「英語で丁寧にお願い事をしたい時は、”Would you…?”を使いましょう」
学校でこのように習った記憶がある方も多いのではないでしょうか。でも、なぜ「Would you」が丁寧な響きになるのか、その理由まで深く考えたことはありますか?
「とりあえずPleaseをつければ丁寧になる」と思いがちですが、実は英語の丁寧さには、もっと奥深い「相手への配慮」の感覚が隠されています。
この記事では、英語学習をやり直している初心者の方にも分かりやすく、依頼の表現を徹底解説。なぜ「Would you」が丁寧表現の代表格なのか、その秘密に迫るとともに、明日からすぐに使える実践的な知識まで広げていきます。
基本をサクッと知りたい方は、元になったこちらのYouTube動画をご覧ください。そして、「なぜ?」の部分をしっかり理解し、自信を持って使いこなしたい!という方は、ぜひこのまま読み進めてみてください。
「Would you」が持つ「相手への配慮」の正体
英語で何かをお願いするということは、相手の時間や労力を少しお借りするということです。言い方一つで、相手に「やってよ」というプレッシャーを与えてしまうか、「いいですよ」と気持ちよく引き受けてもらえるかが変わります。「Would you」には、このプレッシャーを和らげるための、見事な言葉の工夫が詰まっているのです。
理由1: 「もしよろしければ…」という一歩引いた「間接的」な姿勢
「Would you」が丁寧な最大の理由は、その「間接的」な言い方にあります。
「Would」は「Will」の過去形、と習いましたよね。しかし、ここでの「Would」は過去の話をしているわけではありません。あえて過去形を使うことで、現在の状況から一歩距離を置き、「もし、仮にそうしていただけるとしたら…」という、柔らかい「仮定」のニュアンスを生み出しているのです。
- 直接的な表現:窓を開けてください。
- 間接的な表現:もしよろしければ、窓を開けていただけますでしょうか?
日本語でも、後者の方がずっと丁寧な印象を受けますよね。「Would you」は、相手の領域に踏み込む前に、そっとドアをノックするような配慮を示すことができる、洗練された表現なのです。
理由2: 「断る自由」を相手にそっと差し出す思いやり
もう一つの重要なポイントは、「Would you」が相手の「意思」を尋ねるニュアンスを持っていることです。
これは「できますか?(Can you?)」という能力を尋ねる聞き方とは異なります。「もし状況が許すなら、そうするお気持ちはありますか?」と、相手の気持ちを最大限に尊重し、最終的な判断を委ねる姿勢が感じられます。
これにより、相手は「すみません、今ちょっと…」と断る心理的な負担が軽くなります。この「断る選択肢」を自然な形で相手に与えることこそが、本当の意味での丁寧さと言えるでしょう。
Can vs. Will vs. Could vs. Would 徹底比較
「Would you」の丁寧さの秘密がわかったところで、他の依頼表現とじっくり比べてみましょう。それぞれの違いを知ることで、状況に応じた的確な使い分けができるようになります。
Can you…?
相手の「能力」に焦点を当てた、「〜できますか?」という意味合いの最もカジュアルな表現です。
- 使う場面:友人、家族、同僚など、ごく親しい間柄で使います。
- 注意点:ビジネスシーンや目上の方に使うと、失礼にあたる可能性があるので避けましょう。
例文:
- Can you get me a glass of water?
- お水を一杯持ってきてくれる?
- Can you text me later?
- 後でメールしてくれる?
Will you…?
相手の「未来の意思」をストレートに尋ねる、「〜してくれますか?」という表現です。
- 使う場面:「Can you…?」よりは丁寧ですが、まだ直接的な響きが残ります。
- 注意点:相手との関係性によっては「当然やってくれるよね?」という少し強めのニュアンスに聞こえることもあります。
例文:
- Will you call me when you get there?
- そこに着いたら電話してくれますか?
- Will you look over this report for me?
- この報告書に目を通してくれますか?
Could you…?
「Would you…?」と並んで、非常に丁寧な依頼の表現です。「〜していただけますか?」という意味で、多くの場合「Would you…?」と交換可能です。
- 使う場面:フォーマルな場面、目上の方、知らない人など、丁寧さが求められる状況で幅広く使えます。
- ニュアンス:「もし可能でしたら(能力的にできたら)」というニュアンスが「Would you…?」より少しだけ強く残ります。
例文:
- Could you speak a little more slowly?
