「仕方ない」は英語で?ネイティブが使い分ける3つの神フレーズ【初心者向け徹底解説】

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「あー、もう仕方ないな…」

日常でついつい口にしてしまう、この便利な日本語「仕方ない」。諦め、慰め、現実の受け入れなど、たった一言で様々な気持ちを表すことができますよね。この言葉があるからこそ、やり場のない感情に区切りをつけたり、相手を思いやったりできる、非常に文化的な表現とも言えるでしょう。

しかし、この「仕方ない」を英語で言おうとすると、途端に言葉に詰まってしまう…そんな経験はありませんか?

実は、英語には日本語の「仕方ない」にぴったり当てはまる万能な一言は存在しません。その時々の状況や、話している人の気持ちによって、表現を細かく使い分ける必要があるのです。このニュアンスの違いを理解することは、単語を覚える以上に、より自然で、心と心が通じるコミュニケーションへの大きな一歩となります。

この記事では、英語学習を再開した大人の初心者の方向けに、「仕方ない」が持つ3つの異なるニュアンスと、それぞれに対応するネイティブの英語表現を、豊富な例文と共に徹底的に解説します。

まずはサクッと基本を理解したい!という方は、こちらのYouTube動画をご覧ください。

さらに深く、 ニュアンスの違いをしっかり理解して、ご自身の英会話に活かしたいという方は、ぜひこのまま読み進めてください。

1. It can’t be helped – どうにもならない状況への「仕方ない」

まずご紹介するのは、多くの方が「仕方ない」の英語訳として一番に思い浮かべるであろう “It can’t be helped” です。これは、自分の力ではどうにもコントロールできない、客観的な状況に対する「仕方ない」を表します。

ポイントは、「誰かのせい」ではなく「状況のせい」という点です。主語が「It(それ)」であることからも分かるように、個人を超えた大きな力、例えば自然現象、社会のルール、覆せない決定など、変えようのない事実に対して使われます。言ってみれば、「自分の手出しできる範囲を超えている」という諦観のニュアンスです。

こんな時に使います

  • 天候が理由で予定がキャンセルになった時
  • 交通機関の遅延や渋滞に巻き込まれた時
  • 会社の決定など、覆せない事柄に対して
  • 急なシステム障害や、物理的な故障が発生した時

例文を見てみましょう

The outdoor concert was cancelled because of the typhoon. It can’t be helped.

(台風のせいで野外コンサートが中止になった。仕方ないね。)

We have to wait for another hour because the train is delayed. It can’t be helped.

(電車が遅れているから、もう1時間待たないといけない。仕方ないよ。)

I know you don’t like the new company policy, but it can’t be helped. We have to follow it.

(新しい会社の方針が気に入らないのは分かるけど、仕方がないんだ。従うしかない。)

The internet is down across the whole area. There’s nothing we can do but wait. It can’t be helped.

(地域一帯でインターネットがダウンしている。待つ以外にできることはないよ。仕方ない。)

このように、”It can’t be helped” は、変えられない事実を前にした時の、ある種の「諦め」の気持ちを表すのに最適な表現です。個人的な感情を一旦脇に置いて、客観的な事実をそのまま受け止める、そんな冷静さも感じさせるフレーズです。

2. It is what it is – 現実を受け入れるための「仕方ない」

次にご紹介するのは、”It is what it is” という表現です。直訳すると「それが、それだ」となり、少し口語的でこなれた響きがあります。近年、特にネイティブスピーカーが好んで使う非常にポピュラーなフレーズです。

“It can’t be helped” が客観的な状況に焦点を当てていたのに対し、”It is what it is” は、不満や残念な気持ちはありつつも、「これが現実なんだから受け入れるしかない」という、より主観的な割り切りや覚悟を表します。自分の感情と向き合った上で、「仕方ない」と結論づけるニュアンスです。

文句を言っても始らない、と気持ちを切り替えて前に進もうとする、少し前向きな響きが含まれることもあります。「まあ、これが現実。さて、次は何をしようか」といった、思考の転換を促すきっかけになる言葉です。

It can’t be helped vs. It is what it is

  • It can’t be helped: 状況に焦点。自分ではコントロール不能な外的要因。「どうしようもない」という諦め。
  • It is what it is: 自分の気持ちに焦点。不本意な結果でも受け入れる内的決意。「これが現実だ」という受容。

例文を見てみましょう

I studied so hard, but I failed the exam. Oh well, it is what it is. I’ll try again next time.

