「終わる」を英語で言いたい時、”end” と “finish” のどちらを使えばいいか迷ったことはありませんか?
多くの英語やり直し学習者の方がつまずくポイントですが、実はこの2つの単語には、ネイティブが感覚的に使い分けている明確な違いがあります。この違いは、単に単語を覚えるだけでは見えてこない、英語の奥深さにも繋がっています。
この記事を読めば、その違いがスッキリ理解でき、自信を持って使い分けられるようになります。
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さらに深く、会話やライティングで応用できるレベルまで理解したい方は、ぜひこのまま読み進めてください。日常会話からビジネスシーンまで使える豊富な例文を交えながら、丁寧に解説していきます。
基本の違い:end vs. finish のコアイメージ
2つの単語の使い分けをマスターする鍵は、それぞれの「コアイメージ(中心的なイメージ)」を理解することです。表面的な意味だけでなく、ネイティブが心の中で描いている絵を想像してみましょう。
- end:「境界線」「停止」のイメージ。まるで線がそこでプツンと切れるような、自然な、あるいは強制的な終点。
- finish:「完了」「達成」のイメージ。パズルの最後の1ピースをはめるような、やり遂げた満足感。
endのイメージ:プツンと止まる・境界線
“end” のコアイメージは、「物事がそこでプツンと終わる」「ここまで」という明確な境界線や停止点を指します。
人の意思とは関係なく自然に終わる場合や、外部の力によって強制的に止められる場合に使われることが多いです。そこには「やり遂げた」という達成感や、努力して終わらせたというニュアンスは含まれません。物語の最後のページ、道の突き当り、一本の映画の上映終了などを思い浮かべてください。
- The movie ends at 10 p.m.(その映画は午後10時に終わります。)
- This is the end of the road.(ここが道の突き当りです。)
- The story ends with the hero’s victory.(その物語は主人公の勝利で終わります。)
- The reign of the king ended after 50 years.(その王の治世は50年で終わりました。)
映画が時間になったら終わるのも、道が物理的にそこで途切れているのも、単なる「停止点」を示していますよね。これが “end” の感覚です。
finishのイメージ:やり遂げる・達成感
一方、”finish” のコアイメージは、「決められたことや作業を最後までやり遂げる」という「完了」や「達成」の感覚です。
そこには、行為者の意思がはっきりと関わっており、「終わらせたぞ!」というポジティブな達成感が伴います。夏休みの宿題をすべてやり終えた時の解放感や、マラソンを走り切った時の喜びを想像すると分かりやすいでしょう。
- I finished my homework.(私は宿題を終えました。)
- She finished the marathon.(彼女はマラソンを完走しました。)
- He has just finished painting the wall.(彼はちょうど壁を塗り終えたところです。)
- Let’s finish this cake together.(このケーキを一緒に食べきってしまおう。)
宿題やマラソン、ペンキ塗りやケーキを食べること。これらはすべて、自分の力で「やり遂げる」ものですよね。この達成感が “finish” の最大の特徴です。
文法ルール:finish の後ろは必ず “-ing形”
使い分けで最も重要な文法ルールが一つあります。それは、「finishの後ろに動詞(〜することを終える)を続けたい時は、必ず動-ing形(動名詞)を使う」ということです。
これは、”finish” が持つ「(一連の動作を)やり遂げる」という完了のイメージと、ある一定期間続いた動作の全体を表す “-ing” のイメージがぴったり合うためです。
- I finished reading the book.(私はその本を読み終えました。)
- Have you finished eating?(もう食べ終わりましたか?)
- She finished writing the report at midnight.(彼女は夜中にレポートを書き終えました。)
よくある間違いが、”finish to read” のように “to不定詞” を使ってしまうことです。”to不定詞” は未来に向かう矢印のニュアンスを持つことが多いため、「これから〜する」という意味合いが強く、「やり終えた」という完了の意味を持つ “finish” とは相性が悪いのです。これは文法的に間違いなので、しっかり区別しましょう。
注意:似ているけど全く違う “end up -ing”
“end” を使った表現に “end up -ing” という形がありますが、これは “finish -ing” とは全く意味が異なりますので注意が必要です。
“end up -ing” は「(予期せず)結局〜することになった」という意味で、計画していなかった意外な結末や、思いがけない結果を表します。
- I went for a walk and ended up getting lost.(散歩に出かけたら、結局道に迷ってしまった。)
- We argued a lot, but ended up becoming best friends.(私たちはたくさん口論したが、結局は親友になった。)
- He studied law, but ended up being a musician.(彼は法律を学んだが、結局はミュージシャンになった。)
“やり終える” という意味は全くないので、”finish -ing” と混同しないようにしましょう。
場面別の使い分け徹底ガイド
それでは、具体的な場面でどちらを使うのがより自然か、さらに多くの例で見ていきましょう。
1. 個人的なタスク(宿題・食事・仕事など)
自分が主体となって「やり遂げる」ものには、達成感のある “finish” が最適です。もしここで “end” を使うと、「宿題を(途中で)やめた」のように、完了せずに中断したニュアンスに聞こえてしまう可能性があります。
- I need to finish this report by Friday.(金曜日までにこのレポートを終わらせなければなりません。)
- He finished cleaning his room.(彼は自分の部屋の掃除を終えました。)
- What time do you finish work?(仕事は何時に終わりますか?)
