「がっかりした…」この気持ち、英語でどう表現していますか?
もしかしたら、いつも “I’m disappointed.” だけで済ませてしまっているかもしれません。もちろん、それでも間違いではありませんし、基本を覚えていることは素晴らしいことです。
ですが、ネイティブの会話では、状況や相手、そして「がっかり」の度合いによって、実にさまざまな表現が使われています。たった一つのフレーズだけでは、あなたの繊細な気持ちが正確に伝わらなかったり、時には少し不自然に聞こえてしまったりすることも。特に、私たち大人のコミュニケーションでは、言葉の選び方一つで人間関係がスムーズになったり、逆に気まずくなったりもしますよね。
この記事では、そんな「がっかり」の気持ちを豊かに、そして適切に伝えるための英語表現を、英語学習を再スタートした大人の方にも分かりやすく、徹底的に解説していきます。
動画で基本的な表現の概要を掴んだら、このブログでさらに深い知識と豊富な例文に触れて、表現の幅をぐっと広げていきましょう。
基本の「き」:be disappointed を完璧に使いこなす
まずは、全ての基本となる “be disappointed” から。これは「がっかりした」という意味で最も万能な表現ですが、ポイントはその後ろにつく前置詞です。何に対してがっかりしたのかによって前置詞を使い分けることで、あなたの気持ちをより正確に伝えることができます。このひと手間が、あなたの英語をより知的で、細やかなものに変えてくれます。
人 vs. 物事:disappointed in vs. with
これは最も重要な使い分けです。がっかりした対象が「人」なのか、それとも「物事」なのかで前置詞が変わります。この違いを理解するだけで、あなたの表現力は格段にアップします。
- disappointed in (人・人格・信頼に対して)”in” は主に「人」に対して使われ、その人の行動や人格、信頼を裏切られた、というような少し重みのある失望感を表します。単なる行動への不満ではなく、その人の「内面」や「あり方」に対してがっかりした、というニュアンスが含まれます。だからこそ、使うときには少し慎重さが必要です。
- 例文:I’m disappointed in you for not telling me the truth.
- 日本語訳:本当のことを言ってくれなかった君(という人間性)にがっかりしているよ。
- 例文:She was disappointed in her son for his poor grades.
- 日本語訳:彼女は息子の成績の悪さにがっかりした。(期待していた彼の能力や努力が発揮されなかったことに対して)
- 例文:The manager was disappointed in the team’s lack of effort.
- 日本語訳:マネージャーはチームの努力不足に失望した。
- disappointed with (物・結果・パフォーマンスに対して)”with” は物事、結果、サービス、人の行動(パフォーマンス)など、幅広い対象に使えます。人に対して使っても “in” ほどの個人的な非難のニュアンスはなく、あくまで具体的な「行動」や「成果物」に対する不満を示します。
- 例文:I was disappointed with the movie. It was boring.
- 日本語訳:その映画にはがっかりしたよ。退屈だった。
- 例文:He is disappointed with his new computer because it is too slow.
- 日本語訳:彼は新しいコンピューターが遅すぎるのでがっかりしている。
- 例文:I’m disappointed with your work on this report. There are too many mistakes.
- 日本語訳:このレポートの出来にはがっかりです。間違いが多すぎます。(あなた自身ではなく、あくまでレポートの品質に対して)
その他の前置詞:at, by, about
- disappointed at / about (出来事・ニュース・状況に対して)特定の出来事やニュース、状況に対してがっかりした時に使います。誰のせいでもないような、客観的な事実に対するがっかり感を表すのに便利です。”at” と “about” は多くの場合、交換可能です。
- 例文:We were all disappointed at the news of the cancellation.
- 日本語訳:私たちは中止の知らせに皆がっかりした。
- 例文:I’m disappointed about the rainy weather this weekend.
- 日本語訳:今週末の雨の天気にはがっかりだよ。
- disappointed by (原因・行為者に対して)がっかりさせられた原因や行為をはっきり示したい時に使います。「~によって」がっかりさせられた、という直接的な因果関係を示します。
- 例文:She was disappointed by his rude comment.
