英語を勉強して中級者や上級者になると、品詞は理解していて当然です。英文法の中で非常に重要な地位を占めているからです。ですので、英文法の説明を読むとかなり初期の段階で品詞の説明が出てきます。
ところが、ほとんどの場合、品詞がなぜ重要なのかは書かれていないのです。その為、多くの初心者が最初の段階で挫折しそうになります。 ここでは、品詞がなぜ重要なのかを詳しく説明します。
なぜ品詞が重要なのか
英単語は、文中で果たす役割を持っています。その役割の名前が品詞です。最も重要なのが、名詞、動詞、形容詞、副詞の4つです。
品詞の重要性を説明する前に、まずはこの4つの品詞の簡単な説明をさせてください。
簡単な品詞の説明
名詞
名前は全て「名詞」です。人や生き物、物体や液体など、目に見えるものは当然として、愛や平和など抽象的な概念も含みます。
動詞
動作を表すものは全て「動詞」です。 走る、飛ぶ、寝る、生きる、など。英語の動詞の中には、日本人には分かりにくいものも含まれますが、ここでは深入りしません。
形容詞
名詞を説明するものが「形容詞」です。「青い」鳥、「美しい」花、のように名詞の前に置く場合と、「ナイル川は長い」「彼女は美しい」のように、「何々は~です」と文末に置いて、文を作る場合があります。形容詞の使い方は大きくこの2つです。
副詞
犬が「速く」走る、鳥が「空を」飛ぶ、のように、動詞を説明します。ただ実際には、副詞が説明するものは様々で、「名詞以外を説明するのが副詞」というのが一番簡単な説明です。品詞の中では一番わかりにくく、大半の人が最初は理解できませんが、勉強を続けるうちになんとなく理解していきます。
文の構成
さて、4つの重要品詞の説明を終えたので、文の説明に入ります。
文というのは単語から成り立っていますが、上で述べたように、各単語には品詞としての役割があります。
例えば、英語で一番多い文が次の形です。
誰々(が) + どうする + 何々(を)
英語的な略号で示すと以下です。
主語(S)+動詞(V)+目的語(O)
これはよく SVO と書かれます。5文型で言えば第3文型に当たります。
この SVO というのは、必ず、「S が O を V する」という意味になるのです。なぜなら英語では語順が絶対だからです。
具体的な英文を例を出せば、以下です。
People like coffee.
人々は コーヒーを 好む
これは「people が coffee を like する」という意味になります。必ずSVOの語順で意味を成すからです。
ですから、もし people と coffee の位置を入れ替えると、coffee like people. となり、「coffee が people を like する」、すなわち「コーヒーは人々を好む」という意味になってしまうのです。なんか詩的な文ですね。
品詞の文中の位置
そして品詞の話ではここが重要なのですが、英単語の置ける場所は品詞によって決まっているのです。
この例では、主語(S)と目的語(O)は必ず名詞でなければなりません。
だから、「名詞1+動詞+名詞2」という語順が重要で、「 [名詞1] が [名詞2] を [動詞] する」という意味になるのです。
ですから、日本語での「人々はコーヒーを好む」の語順にそって、「people coffee like. 」と言っても通じないのです。coffee は名詞ですが、仮に動詞として使って「people は like を coffee する」としても意味不明です。people coffee という名前のコーヒーだと仮定しても、like で文が終わってるので、「people coffee は like する」となり、聞き手は「何が好きなの?」と、like の目的語がないので理解不能です。
主語と動詞、すなわち名詞と動詞の語順を考えたので、次は形容詞を考えます。形容詞は説明を加えたい名詞の前に置きます。
beautiful(美しい)をどこかに置いてみましょう。名詞は people と coffee しかないので、その前ですね。作れる文は以下の3種類です。
Beautiful people like coffee.
美しい人々はコーヒーを好む。
People like beautiful coffee.
人々は美しいコーヒーを好む。
Beautiful people like beautiful coffee.
