「07/04/2025」
この日付を見て、すぐに何月何日か分かりますか?「7月4日」だと思った方、「4月7日」だと思った方、どちらも正解の可能性があります。実はこれ、英語の日付表記で多くの学習者がつまずく「アメリカ式とイギリス式の違い」によるものなのです。
こんにちは!この記事では、そんな紛らわしい英語の日付表記について、誰にでも分かるように徹底解説していきます。
手軽に基本を理解したい方は、まずはこちらのYouTube動画をご覧ください。
そして、さらに深く学んで、どんな場面でも自信を持って日付を使いこなしたい方は、ぜひこのまま記事を読み進めてください。この記事を読み終える頃には、あなたの日付に関する悩みはスッキリ解消されているはずです。
なぜ混乱する?英語の日付表記の基本
海外の友人とのメール、ビジネス文書、ウェブサイトの予約などで、数字だけで書かれた日付を見て「あれ?」と戸惑った経験はありませんか。
例えば、「07/04/2025」という表記。
- アメリカでは「月」を先に書くため、これは「2025年7月4日」を意味します。
- 一方、イギリスや世界の多くの国では「日」を先に書くため、「2025年4月7日」と解釈されます。
このように、同じ表記でも国や地域によって意味が変わってしまうのが、混乱の最大の原因です。これはどちらかが間違っているわけではなく、単に文化的な慣習の違いから来ています。
この問題を解決するために、まずは主要な3つの日付表記法を理解することから始めましょう。
- アメリカ式 (月-日-年)
- イギリス式 (日-月-年)
- 国際標準 (年-月-日)
それぞれの特徴を、具体的な例文と共に詳しく見ていきましょう。
3つの主要な日付表記法を徹底解説
アメリカ式: 月-日-年 (Month-Day-Year)
アメリカ式は、その名の通り「月、日、年」の順番で表記します。アメリカ合衆国やその関連地域で主に使用されています。
書き方のルールと特徴
- 順番: 常に「月→日→年」です。
- コンマ: 日と年の間にコンマ「,」を入れるのが大きな特徴です。
具体的な書き方
月を単語で書くのが最もフォーマルで分かりやすい方法です。
- July 4, 2025(2025年7月4日)
- March 15, 2026(2026年3月15日)
文の途中で日付を使う場合は、年の後にもコンマが必要になります。
- The meeting on July 4, 2025, will be held online.(2025年7月4日の会議はオンラインで開催されます。)
口語での読み方
書くときは数字(4, 15)ですが、話すときは序数(fourth, fifteenth)を使うのが一般的です。
- July 4, 2025 → “July fourth, twenty twenty-five” (ジュライ フォース、トゥエンティ トゥエンティファイブ)
- March 15, 2026 → “March fifteenth, twenty twenty-six” (マーチ フィフティーンス、トゥエンティ トゥエンティシックス)
イギリス式: 日-月-年 (Day-Month-Year)
イギリス式は「日、月、年」という、私たち日本人にも馴染みやすい順番です。イギリスをはじめ、オーストラリア、ニュージーランド、ヨーロッパ、アジアなど、世界中の多くの国で採用されている最も一般的な形式です。
書き方のルールと特徴
- 順番: 常に「日→月→年」です。
- コンマ: 通常、コンマは使いません。
具体的な書き方
アメリカ式と同様に、月を単語で書くと明確になります。
- 4 July 2025(2025年7月4日)
- 15 March 2026(2026年3月15日)
日常的な手紙などでは、日に序数詞の接尾辞(st, nd, rd, th)を付けて書くこともあります。
- 4th July 2025
口語での読み方
“the” と “of” を使って読むのが、イギリス式の特徴です。
- 4 July 2025 → “the fourth of July, twenty twenty-five” (ザ フォース オヴ ジュライ、トゥエンティ トゥエンティファイブ)
- 15 March 2026 → “the fifteenth of March, twenty twenty-six” (ザ フィフティーンス オヴ マーチ、トゥエンティ トゥエンティシックス)