- I want to finish this puzzle today.(今日中にこのパズルを完成させたい。)
2. イベントや期間(映画・会議・セール・学期など)
始まりと終わりが決まっているイベントや期間など、単に「停止点」を迎えるものには “end” を使います。これらは誰かが「やり遂げる」という性質のものではありません。
- The meeting ended at 5 p.m.(会議は午後5時に終わりました。)
- The summer sale ends tomorrow.(夏セールは明日で終わります。)
- When does the school semester end?(学期はいつ終わりますか?)
- The concert ended with a beautiful ballad.(そのコンサートは美しいバラードで幕を閉じた。)
3. 抽象的なもの(関係・契約など)
人間関係や契約、夢、議論といった抽象的なものが終わる場合も、タスクのように完了させる対象ではないため、「停止」のニュアンスを持つ “end” を使います。
- They decided to end their relationship.(彼らは関係を終わらせることに決めました。)
- Our contract will end next year.(私たちの契約は来年で切れます。)
- The argument ended without any conclusion.(その口論は何の結論も出ないまま終わった。)
上級編:at the end vs. in the end
“end” を使った表現で、もう一つ混乱しやすいのが “at the end” と “in the end” の違いです。これらもコアイメージで捉えると非常に分かりやすくなります。
at the end:具体的な「最後の時点・場所」
“at” は「点」を表す前置詞なので、”at the end” は時間や場所の「具体的な最後の地点」を指します。「〜の終わりに」「〜の最後に」「〜の突き当りに」と訳せます。必ず “at the end of ~” のように、何かの最後なのかを示す言葉が続きます。
- At the end of the month, I get paid.(月末に給料が支払われます。)
- Let’s meet at the end of the street.(その通りの突き当りで会いましょう。)
- The director appeared on stage at the end of the play.(その劇の最後に、監督がステージに現れた。)
in the end:プロセスを経た「最終的な結果」
“in” は「範囲」や「枠」を表す前置詞です。そのため “in the end” は、様々な過程や出来事という枠を経た上での「最終的に」「結局は」という意味になります。長い道のりの末の結論、というニュアンスです。これ単独で文頭や文末に使われることが多いです。
- We tried many different methods, and in the end, we found the solution.(私たちは多くの異なる方法を試し、最終的に解決策を見つけました。)
- He worked hard, and in the end, he succeeded.(彼は一生懸命努力し、そしてついに成功した。)
- In the end, what really matters is your happiness.(結局のところ、本当に重要なのはあなたの幸せです。)
まとめ
最後に、今日のポイントを整理しましょう。
- finish:自分が主体で「やり遂げる」達成感のあるもの。仕事や宿題、食事など。後ろに動詞が来るなら “-ing形”。
- end:物事が自然に、または区切りとして「止まる」こと。映画や会議、契約など。達成感はない。
- at the end:「〜の最後に」という具体的な時点や場所。”at the end of ~” の形で使う。
- in the end:「最終的に」「結局は」というプロセスを経た結果。単独で使う。
いかがでしたでしょうか。迷った時は、「これには達成感があるかな?」と自問自答してみてください。この感覚的な違いを意識するだけで、あなたの英語はより自然でネイティブに近付きます。
難しく考えすぎず、まずは身の回りの「終わる」ことについて、これは “end” かな? “finish” かな?と考えてみることから始めてみてください。その小さな積み重ねが、大きな自信に繋がります。

英会話カーディム講師。元外資系エンジニアでMBA保持者。海外留学なしに国内で独学にて英語を習得。ラテン語や印欧語、英語史の知識を持ち、英文法を含めた英語体系に詳しい。英語オタクで出版された英和辞典や英文法書は絶版も含めて殆ど持っている。
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