こんにちは!英語学習をサポートするカーディームです。
日本語の「念のため」って、本当に便利な言葉ですよね。
「念のため、傘持っていこうかな」という日常のちょっとした備えから、「念のため、ご確認いただけますか?」というビジネスでの大切な依頼まで、私たちはこの一言であらゆるニュアンスを伝えています。
でも、いざこれを英語で言おうとすると、「あれ? “Just in case” だけでいいんだっけ?」「なんだか場面に合ってないかも…」「もっと丁寧な言い方はないかな?」と迷ってしまうことはありませんか?
それもそのはず。実は、英語には日本語の「念のため」のように、どんな場面でも万能に使える一言が存在しないのです。
英語では、あなたが「念のため」と言いたいその「目的」によって、いくつかの表現を正しく使い分ける必要があります。
この記事では、英語学習をもう一度頑張りたいと思っている初心者の方に向けて、日本語の「念のため」が持つ3つの主な使い方と、それぞれにピッタリな英語フレーズを、たくさんの例文とともに分かりやすく解説していきます。
この記事を読み終える頃には、あなたはもう「念のため」の英語表現で迷うことはなくなり、シチュエーションに合わせて自信を持って使い分けられるようになっていますよ。
まずはYouTube動画で基本をサクッと理解したい方は、上のリンクからご覧ください。
さらに詳しく、例文もたくさん見ながらじっくり学びたい方は、ぜひこのままブログを読み進めてくださいね。
なぜ英語の「念のため」は難しい?
日本語の「念のため」は、とても広く、便利な意味を持っています。この一言には、大きく分けて3つの心が込められています。
- 悪いことが起きないように「予防」するとき
 - 相手に情報を「補足」するとき
 - 間違いがないか「確認」するとき
 
日本語は「空気を読む」文化なので、この一言で相手に意図を察してもらえます。
一方、英語は「言葉にして具体的に伝える」文化です。そのため、「なぜ、念のためと言うのか?」という目的をハッキリさせる必要があります。
この3つのパターンさえ押さえてしまえば、もう迷うことはありません。一つずつ、例文をたっぷり見ながらマスターしていきましょう。
場面1:【予防】万が一に備える「念のため」
まずは、一番よく使われる「万が一、何かあった時のために」「悪いことが起きないように備えて」という予防のニュアンスです。
1. just in case (ジャスト・イン・ケース)
これは「念のため」の代表格で、皆さんも一度は聞いたことがあるかもしれません。「ひょっとしたら〜かもしれないから」という、漠然とした可能性に備える時によく使われます。日常会話で最も使いやすい、カジュアルなフレーズです。
- I’ll take an umbrella, just in case.(念のため、傘を持っていくよ。)定番の例文ですね。雨が降るかもしれないし、降らないかもしれない、という状況です。
 - You should write down his phone number, just in case.(念のため、彼の電話番号を書き留めておいた方がいいよ。)携帯の充電が切れるかもしれないし、何かあるかもしれないから、という備えです。
 - I’ll bring some snacks, just in case we get hungry.(念のため、お菓子をいくつか持っていくね。お腹が空くかもしれないから。)
 - Here’s my key, just in case I’m not home when you arrive.(念のため、家の鍵をどうぞ。あなたが着いた時に私が家にいないかもしれないから。)このように、 “just in case” の後に「〜の場合に備えて」と具体的な内容(主語 + 動詞)を続けることも非常に多いです。
 
2. to be on the safe side (トゥ・ビー・オン・ザ・セーフ・サイド)
“just in case” が漠然とした可能性への備えだったのに対し、こちらはもう少し慎重に「大事を取って」「安全策をとって」という気持ちが強い表現です。「just to be safe」という言い方もあります。
何か良くないことを避けるために、「意識して安全な方を選ぶ」というニュアンスです。
- Let’s leave early, to be on the safe side.(大事を取って、早めに出発しましょう。)道が混んでいるかもしれない、というリスクを意識して、安全な方(早めに出る)を選ぶニュアンスです。
 - I’ll book the hotel in advance, just to be safe.(念のため(安全策として)、早めにホテルを予約しておくよ。)満室になるリスクを避けるために、安全策をとるイメージです。
 - I bought extra milk, just to be on the safe side.(大事を取って、牛乳を多めに買っておいたよ。)週末に足りなくなったら困るから、という具体的なリスク回避の行動です。
 