(一生懸命勉強したのに、試験に落ちてしまった。まあ、仕方ない。これが現実だ。次また頑張ろう。)

I was hoping for a promotion, but I didn’t get it. It is what it is. I need to figure out what to do next.

(昇進を期待していたけど、叶わなかった。仕方ないね。これからどうするか考えないと。)

My new boss is much stricter than I expected. It is what it is, I have to get used to it.

(新しい上司は想像していたよりずっと厳しい。仕方ない、慣れるしかないな。)

Yes, the flight ticket was more expensive than I thought, but I really want to go on this trip, so it is what it is.

(うん、航空券は思ったより高かったけど、この旅行には本当に行きたいから、仕方ない。)

自分の努力や期待が及ばなかった結果に対して、「仕方ない」と現実を受け止め、次へ進むための区切りをつけるような場面で非常に便利なフレーズです。

3. It’s not your fault – 相手を慰める「仕方ないよ」

最後は、相手を思いやるときに使う「仕方ないよ」です。これは直接的な訳ではありませんが、日本語のニュアンスに非常に近いのが “It’s not your fault” です。

誰かがミスをして自分を責めていたり、罪悪感で落ち込んだりしている場面を想像してください。そんな時に「あなたのせいじゃないよ、あれは仕方なかったんだよ」と声をかけることで、相手の心を軽くすることができます。この一言は、人間関係を円滑にし、相手との信頼を深める上で絶大な効果を発揮します。

この表現の焦点は、問題そのものではなく、相手の「感情」にあります。事実として誰かに責任があるのかもしれませんが、それよりもまず、傷ついている相手の心に寄り添い、安心感を与えることを最優先する、とても温かいフレーズです。

こんな時に使います

  • 同僚が仕事でミスをして落ち込んでいる時
  • チームが試合に負けて、責任を感じている選手を慰める時
  • 不可抗力で起きた出来事について、誰かが自分を責めている時
  • 良かれと思ってやったことが、裏目に出てしまった友人を励ます時

例文を見てみましょう

Don’t worry about spilling the coffee. It’s not your fault. The table was wobbly.

(コーヒーをこぼしたことなんて気にしないで。あなたのせいじゃないよ。テーブルがぐらぐらだったんだから。)

I know you feel responsible for the project’s failure, but it’s not your fault. We all did our best.

(プロジェクトが失敗した責任を感じているのは分かるけど、君のせいじゃない。みんなベストを尽くしたんだ。)

Please don’t blame yourself for the accident. It’s not your fault. It was raining so heavily.

(その事故のことで自分を責めないでください。あなたのせいではありません。ひどい雨だったのですから。)

You tried to help her, but she didn’t appreciate it. It’s not your fault. You had good intentions.

(彼女を助けようとしたのに、感謝されなかったんだね。君のせいじゃないよ。善意でやったことなんだから。)

相手の心の負担を取り除いてあげる、優しさに満ちた「仕方ない」の表現です。

まとめ:気持ちで使い分ける「仕方ない」

いかがでしたか?日本語では「仕方ない」の一言で済む場面でも、英語では話者の気持ちや状況に応じて、これだけ表現が変わってきます。この違いを理解し、使いこなすことが、英会話上達の鍵となります。

  • どうにもならない状況への諦め → It can’t be helped.
  • 不本意な現実の受け入れ → It is what it is.
  • 落ち込んでいる相手への慰め → It’s not your fault.

この3つの表現を使い分けることができれば、あなたの英語はより自然で、相手の心に響く、細やかなコミュニケーションへとレベルアップするはずです。

最初は難しく感じるかもしれませんが、まずはそれぞれのフレーズが持つ中心的なイメージ(諦め・受容・慰め)を掴むことから始めてみてください。そして、実際の会話や映画・ドラマなどで、登場人物がどのような表情や声のトーンで、どんな状況でこれらのフレーズを使っているかに注目してみましょう。言葉と感情が結びつくと、記憶に定着しやすくなります。

一つずつ、ゆっくりと自分のものにしていけば、表現の幅は確実に広がっていきます。

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