「なんだか気分が乗らないな」「がっかり…」「悲しくて胸が張り裂けそう」
日本語では、「悲しい」という一言でも、その時々の気持ちの度合いによって様々な表現をしますよね。実は英語も同じで、「I’m sad.」以外にも、気持ちのニュアンスを伝えるためのたくさんの表現があります。
この記事を読めば、あなたの「落ち込む」気持ちにピッタリ合う英語表現が見つかり、もっと豊かに感情を伝えられるようになります。
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なぜ「I’m sad」だけじゃダメなの?
もちろん、「I’m sad.」は「悲しいです」という意味の最も基本的な表現で、これを使っても気持ちは伝わります。中学校で最初に習う、とても大切な言葉です。
しかし、ネイティブスピーカーの日常会話では、状況や気持ちの深さに合わせて、より具体的な単語が使われることがほとんどです。なぜなら、感情の細やかなニュアンスを伝えることは、相手との間に深い共感や理解を生むための重要なステップだからです。
例えば、友人に「I’m sad.」とだけ伝えた場合、相手は「どうしたの?」と心配はしてくれますが、悲しさの度合いが分からず、どんな言葉をかければいいか戸惑うかもしれません。一方で、具体的な表現を使えば、「ああ、それはがっかりだね」「そんなに辛かったんだね」と、相手もあなたの気持ちに寄り添いやすくなります。
適切な表現を使い分けることで、あなたの気持ちがより正確に相手に伝わり、人間関係をよりスムーズにする潤滑油になります。これから紹介するフレーズを覚えて、表現の幅を広げていきましょう。
シーン1:理由はないけど、なんとなく気分が沈むとき
大きな悩み事があるわけではないけれど、「なんだか元気が出ない」「気分が晴れない」と感じることは誰にでもありますよね。そんな、ちょっとブルーな気分の時に使える便利な表現です。
I feel down. / I’m feeling low.
「down(下に)」や「low(低い)」という単語が使われていることからも、気分が物理的に下がっているようなイメージがしやすいのではないでしょうか。
これらは、天気が悪くて気分が落ち込む、少し疲れている、など、一時的で比較的軽い気分の落ち込みを表すのに最適なフレーズです。深刻な悩みというよりは、「ちょっと調子が出ないな」というニュアンスです。
例文
- I feel down today for no reason.(今日は特に理由はないけど、なんだか気分が沈んでいます。)
- She seems to be feeling low this week. Maybe she’s just tired.(彼女、今週は元気がないみたい。ただ疲れているだけかも。)
- Rainy days always make me feel a little down.(雨の日はいつも、少し気分が落ち込みます。)
- A: “You look a bit down. Is everything okay?” (少し元気ないね。大丈夫?) B: “I’m fine, just feeling a little low today.” (大丈夫、今日ちょっと気分が沈んでるだけなんだ。)
I’m in a funk.
もう一つ、便利な表現が「I’m in a funk.」です。「funk」は、気分が落ち込んで何もする気が起きない状態を指すカジュアルな言葉です。理由がはっきりしない憂鬱な気分にぴったりです。
- I’ve been in a funk all day and can’t focus on my work.(一日中なんだか憂鬱で、仕事に集中できない。)
シーン2:期待が外れて「がっかり」したとき
楽しみにしていた予定がキャンセルになったり、期待していた結果が得られなかったりした時の「がっかりだよ」「ついてないな」という気持ち。そんな時には、カジュアルな表現がよく使われます。
I’m bummed. / I’m bummed out.
これは、友人同士の会話などで非常によく使われる口語的な表現です。深刻な悲しみというよりは、日常のささいな出来事に対する失望感を表します。「ガーン」というような、軽いショックのニュアンスが含まれます。
先ほどの「I feel down」との違いは、「bummed」にはがっかりする明確な理由がある点です。
I feel down vs. I’m bummed
- I feel down: 特に理由がなくても使える、全般的な気分の落ち込み。
- I’m bummed: 期待外れな出来事など、はっきりした原因がある。
例文
- I was so bummed that the cafe was closed.(そのカフェが閉まっていて、すごくがっかりしたよ。)
- He’s bummed out because he missed the last train.(彼は終電を逃してがっかりしている。)
- A: “The picnic is cancelled due to the rain.” (雨でピクニックは中止だよ。) B: “Oh, I’m so bummed! I was really looking forward to it.” (えー、それはがっかり!すごく楽しみにしてたのに。)
It’s a bummer. / What a bummer.