3. as a precaution (アズ・ア・プリコーション)
これは少し硬い表現で、ビジネスシーンや公的なアナウンスなどで使われます。「予防措置として」という意味で、特定の具体的なリスクに対して計画的に備える響きがあります。
- As a precaution, all visitors must sign in.(予防措置として、訪問者全員にご署名いただいております。)セキュリティ上のリスクに備える、という感じです。
 - They closed the school as a precaution against the coming typhoon.(台風の接近に対する予防措置として、学校は休校になった。)
 
初心者の方は、まずは日常会話で便利な “just in case” と、少し慎重な “to be on the safe side” の2つを使いこなせれば十分です。
場面2:【補足】情報を付け加える「念のため」
次に、「特に何かしてほしいわけじゃないけど、一応知っておいてほしくて」と情報を付け加えるときの「念のため」です。日本語の「ご参考までに」に近いですね。
1. For your information / FYI (フォー・ユア・インフォメーション / エフ・ワイ・アイ)
「ご参考までに」という意味で、ビジネスメールなどで非常によく使われます。相手に特に行動を求めるものではなく、あくまで「情報共有です」という意思表示です。
- For your information, the meeting schedule has been updated.(ご参考までに、会議のスケジュールが更新されました。)
 - FYI, tomorrow’s event will start at 10 AM.(ご参考まで。明日のイベントは午前10時開始です。)FYIは “For Your Information” の略で、メールの件名や文頭で手軽に使われます。
 - I’m forwarding you the project update, for your information.(ご参考までに、プロジェクトの進捗状況を転送します。)このように文末につけることもあります。
 
2. just so you know (ジャスト・ソー・ユー・ノウ)
“FYI” よりもカジュアルで、会話でよく使われるのがこちらです。「一応言っとくけどね」「参考までに教えとくね」といった親切心から情報を伝えるニュアンスです。
- Just so you know, the shop closes early today.(一応言っとくけど、あのお店、今日は閉まるのが早いよ。)
 - I’m heading out now, just so you know.(一応伝えておくと、今から出かけるね。)家族や同僚に、自分の行動を知らせておく、といった場面で便利です。
 - Just so you know, John is running a little late.(一応言っとくけど、ジョンは少し遅れてるみたいだよ。)
 
注意点
このフレーズは便利な反面、言い方や文脈によっては「教えてあげる」感が強くなり、少し上から目線に聞こえてしまう可能性もゼロではありません。特に、強い口調で言ったり、相手が知っているかもしれない情報をわざわざ言ったりすると、失礼にあたることも。
使うときは、あくまで「親切心で」「あなたが知らなかったらと思って」という柔らかいトーンを心がけると良いでしょう。
3. for the record (フォー・ザ・レコード)
これは「はっきり言っておきますが」「公式な記録のために言っておきますが」という、非常にフォーマルで強い言い方です。自分の発言や立場を明確にし、誤解のないようにしておきたい時に使います。
- For the record, I did not agree to this plan.(はっきり申し上げておきますが、私はこの計画に同意していません。)会議などで、自分の反対意見を議事録に残すようなイメージです。
 - Just for the record, I completed my part of the project on time.(念のためはっきり言っておきますが、私はプロジェクトの自分の担当分を期限内に完了させました。)
 
