「今日は暑いですね」と伝えたい時、いつも “It’s hot.” ばかり使っていませんか?もちろんそれでも十分に伝わりますが、英語には「暑さ」を表現する言葉がたくさんあり、状況や感情に合わせて使い分けることで、あなたの英語はもっと豊かで自然になります。繊細なニュアンスを伝えられるようになると、会話の相手も「お、この人は英語が上手だな」と感じてくれるでしょう。
この記事では、そんな「暑い」にまつわる英語表現を、心地よい春の陽気から、うだるような日本の真夏まで、様々なシーンに合わせて徹底解説していきます。
まずは、こちらのYouTube動画で基本をサクッと掴むのがおすすめです。
動画で概要を理解したら、このブログでさらに深く学んでいきましょう。たくさんの例文と共に、各単語の持つ細かなニュアンスを丁寧に解説するので、最後まで読めばあなたも「暑さ」表現マスターになれるはずです!
カテゴリー1:春のような心地よい「温かさ」
まずは、思わず外に出たくなるような、快適で心地よい「温かさ」を表す3つの基本表現から見ていきましょう。肌寒さがなくなり、心が浮き立つような陽気にぴったりの言葉たちです。
warm: すべての基本となる「暖かい」
一番ニュートラルで、幅広く使えるのがこの warm
です。人が「快適だ」と感じる、ポジティブな意味合いでの「温かさ」を表現するのに最適な単語です。寒すぎず、暑すぎない、まさに「ちょうどいい」温度感です。
- It’s a lovely warm day, isn’t it? Let’s have lunch outside.(素晴らしく暖かい日ですね。外でランチをしましょうか。)
- The sun feels warm on my skin.(日差しが肌に暖かく感じます。)
- Please come inside and warm yourself by the fire.(中に入って火で暖まってください。)
天候だけでなく、「温かいスープ (a warm soup)」や「温かい心 (a warm heart)」、「温かい歓迎 (a warm welcome)」のように、物理的な温度や人の性格、雰囲気の温かさを表す時にも使えます。非常に汎用性が高い単語です。
mild: 厳しくない「穏やかな」温かさ
mild
は「穏やかな、まろやかな」というニュアンスを持ち、特に冬の寒さや夏の暑さが厳しくない、過ごしやすい気候を表現するのによく使われます。warm
ほどの積極的な暖かさではなく、「極端ではない」という点がポイントです。
- We had a very mild winter this year, with very little snow.(今年の冬はとても温暖で、雪もほとんど降りませんでした。)
- The forecast is for mild and sunny weather tomorrow.(明日の天気は、穏やかで晴れだと予報されています。)
気候以外にも、「マイルドな味のチーズ (mild cheese)」や「軽度の症状 (a mild symptom)」、「穏やかな性格 (a mild personality)」のように、刺激が強くない、極端でないことを表す時にも登場する便利な単語です。
balmy: そよ風が気持ちいい「爽やかな」温かさ
少し詩的でおしゃれな響きを持つのが balmy
です。ただ温かいだけでなく、心地よいそよ風が吹いているような、爽やかなイメージを伴います。少し湿度があって、花の香りがするような、そんな情景が浮かぶ言葉です。春や初夏の、絵に描いたような気持ちのいい日にぴったりの表現です。
- We enjoyed a walk on the balmy evening.(私たちは心地よく暖かい夜の散歩を楽しみました。)
- A balmy breeze blew from the sea, carrying the scent of salt.(海から心地よいそよ風が吹いてきて、潮の香りを運んできました。)
カテゴリー2:だんだん汗ばむ「少し暑い」から「標準的な暑さ」へ
気温が上がり、少し汗ばむようになってきた時の表現です。快適な warm
から、少し不快感が出始める hot
へのグラデーションを見ていきましょう。
a bit hot / a little warm: 「ちょっと暑い」の控えめな表現
本格的な夏ほどではないけれど、少し暑さを感じ始めた時には “a bit”(少し)や “a little”(少し)を付けて表現するのが一般的です。特にイギリス英語では a bit
が好まれる傾向があります。どちらも、相手に不快感を与えずに「少し暑いですね」と伝えたい時に便利な丁寧な言い方です。
- It’s getting a bit hot in this room. Can I open the window?(この部屋、少し暑くなってきましたね。窓を開けてもいいですか?)