「がっかりさせる出来事」そのものを指して、「It’s a bummer.」や「What a bummer.」(なんてがっかりなんだ)と言うこともできます。相手ががっかりしている時に、共感を示す相づちとしても非常に便利です。
- A: “I lost my wallet.” (財布をなくしちゃった。) B: “Oh, what a bummer!” (ええ、それはついてないね!)
シーン3:胸が張り裂けそうなくらい、深く傷ついたとき
大切な人やペットとの別れ、信じていた人からの裏切りなど、非常に辛く、深刻な悲しみを表現するための言葉です。これらはとても重い意味を持つため、日常の些細な出来事に使うと大げさに聞こえてしまうので注意しましょう。
I’m heartbroken.
「heart(心)」が「broken(壊れた)」という言葉の通り、心が物理的に粉々になってしまったかのような、強い感情的な痛みを表します。主に、失恋や大切な存在を失った時の、個人的で深い悲しみに使われます。
例文
- She was heartbroken after her breakup of five years.(彼女は5年間付き合った恋人と別れて、ひどく傷心していた。)
- He was heartbroken when his best friend moved to another country.(彼は親友が外国へ引っ越してしまい、深く悲しんでいた。)
I’m devastated.
衝撃的なニュースを聞いたり、予期せぬ不幸に見舞われたりして、精神的に完全に打ちのめされた状態を表します。ショックで頭が真っ白になり、何も考えられない、どうしていいか分からない、というニュアンスです。
「heartbroken」が感情的な痛みに焦点を当てているのに対し、「devastated」は人生を揺るがすような出来事による、より広範囲にわたる精神的な打撃を受けた状態を表します。
例文
- They were devastated by the sudden loss of their friend.(彼らは突然友人を失い、打ちひしがれていた。)
- The whole community was devastated by the news of the factory closure.(工場閉鎖の知らせに、地域社会全体が打ちのめされた。)
- I was absolutely heartbroken when I heard the news about my favorite actor’s passing.(大好きな俳優が亡くなったという知らせを聞いて、本当に胸が張り裂ける思いでした。)
注意!使うときには気をつけたい「depressed」
「落ち込んでいる」という意味で「I feel depressed.」という表現を聞いたことがあるかもしれません。しかし、この単語を使う際には少し注意が必要です。
「depressed」は、日常的な気分の落ち込みを指すこともありますが、同時に「うつ病」という医学的な診断を意味する場合があるからです。英語圏では、メンタルヘルスに関する言葉は非常に慎重に扱われます。
そのため、一時的な気分の落ち込みに対して気軽に使うと、「深刻な病気なのかな?」と相手に誤解を与え、過剰に心配させてしまう可能性があります。
もし、本当に気分がひどく落ち込んでいることを伝えたい場合は、誤解を避けるために以下のような表現を使うのが安全です。
- I’m feeling really down.
- I’m feeling very low.
- I’m going through a tough time. (今、辛い時期なんです。)
これらの表現であれば、深刻な状態であることを伝えつつも、医学的な診断とは一線を画すことができます。
まとめ
今回は、「落ち込む」気持ちを表す様々な英語表現を、ニュアンスの強さに合わせてご紹介しました。
- なんとなく気分が沈むとき (軽い):
- I feel down. / I’m feeling low.
- I’m in a funk.
- がっかりしたとき(カジュアル):
- I’m bummed (out).
- It’s a bummer. / What a bummer.
- 深く傷ついたとき(深刻):
- I’m heartbroken. (感情的な痛み)
- I’m devastated. (衝撃的な打撃)
- 使用に注意が必要: I feel depressed.
いきなり全てを使いこなすのは難しいかもしれません。まずは「こんな表現があるんだ」と知ることから始め、海外の映画やドラマで登場人物がどんな場面でこれらの言葉を使っているかに注目してみるのも良い練習になります。
そして、少しずつ自分の気持ちに近いものを選んで使ってみてください。あなたの気持ちがより深く、正確に伝わることで、英語でのコミュニケーションはもっと楽しく、豊かなものになるはずです。

英会話カーディム講師。元外資系エンジニアでMBA保持者。海外留学なしに国内で独学にて英語を習得。ラテン語や印欧語、英語史の知識を持ち、英文法を含めた英語体系に詳しい。英語オタクで出版された英和辞典や英文法書は絶版も含めて殆ど持っている。
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