こんにちは。英会話カーディムです。
映画『セックス・アンド・ザ・シティ』や『ニューイヤーズ・イブ』などで見るアメリカの年末年始といえば、どのようなイメージをお持ちでしょうか?
煌びやかなドレスに身を包み、シャンパンタワーを囲んで、カウントダウンと共に紙吹雪が舞う盛大なパーティー……そんな華やかなシーンを思い浮かべる方も多いかもしれません。
「アメリカ人はみんな、あんなふうに派手に年を越すの?」
そう思って現地の友人に聞いてみると、実は実際のところは少し様子が違うようです。
基本をサクッと知りたい方は、まず下のYouTube動画をご覧ください。
動画の内容をさらに深掘りして、文化的な背景や、「へぇ!」と思わず言いたくなる雑学、そしてすぐに使える英語フレーズをしっかり学びたい方は、ぜひこのブログを読み進めてくださいね。
今回は「日本 vs. アメリカ」の視点で、意外な文化の違いをじっくりとご紹介します。
1. お正月休みは「1月1日だけ」の衝撃
日本の年末年始といえば、官公庁御用納めから始まり、大掃除、おせちの準備、そして三が日と、一年で最も静かで神聖な「ハレの日」という感覚がありますよね。
しかし、アメリカのカレンダー感覚は日本とは大きく異なります。
- 日本:三が日(1月1日〜3日)や松の内など、新年を祝う期間が長い(「お正月」は一年で最大の行事)
- アメリカ:祝日は基本的に1月1日(New Year’s Day)のみ(「クリスマス」が一年で最大の行事)
なぜ1月2日から働くの?
多くの企業では、1月2日から通常営業が始まります。カレンダーの並びによっては2日も休みになることもありますが、基本的には「1日が休みなら十分」という感覚です。日本人からすると「もう働くの?余韻はないの?」と驚いてしまいますが、これには明確な理由があります。
アメリカでは、11月の感謝祭(Thanksgiving Day)からクリスマスにかけてがホリデーシーズンのピークです。
遠くに住む家族が集まり、ご馳走を食べ、プレゼントを交換し合う……日本のお正月にあたる「家族団欒」のイベントは、実はクリスマスまでに全て終わっているのです。
そのため、アメリカ人にとっての年末年始は、新しい始まりというよりも「長かったパーティーシーズンのフィナーレ(締めくくり)」という位置づけになります。
クリスマスツリーも年明けまで飾ったままにしておく家庭が多く、1月2日になってようやく「さて、飾りを片付けて仕事に戻るか」と日常へのスイッチが入るのです。
覚えておきたい英語表現
仕事始めの際によく使われるフレーズです。休み明けの同僚との会話で使ってみましょう。
- Back to work(仕事に戻る、通常業務に戻る)
例文:
The holidays are over, so it is time to go back to work.
(休暇は終わったので、仕事に戻る時間です。)
I have to go back to work on January 2nd.
(私は1月2日に仕事に戻らなければなりません。)
- Back to reality(現実に戻る=休みボケから抜け出す)
例文:
It is hard to come back to reality after such a long vacation.
(こんなに長い休暇の後に現実に戻るのは大変です。)
2. 大晦日の過ごし方:派手なパーティー vs. お家でまったり
ニューヨークのタイムズスクエアで行われるカウントダウンイベント「ボールドロップ(Ball Drop)」は世界的に有名です。
氷点下の寒さの中、何時間も待って「3, 2, 1… Happy New Year!」と叫び、恋人とキスをする……。
あのような熱狂的な年越しがアメリカの標準だと思われがちですが、実はそうではありません。
ある調査によると、アメリカの成人の約7割は大晦日(New Year’s Eve)を自宅で過ごすと答えています。
- タイムズスクエアのイベント:テレビ中継で見るもの(日本でいう『紅白歌合戦』や『ゆく年くる年』をコタツで見る感覚に近いです)
- 実際の過ごし方:家族や親しい友人と自宅に集まる「ホームパーティー」が主流デリバリーのピザやチキンウィングをつまみながら、ボードゲームをしたり、Netflixを見たりしてのんびり過ごします。
日本のように、除夜の鐘を聞きに寒い中お寺へ参拝(初詣)に行くという宗教的な習慣も一般的ではないため、わざわざ寒い夜に外出するよりも、暖かい部屋でリラックスして新年を迎えるのが好まれるのです。
アメリカ版「蛍の光」?
年が明けた瞬間に歌われる定番曲として『Auld Lang Syne(オールド・ラング・サイン)』があります。
実はこれ、日本の『蛍の光』の原曲なんです。日本では卒業式や閉店の曲として「別れ」のイメージが強いですが、英語圏では「旧友を忘れてはいけない」という友情の歌として、新年のお祝いに歌われます。同じメロディでも、使われる場面が違うのは面白いですね。
覚えておきたい英語表現
大晦日やカウントダウンに関連する表現です。
- Stay home / Stay in(家にいる、外出しない)
例文:
Most people stay home on New Year’s Eve.
(ほとんどの人は大晦日に家にいます。)
We decided to stay in and watch movies.
(私たちは家で映画を見ることに決めました。)
- Ring in the New Year(新年を迎える、新年を祝う)※鐘を鳴らして新年を知らせた昔の習慣から来た表現です。
例文:
How do you plan to ring in the New Year?
(どのように新年を迎える予定ですか?)