- I’m feeling a little warm. I think I’ll take off my jacket.(少し暑く感じます。上着を脱ごうと思います。)
stuffy: 空気がこもって「ムッとする」暑さ
特に室内で、風通しが悪く空気がよどんでいるような、息苦しさを伴う暑さを stuffy
と言います。温度そのものよりも、空気の質の悪さが不快感の原因です。満員電車や、換気されていない会議室、何年も開けていない屋根裏部屋などの状況で使えます。
- This office is so stuffy. We need some fresh air.(このオフィスはとても息苦しい。新鮮な空気が必要です。)
- It was hot and stuffy on the train this morning. I almost felt sick.(今朝の電車は暑くてムッとした。少し気分が悪くなるほどでした。)
hot: 「暑い」の最も基本的な単語
「暑い」を表す最も一般的で基本的な単語が hot
です。ただし、どのくらいの暑さを指すかは、話している人や住んでいる地域、状況によって大きく変わる、非常に主観的な単語です。例えば、イギリス人が言う “It’s hot” は摂氏25度くらいかもしれませんが、日本の夏を知っている人なら30度以上を想像するでしょう。
- It was a hot summer day, so we went to the beach.(暑い夏の日だったので、私たちはビーチへ行きました。)
- Be careful, the plate is very hot.(気をつけて、そのお皿はとても熱いですよ。)
また、食べ物に対して使うと「辛い」という意味にもなるので文脈には注意が必要です。
カテゴリー3:料理に例える面白い「激しい暑さ」
「すごく暑い!」と伝えたい時、英語では料理に関連する単語を使って、その暑さを比喩的に表現することがよくあります。ユニークで覚えやすいだけでなく、ネイティブスピーカーも日常的に使う表現なので、覚えておくと会話がぐっと豊かになります。
boiling: 茹だるように暑い
水がグラグラと沸騰する (boil) イメージで、「茹だるように暑い」という猛烈な暑さを表現します。不快感が非常に強く、じっとしていても汗が噴き出してくるような状況にぴったりです。
- It’s absolutely boiling outside! I think it’s over 35 degrees.(外は本当に茹だるようです!気温は35度を超えていると思います。)
- I can’t believe you’re wearing a sweater in this boiling weather. Are you okay?(この茹だるような天気の中、セーターを着ているなんて信じられない。大丈夫?)
roasting: 焼けるように暑い
オーブンで肉をじりじり焼く (roast) イメージです。特に、強い日差しが照りつけて、肌が焼けるように感じる暑さを表現します。boiling
が湿度を含む暑さにも使えるのに対し、roasting
は直射日光の強さを強調するニュアンスがあります。
- I’m roasting! I need to find some shade and drink some water.(焼けるように暑い!日陰を見つけて水を飲まないと。)
- It was roasting on the beach yesterday. We all got sunburned.(昨日のビーチは焼けるように暑かった。私たちはみんな日焼けしてしまいました。)
baking: オーブンのように暑い
パンやケーキを焼く (bake) イメージで、こちらも「焼けるように暑い」という意味ですが、roasting
とは少しニュアンスが異なります。特に閉め切った車の中や屋根裏部屋、ガラス張りのサンルームなど、熱がこもってオーブンのようになった空間の暑さを表すのによく使われます。
- It’s baking hot in this car. Let’s turn on the air conditioner before we get in.(この車の中は焼けるように暑い。乗る前にエアコンをつけましょう。)
カテゴリー4:日本の夏に必須!「耐えられない暑さ」と「蒸し暑さ」
いよいよ、日本の夏本番で使える表現です。湿度や不快感を伝える言葉を覚えれば、表現の幅がぐっと広がります。海外の人に日本の夏を説明する時にも役立ちますよ。
scorching: 焼けつくような猛暑
太陽がじりじりと大地を焦がす (scorch) ような、強烈な暑さを表します。草木が枯れてしまうほどの、破壊的な熱のイメージです。どちらかというと、カラッとした乾燥した地域の猛暑をイメージさせる単語です。
- The scorching heat made it difficult to walk outside even for a few minutes.(焼けつくような暑さのせいで、数分ですら外を歩くのが困難だった。)
- Be sure to drink plenty of water in this scorching weather to avoid heatstroke.(この焼けつくような天気では、熱中症を避けるために十分な水分を摂るようにしてください。)
sweltering: 汗が止まらない、うだるような暑さ
sweltering