日常会話で使うことは稀なので、こういう表現もあるんだな、くらいに留めておいて大丈夫です。
場面3:【確認】間違いがないか確かめる「念のため」
最後は、「これで合ってるかな?」という自分の不安を解消したり、相手との認識を合わせたりするために「確かめる」ときの「念のため」です。
1. just to be sure / just to make sure (ジャスト・トゥ・ビー・シュア / ジャスト・トゥ・メイク・シュア)
「念のため(確かめるために)」という意味で、自分の不安や疑問を解消するために確認したい、という気持ちが強い表現です。”make sure” の方が「確実に実行する」という行動を伴うニュアンスが少し強くなります。
- Let me read back your email address, just to be sure.(念のため、メールアドレスを復唱させてください。)自分の聞き間違いがないか、不安だから確認する、という気持ちです。
 - I’ll call the restaurant again, just to make sure they have our reservation.(念のため、もう一度レストランに電話して、予約が取れているか確認するよ。)予約が取れていることを「確実にする」ために、電話するという行動に出るニュアンスです。
 - Did you lock the door? Just to be sure.(ドアの鍵かけた? 念のため確認だけど。)相手の行動を疑うというよりは、自分の不安を解消したいという感じです。
 - I think I turned off the stove, but I’ll go back and check, just to make sure.(コンロは消したと思うけど、念のため、戻って確認するよ。)
 
2. just to confirm (ジャスト・トゥ・コンファーム)
“just to be sure” が「自分の不安解消」のニュアンスが強かったのに対し、こちらは特にビジネスシーンで、予約や会議の日時など、相手との「認識が合っているか」を確かめる時によく使われます。二者間での「合意事項」を確かめるイメージです。
- Just to confirm, our meeting is at 10 AM tomorrow, right?(念のため確認ですが、会議は明日の午前10時で合っていますよね?)お互いのカレンダーが合っているか、認識をすり合わせる行為です。
 - I’m calling just to confirm my flight reservation.(フライトの予約を念のため確認したく、お電話しました。)
 - Just to confirm, you ordered the blue one, not the red one?(念のため確認ですが、ご注文は赤ではなく青でお間違いないですか?)お店でお客さんの注文を確かめる時などにも使われます。
 
3. double-check (ダブル・チェック)
これは「再確認する」という「動詞」です。ここまでのフレーズが文頭や文末に添える副詞的な役割だったのに対し、これは「(もう一度)確認する」という行為そのものを指します。
ミスを防ぎたい、確実性を高めたい、という気持ちから「念のためもう一回」チェックするイメージです。
- You should double-check your passport expiration date.(念のため、パスポートの有効期限を再確認したほうがいいよ。)
 - I’ve finished the report, but I need to double-check the numbers.(レポートは終わったけど、念のため数字を再確認しないと。)
 - Please double-check that you’ve attached the file before sending the email.(メールを送る前に、念のためファイルが添付されているか再確認してください。)
 
まとめ
いかがでしたか? 日本語では便利な「念のため」という一言も、英語では伝えたい目的に合わせてフレーズを選ぶ必要があることがお分かりいただけたかと思います。
- 予防(万が一に備える)
- just in case (漠然とした可能性に備えて)
 - to be on the safe side (大事を取って・安全策として)
 
 - 補足(情報を付け加える)
- for your information (FYI) (ご参考までに・ビジネス)
 - just so you know (一応言っとくけどね・カジュアル)
 
 - 確認(確かめる)
- just to be sure / just to make sure (自分の不安解消のために)
 - just to confirm (相手との認識合わせのために)
 - double-check(動詞) (再確認する)
 
 
英語のやり直し学習では、こうしたニュアンスの違いを一度に完璧に暗記する必要はまったくありません。
まずは「あ、こういう時は “just in case” じゃない言い方があるんだ」「今言いたい『念のため』は、予防・補足・確認のどれだろう?」と気づくことが、何よりも大きな第一歩です。
映画や海外ドラマを見ているときに、登場人物がどんな場面で、どんなトーンでこれらのフレーズを使っているか、少し意識して聞いてみるのも素晴らしい練習になります。
ぜひ、実際の会話の中で「この場合はどのパターンかな?」と一旦立ち止まって考える習慣をつけながら、少しずつ使い分けてみてくださいね。その小さな意識の積み重ねが、あなたの英語をより自然で、相手に伝わるものへと変えていきますよ。

英会話カーディム講師。元外資系エンジニアでMBA保持者。海外留学なしに国内で独学にて英語を習得。ラテン語や印欧語、英語史の知識を持ち、英文法を含めた英語体系に詳しい。英語オタクで出版された英和辞典や英文法書は絶版も含めて殆ど持っている。
★ このブログの運営は、初心者専門英会話カーディム が行っています。★
  
  
  
  