国際標準: 年-月-日 (YYYY-MM-DD)
アメリカ式とイギリス式の混乱を避けるために作られたのが、この国際標準形式です。ISO 8601という国際規格で定められており、特にビジネスやITの分野で推奨されています。
書き方のルールと特徴
- 順番: 常に「年→月→日」です。
- 区切り文字: ハイフン「-」でつなぐのが基本です。
- 桁数: 年は4桁、月と日は2桁(1桁の場合は0を付ける)で表記します。
具体的な書き方
この形式は、誰が見ても解釈が一つに定まるため、誤解の心配がありません。
- 2025-07-04(2025年7月4日)
- 2026-03-15(2026年3月15日)
この形式は、コンピュータでファイルを日付順に並べ替える(ソートする)際に非常に便利で、国際的なビジネス文書やデータ交換で広く使われています。
比較まとめ表
項目 | アメリカ式 (MM-DD-YYYY) | イギリス式 (DD-MM-YYYY) | 国際標準 (YYYY-MM-DD) |
表記順 | 月 – 日 – 年 | 日 – 月 – 年 | 年 – 月 – 日 |
フォーマルな書き方 | July 4, 2025 | 4 July 2025 | 2025-07-04 |
数字のみの例 | 7/4/25 | 4/7/25 | 2025-07-04 |
コンマ | 日と年の間に必須 | 通常不要 | 不要 |
一般的な読み方 | “July fourth…” | “the fourth of July…” | (地域による) |
なぜ違いが生まれた?歴史と文化の背景
今日私たちが見る日付表記の多様性は、単なる偶然の産物ではありません。それは、歴史の大きな潮流、文化的な独立、そしてテクノロジーの進化が織りなす、一つの物語の結果なのです。アメリカ式とイギリス式がなぜ異なる道を歩んだのか、そして国際標準はどのようにして生まれたのか、その背景を深く探ってみましょう。
アメリカ式とイギリス式の分岐点:大西洋が隔てた歴史
驚くべきことに、現在「アメリカ式」として知られる「月-日-年」の形式は、もともとイギリスで生まれたものでした。17世紀から18世紀にかけてのイギリスでは、この書き方がごく一般的に使われていたのです。これは、日付を口に出して言うとき、「July the fourth (7月の4日目)」のように月を先に言う話し言葉の習慣を、そのまま書き言葉に反映したものでした。アメリカ独立宣言の有名な日付が「July 4, 1776」と記されているのは、まさに当時のイギリスの慣習に従ったためであり、両者が同じルーツを共有していたことの証です。
しかし、歴史の歯車が回り始めると、両者は別々の道を歩み始めます。
20世紀に入ると、イギリス本国および大英帝国の他の地域では、ヨーロッパ大陸で主流だった「日-月-年」の形式へと徐々に移行していきます。これは、軍隊や行政機関での記録管理が効率化される中で、「日→月→年」という小さい単位から大きい単位へと並べる方が、より論理的で整理しやすいと見なされたためです。
一方、大西洋の向こう側のアメリカは、すでに独自の文化を築き始めており、ヨーロッパの新しい流行に合わせる必要性を感じませんでした。国民は慣れ親しんだ「月-日-年」の形式をそのまま維持し、それが標準として定着しました。この現象は、言語における「化石化」の一例と見ることができます。本国では使われなくなった古い言葉や表現が、植民地だった地域で保存されることがあるのです。これは、アメリカ英語で「秋」を意味する “fall” (イギリス英語では “autumn”) という単語が使われ続けていることや、スペルが “color” (イギリス英語では “colour”) と異なることと似ています。
つまり、アメリカ式が「変わっている」のではなく、古いイギリスの習慣が「化石」のように残り、イギリス式が時代の流れと共に変化した、というのが歴史的な真実なのです。
国際標準の誕生:グローバル時代が求めた「共通言語」
文化的な慣習から生まれたアメリカ式とイギリス式に対し、「年-月-日」という国際標準の台頭は、論理と効率性を追求する現代社会の要請によってもたらされました。
