです。
“Let’s meet at the cafe at 10 AM to discuss the project.”
(午前10時にそのカフェで会って、プロジェクトについて話し合いましょう。)
※「話し合う」という明確な目的があります。
“I have to meet my client tomorrow morning.”
(明日の朝、クライアントと会わなければなりません。)
※ビジネス上の約束であることが明確です。
“I’ll meet you in front of the station.”
(駅の前で待ち合わせようね。)
※「合流する」という行動に焦点が当たっています。
場面3:偶然会う
街中などでばったり誰かに会った時、その状況によって表現が変わります。ここでも ‘see’ の緩やかなイメージが役立ちます。
「見かけた」だけなら ‘saw’
話しかけはしなかったけれど、相手の姿を認識した。「見かけた」というニュアンスの場合は ‘see’ の過去形 ‘saw’ を使います。相手が自分の視界に「フワッ」と入ってきた状況です。
“I saw Mr. Tanaka at the station yesterday, but he looked busy.”
(昨日、駅で田中さんを見かけましたが、忙しそうでした。)
“I think I saw your sister at the supermarket. She was in the vegetable section.”
(スーパーで君のお姉さんを見かけたと思うよ。野菜売り場にいたんだ。)
※この場合、会話はしていないことがほとんどです。
「ばったり会った」なら ‘run into’
偶然性に驚きや意外性を含ませたい「ばったり会った」「出くわした」というニュアンスでは、’run into’ という表現がとても自然でよく使われます。これは通常、立ち止まって少し話をした状況を指します。
“I ran into an old friend from college today. We hadn’t seen each other for years!”
(今日、大学時代の古い友人にばったり会ったんだ。何年も会っていなかったよ!)
“Guess who I ran into at the bookstore! Our former teacher. We had a nice chat.”
(本屋で誰にばったり会ったと思う?昔の先生だよ!楽しくおしゃべりしたんだ。)
‘bump into’ も ‘run into’ とほぼ同じ意味で使うことができますが、より口語的でカジュアルな響きがあります。
場面4:専門家に診てもらう
お医者さんや弁護士、会計士など、専門家に予約して相談に行く場合。計画的に行くので ‘meet’ を使いそうになりますが、これは一般的に ‘see’ を使います。
“You should see a doctor about that cough.”
(その咳について、お医者さんに診てもらった方がいいですよ。)
“I have an appointment to see my lawyer next week.”
(来週、弁護士に会う予約があります。)
これは、対等な立場で社交的に「会う」のとは異なり、専門家に自分の状況を「見てもらい」、専門的な視点から「判断してもらう」というニュアンスが強いからです。「専門家の視界に入る」という ‘see’ のコアイメージが活きている面白い例ですね。
まとめ
最後に、今日のポイントを整理しましょう。
- meet:初対面の挨拶や、時間や場所を決めた計画的な待ち合わせに使う。「カチッ」と出会うイメージ。
- see:すでに知っている人と会う時や、専門家に診てもらう時に使う。「フワッ」と視界に入るイメージ。
- saw:「見かけた」というニュアンスで、偶然相手の姿を認識した時に使う。
- run into:「ばったり会った」と偶然性を強調したい時に使う便利な表現。
単語の使い分けは、ルールを覚えるだけでなく、その裏にあるネイティブの感覚(コアイメージ)を理解することが上達への近道です。
今回の内容が、あなたの英語学習の助けになれば嬉しいです。

英会話カーディム講師。元外資系エンジニアでMBA保持者。海外留学なしに国内で独学にて英語を習得。ラテン語や印欧語、英語史の知識を持ち、英文法を含めた英語体系に詳しい。英語オタクで出版された英和辞典や英文法書は絶版も含めて殆ど持っている。
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