- 日本語訳:彼女は彼の失礼なコメントにがっかりした。
- 例文:We were disappointed by the lack of information provided.
- 日本語訳:提供された情報が不足していたことに、私たちはがっかりした。
友達との会話で使えるカジュアルな「がっかり」
親しい友人との会話で “I’m disappointed.” と言うと、少し硬くて大げさに聞こえてしまうことがあります。もっと気軽に「あーあ、がっかり」「へこむわー」という気持ちを伝えたい時は、次のようなカジュアルな表現がぴったりです。これらを使いこなせると、一気にネイティブらしい響きになります。
I’m bummed (out).(がっかりだよ、へこむわ)
日常会話で非常によく使われるスラングです。楽しみにしていたことがダメになった時などの、個人的で軽い失望感を表します。”out” は付けても付けなくても意味はほぼ同じですが、付けると少し気持ちが強調されることがあります。
- 例文:I’m so bummed that our favorite cafe is closed today.
- 日本語訳:お気に入りのカフェが今日閉まってて、すごくがっかりだよ。
- 例文:He was bummed out because he couldn’t get tickets to the concert.
- 日本語訳:彼はコンサートのチケットが取れなくて、へこんでいたよ。
That’s a bummer. / What a bummer!(そりゃ残念だね)
相手の不運な話を聞いて、「それは残念だね」「ついてないね」と共感を示す時に使う、最高の相づちです。相手の気持ちに寄り添う、温かいコミュニケーションが生まれます。
- A: “I have to work this Saturday.” (今週の土曜、仕事になっちゃった)
- B: “Oh, that’s a bummer. I was hoping we could go for a drive.” (えー、それは残念。ドライブに行けると思ってたのに)
- A: “My flight was delayed by three hours.” (飛行機が3時間も遅れたんだ)
- B: “What a bummer! That must be tough.” (なんてこった!それは大変だね)
I feel let down.(がっかりさせられた)
誰かに期待を裏切られた、というニュアンスで使います。”bummed” が状況に対するがっかり感なのに対し、”let down” は「特定の人」に対する失望感を表します。約束を破られたり、信じていたのに助けてもらえなかったり…そんな、少し心にチクリとくるようながっかり感です。
- 例文:You promised you would help me. I feel really let down.
- 日本語訳:手伝ってくれるって約束したじゃない。本当にがっかりだよ。
- 名詞形の “a letdown” も非常によく使われます。「期待外れなもの・こと」を意味します。
- 例文:The ending of the book was a total letdown.
- 日本語訳:その本の結末は、全くの期待外れだった。
ビジネスやフォーマルな場面での丁寧な「がっかり」
ビジネスシーンや目上の方との会話では、感情をストレートに表現するのは避けたいもの。自分の感情をぶつけるのではなく、問題点を客観的に伝え、建設的な対話につなげることが大切です。そんな時は、丁寧で間接的な表現を使うのが大人のマナーです。
It’s unfortunate that…(〜なのは残念です)
非常にフォーマルで、非難のニュアンスを全く含まずに「遺憾の意」を示すことができます。問題を個人の感情から切り離し、「残念な状況ですね」と客観的な事実として提示する表現です。悪い知らせを伝えなければならない時に最適な表現です。
- 例文:It’s unfortunate that we have to postpone the meeting due to a scheduling conflict.
- 日本語訳:スケジュールの都合上、会議を延期しなければならないのは、誠に残念です。
It didn’t live up to my expectations.(期待していたほどではなかった)
商品やサービス、レストランなどを評価する際に「期待していた基準には達しなかった」と、客観的なニュアンスで伝えることができます。「悪かった」と断定するのではなく、「期待と現実の間にギャップがあった」と伝えることで、相手も受け入れやすくなり、改善のための話し合いにつなげやすくなります。
- 例文:The hotel was nice, but the service didn’t live up to my expectations.