1980年代以降、インターネットの普及とグローバルビジネスの加速は、日付表記の曖昧さが深刻な問題を引き起こすことを浮き彫りにしました。例えば、国際的な契約書に「03/04/05」と書かれていた場合、これが3月4日なのか4月3日なのかで、納期や支払日が全く異なってしまい、莫大な損害につながる可能性がありました。
この混乱に終止符を打つ決定的なきっかけとなったのが、2000年問題(Y2K問題)です。年を下2桁で管理していた古いコンピュータが、2000年を1900年と誤認するのではないかという懸念が世界中を駆け巡りました。この時、年を必ず4桁で表記し、誰が見ても解釈が一つに定まる、曖昧さのない日付形式の重要性が広く認識されたのです。
そこで脚光を浴びたのが、国際標準化機構(ISO)が定めた「ISO 8601」規格でした。この「YYYY-MM-DD」形式は、以下の点で非常に優れていました。
- 論理的: 大きい単位から小さい単位へという一貫した順序を持つ。
- コンピュータに最適: ファイル名をこの形式で統一すると、特別なプログラムなしで自動的に時系列に並べ替え(ソート)できる。
- 中立的: 既存のアメリカ式でもイギリス式でもないため、特定の文化圏を優遇することがない。
このように、政治や文化が日付表記の「多様化」を生んだ一方で、テクノロジーが国境を越えるための「標準化」という共通言語を生み出す原動力となったのです。
これで安心!英語学習者のための実践ガイド
では、私たちが実際に英語を使うとき、どのようにすれば混乱を避けられるのでしょうか。いくつかの実践的なポイントをご紹介します。
黄金ルール: 迷ったら、月を単語で書く!
これが最も重要で、最も安全な方法です。相手がどの国の人であっても、月を数字ではなく単語(スペル)で書けば、誤解は絶対に生まれません。
- April 10, 2026 (アメリカ式)
- 10 April 2026 (イギリス式)
どちらの書き方でも、「4月10日」であることは一目瞭然です。ビジネスメールや重要な連絡では、この方法を強くお勧めします。
月の名称と省略形一覧
正式名称 | 省略形 | 日本語 |
January | Jan. | 1月 |
February | Feb. | 2月 |
March | Mar. | 3月 |
April | Apr. | 4月 |
May | May | 5月 |
June | Jun. | 6月 |
July | Jul. | 7月 |
August | Aug. | 8月 |
September | Sep. / Sept. | 9月 |
October | Oct. | 10月 |
November | Nov. | 11月 |
December | Dec. | 12月 |
文脈から読み解くヒント
相手から送られてきた日付が数字だけだった場合、ちょっとした「探偵」になってみましょう。
- 「ありえない日付」を探す: 例えば「15/10/25」と書かれていた場合、月は12までしかないので「15」が月であるはずがありません。したがって、これは「日/月/年」、つまり「10月15日」だと判断できます。日が13以上の場合に使えるテクニックです。
- 発信源を確認する: メールの送り主の国籍や、ウェブサイトのドメイン(.co.ukならイギリス、.com.auならオーストラリアなど)がヒントになります。
まとめ: 明確なコミュニケーションのために

英語の日付表記は、最初は少し戸惑うかもしれませんが、3つの基本ルールを理解すればもう怖くありません。
- アメリカ式: 月-日-年 (July 4, 2025)
- イギリス式: 日-月-年 (4 July 2025)
- 国際標準: 年-月-日 (2025-07-04)
そして、何よりも大切なのは、相手に誤解させないという配慮です。そのための最強の武器が、**「迷ったら、月を単語で書く」**という黄金ルールです。
この知識を身につければ、あなたはグローバルなコミュニケーションにおいて、一歩進んだ正確さと信頼性を手に入れることができます。ぜひ今日から、自信を持って日付を使いこなしてみてくださいね。

英会話カーディム講師。元外資系エンジニアでMBA保持者。海外留学なしに国内で独学にて英語を習得。ラテン語や印欧語、英語史の知識を持ち、英文法を含めた英語体系に詳しい。英語オタクで出版された英和辞典や英文法書は絶版も含めて殆ど持っている。
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