3. アメリカにもある「縁起の良い食べ物」
日本にはおせち料理や年越しそばがあり、それぞれに長寿や健康、豊作などの願いが込められていますよね。
実はアメリカ、特に南部地方には、日本のおせち料理のように「食べると縁起が良い」とされる伝統料理があります。
それが「ホッピン・ジョン(Hoppin’ John)」です。
これは豆とお米、豚肉、野菜を一緒に炊き込んだ料理(または煮込み料理)で、南部のお袋の味「ソウルフード」の一つです。使われる食材一つひとつに、あからさまなほど直球の「金運」や「成功」への願いが込められていてユニークです。
ホッピン・ジョンの食材の意味
- ブラックアイドピーズ(黒目豆)
- 象徴するもの:硬貨(コイン)
- クリーム色の豆に黒い点があり、その形がコインに似ていることから、金運アップを願います。また、豆は調理すると水分を含んで膨らむことから「財産が増える」とも言われています。
- コラードグリーンズ(青菜)
- 象徴するもの:ドル紙幣(お札)
- クタクタになるまで煮込まれた緑色の葉野菜は、アメリカのドル紙幣(グリーンバック)の色に似ているため、これもお金を象徴します。「たくさん食べれば食べるほどお金持ちになれる」と言われ、子供たちも頑張って食べるそうです。
- 豚肉(ベーコンやハムなど)
- 象徴するもの:前進、進歩、繁栄
- 動物の習性に注目してください。鶏は後ろに土を蹴り、牛は立ち止まって反芻しますが、豚は鼻を前に突き出して地面を掘り進みます。この姿から、「後ろを振り向かず前進する」というポジティブな意味があります。また、豚は脂肪が多いことから「富と繁栄」の象徴でもあります。
- コーンブレッド(トウモロコシのパン)
- 象徴するもの:金塊(ゴールド)
- ホッピン・ジョンによく添えられる黄色いコーンブレッドは、その色から「金」そのものを表します。
こうして見ると、どこの国でも「新しい年は豊かで幸せに過ごしたい」「お金に困りたくない」という庶民の願いは同じなのだと、とても親近感が湧きますね。
4. 新年の挨拶と抱負を英語で言ってみよう
新年の挨拶といえば “Happy New Year” ですが、いつまで言っていいのか迷ったことはありませんか?
一般的に、この挨拶が自然に使えるのは「1月の第1週目くらいまで」です。それ以降になると、少し時期外れな印象を与えてしまうことがあります。
もし時期を逃してしまったら、”I hope you’re having a good start to the year.”(良い年の始まりを過ごされているといいのですが)のように伝えるとスマートです。
「新年の抱負」はアメリカでも大人気
新年には「今年の抱負(New Year’s resolution)」を立てる方も多いでしょう。
アメリカでもこれは非常に一般的で、特に「ダイエットをする」「ジムに通う」「禁煙する」といった健康に関する目標が人気です。1月のスポーツジムが新規入会者で溢れかえるのは、日本もアメリカも同じ光景です。
そんな決意を語る時にぴったりな、とても素敵な英語の表現があります。
- Turn over a new leaf(心機一転する、気持ちを入れ替えてやり直す、改心する)
直訳すると「新しい葉っぱをひっくり返す」となります。
「葉っぱ?植物の話?」と思うかもしれませんが、実はここでの “leaf” は植物の葉ではなく、古い英語で「本やノートのページ」を指しています(ルーズリーフのリーフと同じです)。
つまり、汚れてしまった古いページをめくって、真っ白な新しいページに物語を書き始めるようなイメージです。
過去の失敗や悪い習慣を改めて、新しいスタートを切るという前向きなニュアンスが含まれています。「生まれ変わる」という強い意志を感じさせる、大人の女性にぴったりの表現です。
例文をいくつか見てみましょう。自分の状況に合わせて使ってみてください。
例文1:
I want to turn over a new leaf this year.
(今年は心機一転したいです。)
例文2:
He decided to turn over a new leaf and stop smoking.
(彼は心機一転して、タバコをやめる決心をしました。)
例文3:
It is never too late to turn over a new leaf.
(心機一転やり直すのに、遅すぎるということはありません。)
もう一つ、似たような表現で簡単なものもご紹介します。
- Start fresh(一からやり直す、新規まき直しをする)
例文:
Let’s start fresh in 2024!
(2024年は心機一転頑張ろう!)
まとめ
アメリカの年末年始について、新しい発見はありましたか?
- 休みは元日だけですぐに日常(仕事)に戻る
- 意外と家で静かに、家族とピザを食べながら過ごす人が多い
- 豆(コイン)、青菜(お札)、豚肉(前進)で金運を願う食文化がある
これらを知っていると、英会話のレッスンでの話題作りにも役立ちますし、海外ドラマを見る目も少し変わるかもしれません。「あ、この人たち豆料理を食べてる!」なんて気づきがあるかもしれませんね。
今年はぜひ “Turn over a new leaf” の気持ちで、英語学習にも新しいページを加えてみてくださいね。

英会話カーディム講師。元外資系エンジニアでMBA保持者。海外留学なしに国内で独学にて英語を習得。ラテン語や印欧語、英語史の知識を持ち、英文法を含めた英語体系に詳しい。英語オタクで出版された英和辞典や英文法書は絶版も含めて殆ど持っている。
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