- 日本語訳:ホテルは素敵でしたが、サービスは期待していたほどではありませんでした。
- 例文:Thank you for your presentation, but to be honest, it didn’t quite live up to my expectations regarding the data analysis.
- 日本語訳:プレゼンありがとう。でも正直なところ、データ分析に関しては私の期待に少し届いていませんでした。
It’s a shame / It’s a pity that…(〜とは残念だ、もったいない)
自分の主観的な感情というより、「その状況自体が残念だ」と客観的に述べたい時に使います。相手への同情を示すのにも便利な表現です。ビジネスシーンでも、機会を逃した時などに「もったいないですね」というニュアンスで使えます。
注意: “shame” には「恥」という意味もありますが、このフレーズでは「残念なこと」という意味になり、非難のニュアンスは全くないので安心して使ってください。
- 例文:It’s a shame you couldn’t join us for dinner.
- 日本語訳:夕食に一緒に来られなくて残念だよ。
- A: “I failed my exam.” (試験に落ちちゃった)
- B: “Oh, what a pity. You studied so hard.” (あら、それは残念。あんなに一生懸命勉強したのに)
「うんざり…」我慢の限界を表す強い「がっかり」
単なるがっかりを超えて、繰り返される問題や長引く不満に「もううんざり!」「我慢の限界!」と感じることもありますよね。これらはかなり強い表現なので、関係性を変えてしまう可能性すらあります。使う相手や状況は慎重に選ぶ必要がありますが、覚えておくと自分の感情を正直に表現するための最終手段になります。
I’m fed up with…(〜にはうんざりだ、もうこりごりだ)
長期間続く不満に対して、我慢の限界に達している状態を表す、非常に一般的な口語表現です。一度や二度のことではなく、何度も繰り返されることに対して使われるのがポイントです。
- 例文:I’m fed up with this constant noise from upstairs. I’m going to complain.
- 日本語訳:上の階からのこの絶え間ない騒音には、もううんざりだ。苦情を言いに行くよ。
- 例文:She is fed up with her boss’s unreasonable demands. She’s thinking of quitting.
- 日本語訳:彼女は上司の理不尽な要求にうんざりしている。仕事を辞めようかと考えている。
I’ve had enough of…(〜はもうたくさんだ)
“fed up with” と似ていますが、より「もう我慢できない、この状況を終わらせたい」という強い決意が感じられる表現です。これが口から出たら、次は何らかの行動を起こす、という最後通牒のような響きがあります。
- 例文:I’ve had enough of your excuses! I want the truth, now.
- 日本語訳:あなたの言い訳はもうたくさん!今すぐ本当のことを教えて。
- 例文:That’s it. I’ve had enough. We need to talk.
- 日本語訳:もう終わりよ。我慢の限界。私たち、話す必要があるわ。
まとめ:言葉を選べば、気持ちはもっと伝わる
いかがでしたか?
「がっかり」という一つの感情にも、これだけ多くの表現があることに驚かれたかもしれません。
大切なのは、誰に、どんな状況で、どのくらいの気持ちを伝えたいのか、その文脈を意識して言葉を選ぶことです。それは英語でも日本語でも同じですよね。適切な言葉を選ぶことは、相手への配慮であり、知的で誠実な人柄を伝えることにも繋がります。
まずは、友人との会話で “That’s a bummer.” と相づちを打ってみたり、期待外れの映画の感想を “It wasn’t as good as I thought.” と言ってみたり、できそうなことから試してみてください。
一つ一つの言葉のニュアンスを理解し、使いこなせるようになると、あなたの英語でのコミュニケーションは、より豊かで深みのあるものになるはずです。あなたの気持ちが、もっと豊かに伝わりますように。

英会話カーディム講師。元外資系エンジニアでMBA保持者。海外留学なしに国内で独学にて英語を習得。ラテン語や印欧語、英語史の知識を持ち、英文法を含めた英語体系に詳しい。英語オタクで出版された英和辞典や英文法書は絶版も含めて殆ど持っている。
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