美しい人々は美しいコーヒーを好む。
この文では、これ以外のところには置けません。
仮に、People like coffee beautiful. と言う文があっても、beautiful がどの名詞を説明しているのか分からず、意味不明です。各品詞には置ける場所があり、おかしなところに置くと文が意味をなさなくなります。
最後に副詞を置いてみましょう。
では、always(いつも)を置いてみます。
People always like coffee.
人々は いつも コーヒーを 好む
さっきも説明した通り、副詞は色々と厄介なのです。always の基本位置は、動詞の前ですので、like の前に置いて、動詞の like を説明します。しかし、副詞は他の品詞と比べると位置に関しては、割と自由なのです。だから以下のようにも言えます。
Always people like coffee.
いつも 人々は コーヒーを 好む
People like coffee always.
人々は コーヒーを 好む いつも
これでも always は like を説明しますし、文の意味は正しく通じます。alwaysを強調したいときには、このように always の置く位置を意図的に変えるのです。
以上、品詞と置く場所について簡単に説明しました。
このように、単語は品詞によって文中の役割が違うので置ける場所が違いますし、置く場所によっては意味が変わってしまったりするのです。
だから英語を使う人は、無意識でも品詞を判別しながら使っています。そして子供の頃から大量の英語に触れて、感覚的に品詞を使い分けられる人は別として、日本人のように第二言語として身につけるなら、品詞を意識的に使わないと、最初の頃は英語が理解できないのです。
これが、品詞の説明が英文法書に必ず載っている理由です。
品詞が重要な理由のまとめ:
英単語は品詞によって、文中での働きが異なり、結果的に置ける場所が限定される。だから品詞が分からないと文の組み立てが分からない。
重要な4つ以外の品詞
さて、先ほど重要な4つの品詞だけ説明したので、他も説明します。
一般的に英語の品詞は8つに分けて説明されます。残りは以下です。
代名詞
he(彼)や it(それ)など、「名詞の代わり」に使える単語です。上で、主語や目的語に使える単語は名詞だけと説明しましたが、実は代名詞も可能です。
接続詞
and や but など、文や単語を結びつける単語です。「 トム and ジェリー」みたいに使います。
感嘆詞
他の品詞のように文を構成するのではなく、「あぁ!」や「え?」みたいに、気持ちを一言で表す単語です。
前置詞
in, on, at, with, from, to など、日本人が使い分けで最も苦労する品詞です。直後に置いた名詞とセットになって、形容詞や副詞の働きをします。一言で言えばそうなのですが、難しいところなので他で説明します。
前置詞
in, on, at, with, from, to など、日本人が使い分けで最も苦労する品詞です。直後に置いた名詞とセットになって、形容詞や副詞の働きをします。一言で言えばそうなのですが、難しいところなので他で説明します。
これで全部で8つになりました。しかし人によっては10に分ける方もいます。ですので、それも説明します。
助動詞
will や can など、後ろの動詞に心情的なニュアンスを加えるもの。will なら未来のニュアンス、can なら「できる」というニュアンスです。 品詞を8つに分ける場合は、動詞の仲間と考えます。
冠詞
a(n) と the の2つだけです。後ろの名詞に「とある~」や「その~」というニュアンスを加えます。これも難しいので、他で説明します。品詞を8つに分ける場合は、形容詞の仲間と考えます。
品詞の説明は以上です。 最初はこれぐらいの知識があれば全く問題がありません。 勉強をしていけばだんだん理解が深まりますし、このブログでも説明を加えていきます。
ここでひとつ注意です。
英文法書などでは品詞が重要だと書いてあるので、品詞を理解できないと焦る方がいます。しかし学習の最初の段階で、品詞をきちんと理解できる人はほとんどいません。様々な英文を目にするうちに、なんとなく理解が進んでいくからです。ですから過度に神経質にならないようにしてください。英語の学習は6割理解したら、次に進むのが最も効率の良い方法です。
英会話カーディム講師。元外資系エンジニアでMBA保持者。海外留学なしに国内で独学にて英語を習得。ラテン語や印欧語、英語史の知識を持ち、英文法を含めた英語体系に詳しい。英語オタクで出版された英和辞典や英文法書は絶版も含めて殆ど持っている。
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