- もう少しゆっくり話していただけますか?
- Could you tell me how to get to the station?
- 駅への行き方を教えていただけますか?
まとめ:丁寧さのレベル
カジュアル Can you < Will you < Could you ≒ Would you フォーマル
迷った時は、常に丁寧な「Could you」か「Would you」を選んでおけば、失礼になることはまずありません。
もっと使いこなす!応用編
基本がわかったら、次は一歩進んだ使い方をマスターして、表現の幅を広げましょう。
「Please」をつける位置で変わるニュアンス
依頼の表現に「please」をつけると、さらに丁寧さが増します。つける位置によって少しニュアンスが変わります。
- 文の途中:Would you please open the window?
- よりフォーマルで、改まった印象になります。ビジネスメールなどでよく使われます。
- 文の終わり:Would you open the window, please?
- 少し柔らかく、口語的な響きになります。日常会話で丁寧にお願いする時に便利です。
依頼へのスマートな答え方
自分がお願いされた時のために、スマートな返事の仕方も覚えておきましょう。
- 快く引き受ける時
- Of course. / Certainly. (もちろんです。/ かしこまりました。)
- Sure, no problem. (ええ、いいですよ。)
- I’d be happy to. (喜んで。)
- 丁寧に断る時
- I’m sorry, but I’m a little busy right now.
- すみません、今ちょっと手が離せなくて。
- I’d love to help, but I have to finish this first.
- ぜひお手伝いしたいのですが、先にこれを終わらせないといけないのです。
- I’m afraid I can’t.
- 残念ながら、できません。
- I’m sorry, but I’m a little busy right now.
もう一歩先の丁寧表現「Would you mind…?」
最上級の丁寧さを表現したい時は、「Would you mind -ing?」を使ってみましょう。「〜していただくことは可能でしょうか?(ご迷惑ではありませんか?)」という意味です。
- Would you mind closing the door?
- ドアを閉めていただいてもよろしいでしょうか?
この質問への答え方は少し特別です。「気にしますか?」と聞かれているので、OKの場合は「No」で答えるのが基本です。
- 引き受ける時:No, not at all. (いいえ、全く気にしませんよ。)
- 断る時:I’m sorry, I’d rather not. (すみません、できれば…(断りたいです))
場面別・例文で実践練習
最後に、様々な場面を想定して、どの表現が最適か考えながら練習してみましょう。
お店で
- Could you show me that one?
- あれを見せていただけますか?
- Would you have this in a different color?
- これの色違いはありますでしょうか?
道で知らない人に
- Could you tell me the time, please?
- すみません、時間を教えていただけますか?
- Excuse me, would you mind taking our picture?
- すみません、写真を撮っていただいてもよろしいでしょうか?
職場で(同僚や上司に)
- Would you please review this document when you have a moment?
- お時間のある時に、この書類をご確認いただけますでしょうか?
- Could you help me with this project?
- このプロジェクトを手伝っていただけますか?
結論:相手を思いやる気持ちが、英語をより豊かにする
「Would you」がなぜ丁寧なのか、その理由から具体的な使い方まで、ご理解いただけたでしょうか。
- 「Would you」の丁寧さの核心:過去形を使った「間接的」な表現と、相手の「意思」を尊重し「断る自由」を与える配慮にある。
- 使い分けのポイント:相手との関係性や場面のフォーマルさに合わせて、Can / Will / Could / Would を選ぶ。
- 迷った時の合言葉:「Would you」か「Could you」なら、いつでも安心。
単語や文法を覚えるだけでなく、その言葉の裏にある「相手を思いやる気持ち」を感じることで、あなたの英語はもっと自然で、温かいものになります。
今日からぜひ、自信を持って「Would you」を使ってみてください。きっとコミュニケーションがもっと楽しくなるはずです。

英会話カーディム講師。元外資系エンジニアでMBA保持者。海外留学なしに国内で独学にて英語を習得。ラテン語や印欧語、英語史の知識を持ち、英文法を含めた英語体系に詳しい。英語オタクで出版された英和辞典や英文法書は絶版も含めて殆ど持っている。
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