「値段が上がる」「階段を上がる」「テンションが上がる」…
日本語の「上がる」という言葉は、本当に便利で色々な場面で使えますよね。
しかし、英語では、この「上がる」を場面ごとに違う単語で表現する必要があります。
「え、全部覚えなきゃいけないの?」と不安に思うかもしれませんが、大丈夫です。それぞれの単語が持つ基本的なイメージを掴めば、感覚的に使い分けられるようになります。
まずは基本をサクッと知りたい!という方は、こちらのYouTube動画をご覧ください。
このブログ記事では、動画の内容をさらに深掘りし、豊富な例文と共に、より詳しく解説していきます。動画と合わせてご覧いただくことで、「上がる」の英語表現マスターに一歩近づけるはずです。英語学習の「レベルが上がる」ように、一緒に頑張りましょう!
物理的に「上がる」 (低い所から高い所へ)
まずは一番イメージしやすい、物理的な移動を表す「上がる」です。単純に上へ移動するのか、それとも努力して登るのか、その様子によって使う単語が変わってきます。
基本の “go up”
迷ったらこれを使えば大丈夫、というくらい万能なのが “go up” です。文字通り「上へ行く」というシンプルな動きを表し、日常のあらゆる場面で使うことができます。
・Let’s go up the stairs.
(階段を上がりましょう。)
・The elevator is going up.
(エレベーターが上がっています。)
・A balloon goes up into the sky.
(風船が空に上がっていく。)
・Smoke is going up from the chimney.
(煙突から煙が上がっている。)
ちなみに、話し相手がいる場所へ自分が上がっていく場合は “come up” を使うと、より自然に聞こえます。「(あなたのいる場所へ)上がっていくね」というニュアンスです。
・I’m on the first floor. Could you come up here?
(1階にいます。こちらに上がってきてもらえますか?)
努力して登る “climb”
“go up” と似ていますが、手や足を使って「よじ登る」というような、少し努力のニュアンスを加えたい時にぴったりなのが “climb” です。ただ上に移動するだけでなく、そこに意志や労力が伴うイメージです。
・The cat can climb that tree.
(その猫はあの木に登ることができます。)
・I like to climb mountains.
(私は山に登るのが好きです。)
・He climbed a ladder to get on the roof.
(彼は屋根に上がるために、はしごを登った。)
・Children love to climb jungle gyms.
(子供たちはジャングルジムに登るのが大好きだ。)
“go up” vs. “climb” の違い
・go up: 階段やエレベーターのように、比較的楽に上へ移動すること全般を指す。
・climb: 山や木、はしごなど、手足を使うなど、少し頑張って登るイメージ。
数値やレベルが「上がる」
値段、温度、レベルなど、目に見えないものの数値が上昇する場合の表現です。これも状況によっていくつかの単語を使い分けることで、より正確に意図を伝えることができます。
カジュアルな会話で便利な “go up”
ここでも “go up” は大活躍します。日常会話で「値段が上がったね」「気温が上がった」などと軽く言いたい時に非常に便利です。
・The price of bread seems to have gone up.
(パンの値段が上がったみたいだね。)
※現在から見た過去のことなので have gone up となっています。
・My score on the test went up.
(テストの点数が上がった。)
・The temperature went up to 30 degrees today.
(今日、気温が30度まで上がった。)
少し丁寧な表現 “increase”
ビジネスの場面や、レポート、ニュースなど、少し改まった文脈で「増加する」と言いたい時に使われるのが “increase” です。「徐々に増えていく」というニュアンスも含まれます。
・The company’s profits increased by 10% last year.
(その会社の利益は昨年10%増加しました。)
・The population of this city is increasing steadily.
(この都市の人口は着実に増加しています。)
自然な流れで上昇する “rise”
誰かが意図的に上げたのではなく、市場の力や自然の摂理などで「自然と上昇する」というニュアンスを持つのが “rise” です。太陽が昇るのと同じように、自発的に上がっていくイメージですね。
・The sun rises in the east.
(太陽は東から昇ります。)
・Prices are expected to rise.
(物価が上がると予想されている。)
“increase” vs. “rise” の違い
・increase: 人口や利益など、具体的な数量が「増加する」イメージ。誰かが意図的に「増やす」という意味でも使える。
・rise: 物価や海面など、自然な力や大きな流れの中で「上昇する」イメージ。
気持ちが「上がる」(テンションが上がる)
日本語でよく使う「テンションが上がる」。これは英語にする際に、最も注意が必要な表現の一つです。
要注意!英語の “tension” の本当の意味
日本語の「テンション」の感覚で “My tension is high.” などと言ってしまうと、大変な誤解を招きます。英語の “tension” は、「緊張、不安、張り詰めた状態」といった、ネガティブな意味で使われるのが一般的です。
・My tension is high.
(私はすごく緊張しています。/かなり張り詰めています。)
このように、全く逆の意味になってしまいます。
正しい表現は “get excited”
日本語の「テンションが上がる」のような、ポジティブでワクワクした気持ちを表したい時は、”get excited” を使うのが最も自然です。
・I’m getting excited about the trip!
(旅行のことでワクワクしてきた!)
・She got excited when she heard the news.
(その知らせを聞いて、彼女はテンションが上がった。)
・I always get excited when I go to a concert.
(コンサートに行くといつもワクワクします。)
「終わり」を意味する「上がる」
日本語では「雨が上がる」「仕事が上がる」のように、何かが終わる意味でも使いますね。この場合は「上がる」という単語のイメージから離れて、「終わる」「止まる」と考えると分かりやすいです。
雨が上がる
雨が止む、ということなので、シンプルに “stop” を使います。
・The rain has stopped.
(雨が上がりました。)
また、雨の勢いが弱まって小降りになる、というニュアンスなら “let up” という表現も使えます。
・The rain is letting up.
(雨足が弱まってきた。)
仕事が上がる
仕事が終わる、という意味なので “finish work” が最も一般的な表現です。
・I usually finish work at 6 p.m.
(私は普段、18時に仕事が上がります。)
もう少しくだけた言い方で “get off work” もよく使われます。
・What time do you get off work today?
(今日、何時に仕事終わる?)
まとめ
いかがでしたか?
日本語の「上がる」という便利な一言が、英語ではこんなにも豊かに表現されることがお分かりいただけたかと思います。
・物理的な移動なら go up や climb
・数値の上昇なら go up, increase, rise
・気持ちの高ぶりなら get excited
・物事の終わりなら stop や finish work
最初は難しく感じるかもしれませんが、場面ごとのイメージを掴んで、一つずつ自分のものにしていきましょう。それぞれの言葉のニュアンスが分かってくると、英語での表現がもっと楽しく、もっと自然になりますよ。

英会話カーディム講師。元外資系エンジニアでMBA保持者。海外留学なしに国内で独学にて英語を習得。ラテン語や印欧語、英語史の知識を持ち、英文法を含めた英語体系に詳しい。英語オタクで出版された英和辞典や英文法書は絶版も含めて殆ど持っている。
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