英語で自分の意見を言うとき、「賛成か反対かはっきり言わなければ」とプレッシャーに感じていませんか?
「まだ決めかねているのに…」「どちらの意見もわかる気がする…」
そんなふうに、自分の意見をはっきり言えず、黙り込んでしまった経験があるかもしれません。
この記事では、そんなあなたのための「お守り」になる、英語で賢く「中立的な立場」を伝えるための便利なフレーズと、その使い方を徹底解説します。
まずは、基本を5分でサクッと理解したいという方は、こちらのYouTube動画をご覧ください。
[ここにYouTube動画へのリンクを挿入]このブログでは、動画の内容をさらに深掘りし、ビジネスシーンや日常会話で使える具体的な表現をたっぷりの例文付きでご紹介します。最後まで読めば、もう英語での発言に臆することなく、自信を持ってコミュニケーションが取れるようになりますよ。
なぜ英語で「中立」を伝えることが重要なのか?
「英語では自分の意見をはっきり言うべき」とよく言われます。確かにそれも一理ありますが、いつもそうである必要はありません。
実は、意図的に「中立の立場をとる」ことは、単に意見がないことや優柔不断さとは全く違う、非常に高度なコミュニケーション戦略なのです。
- 沈黙 vs. 言葉で伝える中立
- 日本では「沈黙は金」という考え方もありますが、英語のコミュニケーションでは、黙っていると「興味がないのかな?」「分かっていないのかな?」と誤解されてしまうことがあります。
- しかし、「両方の意見をしっかり聞きたいので、今は中立でいます」と言葉にして伝えれば、それは「深く考えている」「公平である」という積極的な姿勢として受け取られます。
中立の立場をうまく示すことで、議論が白熱しすぎるのを防いだり、相手への敬意を示して信頼関係を築いたりすることができます。これは、消極的な態度ではなく、むしろ賢く、思慮深いコミュニケーションなのです。
まずはこれだけ!基本の中立表現5選
何から覚えればいいか分からない…という方のために、まずはこれだけ押さえておけば安心、という基本的なフレーズを5つご紹介します。それぞれの表現が持つニュアンスを深く理解して、あなたの「言葉の引き出し」を増やしましょう。
- I’m on the fence.
- 日本語訳: 決めかねています。
- 解説: フェンス(fence)の上にちょこんと座って、どちらの側に下りようか決めかねている…そんな光景が目に浮かぶような、遊び心のある表現です。どちらか一方に完全にコミットせず、中間地点にいることを示します。親しみやすく、少しカジュアルな響きがあるため、場の緊張を和らげたいときにも便利です。
- こんな時に便利: 個人的な好みや、それほど深刻ではない決断について話すとき。
- 例文1:
- A: “Should we go out for dinner or order in?” (夕食は外食にする?それとも出前にする?)
- B: “Honestly, I’m on the fence. Both sound good.” (正直、決めかねてるわ。どっちも良さそう。)
- 例文2:
- “I’m on the fence about buying a new smartphone. This one still works, but the new model has a better camera.” (新しいスマートフォンを買うか決めかねています。今のもまだ使えるけど、新しいモデルはカメラの性能がいいから。)
- I can see both sides.
- 日本語訳: 両方の言い分が分かります。
- 解説: 対立する2つの意見のどちらにも、一理あると理解を示したいときに最適なフレーズです。これを使うことで、あなたは単なる傍観者ではなく、両者の意見を尊重する、思慮深く公平な人物であるという印象を与えられます。議論が白熱しているときに、一度冷静になるよう促すクッション言葉としても非常に有効です。
- こんな時に便利: 意見が分かれている場で、どちらか一方の肩を持つのではなく、全体の調和を大切にしたいとき。
- 例文1:
- “Some people want to work from home, and others want to come to the office. I can see both sides.” (在宅勤務をしたい人もいれば、出社したい人もいます。両方の言い分が分かります。)
- 例文2:
- “My parents want me to find a stable job, but I want to travel the world. It’s difficult because I can see both sides.” (両親は私に安定した仕事を見つけてほしいと思っていますが、私は世界を旅したい。両方の言い分が分かるので、難しいです。)
- The jury is still out on that for me.
- 日本語訳: 私の中では、まだ結論は出ていません。
- 解説: “jury”(陪審員)が証拠を吟味し、まだ評決を出していない、という法廷の様子から来ています。この表現を使うと、単に「分からない」のではなく、「判断するための情報や時間がまだ足りないため、慎重に考えている」という知的で論理的なニュアンスを伝えることができます。”I’m on the fence”よりも少し硬く、フォーマルな響きがあります。
- こんな時に便利: 複雑な問題や、将来の予測について、軽々しく判断したくないとき。
- 例文1:
- “Is this new software really effective? The jury is still out on that for me.” (この新しいソフトは本当に効果があるのでしょうか?私の中ではまだ結論は出ていません。)
- 例文2:
- “Will drone delivery become common in the next five years? The jury is still out on that, I think.” (ドローン配送は5年以内に一般的になるでしょうか?それについては、まだ結論は出ていないと私は思います。)
- I’m taking a wait-and-see approach.
- 日本語訳: 様子見のアプローチをとっています。
- 解説: これは、優柔不断さとは対極にある、意図的で戦略的な「待ち」の姿勢を示す表現です。重要なのは “approach” (アプローチ)という言葉。これは単に待っているのではなく、「状況を注意深く観察し、情報を収集した上で、最適なタイミングで行動する」という計画的な方針を意味します。特にビジネスシーンで、思慮深く、計画性のある人物であることを示したい場合に役立ちます。
- こんな時に便利: 市場の動向、競合の動き、新しい技術など、不確定要素が多い状況で判断を下すとき。
- 例文1:
- “Regarding the new marketing plan, I’m taking a wait-and-see approach.” (新しいマーケティング計画に関しては、様子見のアプローチをとっています。)
- 例文2:
- “The housing market is very unpredictable right now. We’re taking a wait-and-see approach before buying a house.” (住宅市場は今、非常に予測がつきにくいです。家を買う前に、私たちは様子見のアプローチを取っています。)
- I’d rather not say.