は、汗がだらだらと流れるような、不快でうだるような蒸し暑さを表現するのに最適な言葉です。まさに日本の夏にぴったりで、息苦しさと高い湿度で体力を奪われる感じがよく表されています。
- It’s sweltering in the city during the summer, especially on the subway platform.(夏の間、都市部はうだるように暑い。特に地下鉄のホームはひどい。)
- I feel exhausted from the sweltering humidity. I just want to lie down in an air-conditioned room.(うだるような湿度のせいで疲れ果ててしまった。エアコンの効いた部屋で横になりたいだけです。)
湿度に関する表現 (humid vs. muggy vs. sticky)
日本の夏を語る上で欠かせないのが「湿度」です。この3つの単語は似ていますが、明確な違いがあります。これを使い分けるだけで、英語がとてもうまく聞こえます。
- humid: 客観的に「湿度が高い」状態を表す最も一般的な単語です。天気予報などで使われる科学的な言葉です。
- Today is hot and humid, with humidity levels around 80%.(今日は暑くて湿度が高く、湿度は80%前後です。)
- muggy: 「蒸し暑くて不快だ」という主観的な気持ちが含まれます。ジメジメして息苦しい、嫌な感じを伝えたい時に使います。
humid
に「不快」という感情がプラスされた言葉だと考えると分かりやすいです。- It’s so muggy today. I hate this kind of weather. My hair is a mess.(今日はすごく蒸し暑い。こういう天気は大嫌いだ。髪の毛もボサボサよ。)
- sticky: 汗で肌がベタベタする不快感そのものを表します。
muggy
な天気の「結果」として感じることです。- I feel so sticky after walking for just five minutes. I need a shower.(たった5分歩いただけで、すごくベタベタします。シャワーを浴びたい。)
dry heat: カラッとした暑さ
日本の蒸し暑さとは対照的に、湿度が低くカラッとした暑さを dry heat
と言います。カリフォルニアやアリゾナ、砂漠地帯の夏を説明する時によく使われます。気温は高くても日陰に入れば涼しく感じられるのが特徴です。
- I prefer the dry heat of Arizona to the humidity in Japan.(私は日本の湿気よりも、アリゾナの乾燥した暑さの方が好きです。)
カテゴリー5:会話が弾む!カジュアルなスラング表現
最後に、日常会話で使えるカジュアルな言い方やスラングを2つご紹介します。友達や家族との会話で使うと、より自然に聞こえます。
I’m melting!: 溶けちゃいそう!
暑くてたまらない時に、「もう溶けちゃいそうだよ!」と少し大げさに、ユーモアを込めて言う表現です。アイスクリームが溶ける様子を自分に例えているわけですね。
- Let’s go inside. I’m melting out here! This asphalt must be hot enough to fry an egg.(中に入ろうよ。ここにいたら溶けちゃうよ!このアスファルト、卵が焼けるくらい熱いに違いない。)
a scorcher: 猛烈に暑い日
scorch
(焦がす)から来た言葉で、「焦げるような猛烈な暑い日」を意味する名詞です。形容詞ではなく、「猛暑日」という一つの単語として使われるのがポイントです。
- Yesterday was a real scorcher. I stayed indoors all day with the air conditioning on full blast.(昨日は本当に猛烈な暑さだった。一日中、エアコンを全開にして家の中にいましたよ。)
まとめ
今回は、「暑い」に関する様々な英語表現をご紹介しました。最後に、カテゴリーごとにおさらいしてみましょう。
- 心地よい温かさ: warm, mild, balmy
- 標準的な暑さ: hot, a bit hot, stuffy
- 激しい暑さ(料理編): boiling, roasting, baking
- 耐えられない暑さと蒸し暑さ: scorching, sweltering, humid, muggy, sticky, dry heat
- カジュアルな表現: I’m melting, a scorcher
一度にすべてを覚える必要はありません。まずは基本の warm
, hot
, humid
を使いこなし、そこから「今日はどんな感じの暑さかな?」と考えて、一つずつ新しい単語に挑戦してみてください。
天候や自分の気持ちにぴったりの言葉が見つかると、英語でのコミュニケーションはもっと楽しく、そして深くなるはずです。次の暑い日には、ぜひ今日学んだ表現を意識して使ってみてくださいね!

英会話カーディム講師。元外資系エンジニアでMBA保持者。海外留学なしに国内で独学にて英語を習得。ラテン語や印欧語、英語史の知識を持ち、英文法を含めた英語体系に詳しい。英語オタクで出版された英和辞典や英文法書は絶版も含めて殆ど持っている。
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