- 日本語訳: どちらとも言いたくありません。/言うのは控えたいです。
- 解説: “I don’t want to say” (言いたくない) よりもずっと丁寧で、柔らかい拒絶の表現です。”I would rather not…” (〜しないことを選びます) という形にすることで、相手に有無を言わさず拒否するのではなく、あくまで自分の個人的な選択として、発言を控えるというニュアンスになります。話題がデリケートな場合や、ゴシップ、他人のプライバシーに関わることなど、自分がコメントする立場にないと判断したときに、賢く境界線を引くことができます。
- こんな時に便利: 他人の個人的な問題や、社内の機密情報など、答えるのが不適切な質問をされたとき。
- 例文1:
- A: “Who do you think is responsible for the mistake?” (このミスの責任は誰にあると思う?)
- B: “I’d rather not say. We should focus on how to fix it.” (それは言いたくありません。どう修正するかに集中すべきです。)
- 例文2:
- A: “How much did you pay for your car?” (その車、いくらしたの?)
- B: “If you don’t mind, I’d rather not say.” (もし差し支えなければ、言うのは控えたいです。)
【状況別】使い分けでもっと伝わる!中立表現
基本のフレーズを覚えたら、次は状況に合わせて表現を使い分けてみましょう。ここでは「ビジネスシーン」と「日常会話」に分けて、さらに便利なフレーズをご紹介します。
フォーマルなビジネスシーンで
会議や交渉の場では、より丁寧でプロフェッショナルな表現が求められます。
- I’d like to reserve my judgment until we have all the facts.
- 日本語訳: 全ての事実が揃うまで、私の判断は保留したいと思います。
- 解説: 軽率な判断を避け、情報に基づいて客観的に考えたいという真摯な姿勢を示せます。
- Let’s explore this further before forming a conclusion.
- 日本語訳: 結論を出す前に、この点をさらに探求しましょう。
- 解説: リーダー的な立場で、チームに性急な決定をせず、深く考えるよう促すときに使えます。
- I see where you’re coming from, but it’s a complex issue.
- 日本語訳: おっしゃることは理解できますが、これは複雑な問題です。
- 解説: 相手の意見に理解を示しつつ、問題が単純ではないことを伝え、議論をより深いレベルに導きます。
カジュアルな日常会話で
友人や家族との会話では、より自然で親しみのある表現が好まれます。
- I’m torn.
- 日本語訳: (2つの選択肢の間で)迷っています。
- 解説: “be torn” は「引き裂かれる」という意味。2つの魅力的な選択肢の間で心が揺れている、というニュアンスです。
- 例文: “I’m torn between the red dress and the blue one.” (赤いドレスと青いドレス、どっちにしようか迷ってるの。)
- It’s six of one, half a dozen of the other.
- 日本語訳: どっちもどっちだね。/大差ないよ。
- 解説: 「6個」と「半ダース(=6個)」で結局は同じ、という意味の面白いイディオムです。2つの選択肢に大差がないときに使います。
- 例文: “We can take the train or the bus. It’s six of one, half a dozen of the other.” (電車で行ってもバスで行ってもいいよ。どっちも大して変わらないから。)
- Let’s just agree to disagree.
- 日本語訳: 意見が違うということで合意しましょう。
- 解説: 議論が平行線のまま終わりそうにないときに、関係を壊さずスマートに会話を終えるための定番フレーズです。
【重要】「優柔不断な人」に見られないための2つのコツ
中立的な表現を使うときに一番心配なのが、「意見のない人」「優柔不断な人」だと思われてしまうことではないでしょうか。そうならないために、とても大切な2つのコツがあります。
コツ1:理由を付け加える
なぜ中立なのか、簡単な理由を付け加えるだけで、あなたの発言は「考えていない」から「深く考えている」に変わります。
- 悪い例: “I’m on the fence.” (決めかねています。)
- 良い例: “I’m on the fence because I need more information to decide.” (決めるにはもっと情報が必要なので、決めかねています。)
コツ2:質問して関心を示す
中立の立場を表明した後に、関連する質問をすることで、あなたが無関心なのではなく、むしろ積極的に議論に参加していることをアピールできます。
- 悪い例: “I can see both sides.” (両方の言い分が分かります。)
- 良い例: “I can see both sides. What is the most important factor for this decision?” (両方の言い分は分かります。この決定において最も重要な要素は何ですか?)
この2つのコツを意識するだけで、あなたの中立的な態度は、思慮深く、建設的なものとして相手に伝わるはずです。
まとめ
英語の会話で「中立」を表明することは、決して「逃げ」の姿勢ではありません。むしろ、場の空気を読み、人間関係を円滑にし、より良い結論を導くための、洗練された大人のコミュニケーションスキルです。
今回ご紹介したフレーズは、あなたの英語コミュニケーションの引き出しを増やし、自信を与えてくれるはずです。
まずは覚えやすいと感じたフレーズを一つ選んで、次の会話で使ってみてください。きっと、発言することへのハードルがぐっと下がり、英語での対話がもっと楽しくなりますよ。

英会話カーディム講師。元外資系エンジニアでMBA保持者。海外留学なしに国内で独学にて英語を習得。ラテン語や印欧語、英語史の知識を持ち、英文法を含めた英語体系に詳しい。英語オタクで出版された英和辞典や英文法書は絶版も含めて殆ど持っている。
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