「いい天気ですね」「そうですね」…で、会話が終わってしまう。
英会話を始めたばかりの頃、多くの人が経験するこの悩み。気まずい沈黙が流れると、頭が真っ白になって焦ってしまいますよね。
でも、安心してください。実は、天気の話は会話を無限に広げるための「魔法の扉」です。ほんの少しのコツを知るだけで、もっと豊かで楽しいコミュニケーションの世界が待っています。このスキルは、単に気まずい時間を埋めるだけでなく、相手との距離を縮め、良い関係を築くための大切な一歩になるのです。
この記事では、天気の話をきっかけに、自然に会話を広げていくための具体的な方法を、豊富な例文とともに徹底解説します。
まず基本をサクッと知りたい方は、こちらのYouTube動画をご覧ください。この記事は、動画の内容をさらに深掘りし、より多くの例文や応用テクニックを紹介していますので、じっくり学びたい方はぜひ最後まで読み進めてくださいね。
なぜ英会話の始まりは「天気の話」がいいの?
そもそも、なぜ世界中の人が会話のきっかけに天気の話をするのでしょうか?それには、英会話初心者にとって嬉しい、いくつかの理由があります。
- 誰にとっても「共通の体験」だから晴れ、雨、暑い、寒いといった天気は、同じ場所にいる人なら誰もが共有している体験です。相手との間にすぐ共通の土台ができるので、会話を始めやすいのです。「この暑さ、大変ですよね!」と声をかければ、その瞬間から「暑さと戦うチーム」のような一体感さえ生まれます。
- 当たり障りのない「安全な話題」だから個人的なことや、政治・宗教といった意見が分かれる可能性のある話題と違い、天気はとてもニュートラル。文化や価値観の違いを気にすることなく、相手を不快にさせる心配が少ない、まさに「安全地帯」のテーマです。初対面の人とでも安心して口にできます。
- 毎日変わるから「新鮮な話題」になるから天気は日々、時には数時間で変化するので、いつでも新鮮な話題として使えます。「今朝は晴れていたのに、すごい雨になっちゃいましたね」というように、1日の中でも新しい発見があります。「昨日も同じ話をしたな…」なんてことになりにくいのも大きな利点です。
- 基本的な英単語の練習になるからsunny (晴れ), cloudy (曇り), windy (風が強い), humid (蒸し暑い), chilly (肌寒い) など、天気の話題は日常でよく使う基本的な形容詞の練習に最適です。覚えたての単語を実践で使う良い機会になります。
このように、天気の話は会話を始めるための心理的なハードルをぐっと下げてくれる、初心者にとって最高の味方なのです。
STEP1: 気持ちを乗せて天気を表現してみよう
「It’s sunny. (晴れですね)」だけでも間違いではありませんが、ここに少し感情や感想をプラスするだけで、会話がぐっと人間味を帯び、生き生きします。
晴れの日を表現する
ただ「晴れ」と事実を伝えるだけでなく、「こんなに晴れて気持ちがいい!」というポジティブな気持ちを共有してみましょう。
- Beautiful sunny weather today, isn’t it?(今日は素晴らしい晴天ですね)→ isn’t it? をつけると「~ですよね?」と相手に同意を求めるニュアンスになり、返事を促しやすくなります。
- Perfect day for a walk, wouldn’t you say?(お散歩に最高の日だと思いませんか?)→ 天気から具体的な行動に結びつけると、相手の予定や興味についての話に発展しやすくなります。
- I love this kind of weather.(こういう天気、大好きです)→ シンプルに自分の好みを伝えることで、相手も「私もです」や「私は涼しい方が好きです」など、自分の好みを話しやすくなります。
雨の日を表現する
雨の日は、その降り方や気分によって面白い表現があります。
- It’s raining cats and dogs!(土砂降りですね!)→ 「猫と犬が降っている」というユニークな慣用句です。とても激しい雨の時に使い、「すごい雨だね!」という驚きを共有できます。こんな面白い表現を使えば、相手も「面白い言い方だね!」と笑顔になるかもしれません。
- This rain doesn’t seem to be letting up.(この雨、止みそうにないですね)→ やみそうにない雨へのちょっとしたうんざり感や諦めの気持ちを共有する表現です。「本当に。早く止んでほしいですね」といった共感に繋がりやすいです。
- It’s just drizzling.(霧雨ですね)→ drizzle は「霧雨」や「小雨」を意味します。激しい雨ではないことを伝える時に使えます。
暑い日・寒い日を表現する
- It’s a scorcher, isn’t it?(焼け付くような暑さですね!)→ scorcher は「猛烈に暑い日」という意味のカジュアルな単語です。
- It’s so humid today. I’m sweating just standing here.(今日は蒸し暑いですね。立っているだけで汗をかいちゃいます)→ 日本の夏の特徴である「蒸し暑さ」を表現するのにぴったりのフレーズです。
- Brr, it’s chilly out there!(うー、外は肌寒いですね!)→ Brr は寒さを感じた時に思わず出る声。言葉と一緒に少し寒そうな素振りを見せると、より気持ちが伝わります。
- I can see my breath!(息が白いです!)→ とても寒い日に、見たままの状況を表現するシンプルで分かりやすいフレーズです。
このように、天気の様子に自分の感情や具体的な状況を少し乗せるだけで、相手との共感が生まれ、次の会話への橋渡しになります。
STEP2: 会話を広げる3つの魔法のフレーズ
天気の話をした後、いよいよ本題です。ここからは、全く違う話題にスムーズに移行するための、3つの便利な「つなぎ言葉」をご紹介します。これらを使いこなせば、会話の達人に一歩近づけます。
1. 個人的な話に繋げる: It reminds me of…
It reminds me of...
は「それは私に~を思い出させます」という意味。天気から連想される自分の経験や思い出を話すきっかけになり、会話に深みを与えてくれる非常に強力なフレーズです。自分のパーソナルな情報を少し開示することで、相手との心理的な距離がぐっと縮まります。
使い方
今の天気 → (連想) → 自分の経験・思い出
例文
- This cold weather reminds me of my trip to Hokkaido.(この寒い天気、北海道旅行を思い出します)→ ここから「北海道のどこに行ったの?」「冬だったの?食べ物はおいしかった?」など、具体的で楽しい旅行の話題に広がります。
- The sound of rain reminds me of my childhood. I used to love playing in the puddles.(雨の音を聞くと子供の頃を思い出します。水たまりで遊ぶのが大好きでした)→ 自分の子供時代の話という、とてもパーソナルな話題に繋げることができます。相手も自分の子供時代の話をしてくれるかもしれません。
ワンポイントアドバイス
大した思い出でなくても大丈夫。「この暑さ、去年のバーベキューを思い出すな」といった、ささやかな記憶で十分です。大切なのは、自分の話をする姿勢を見せることです。
2. 関連する話題に繋げる: Speaking of…
Speaking of...
は「~と言えば」という意味。天気の話の中に出てきたキーワードを拾って、それに関連する別の話題に移行する時に使います。このフレーズが上手く使えると、「この人は私の話をちゃんと聞いてくれているな」という良い印象を与えることができます。
使い方
天気の話の中のキーワード → (関連) → 別の話題
例文
- A: It’s going to rain this afternoon. (今日の午後は雨が降るそうですよ)B: Speaking of rain, I need to buy a new umbrella. My old one is broken.(雨と言えば、新しい傘を買わなきゃ。古いやつが壊れちゃって)→ 「傘」から「どこか良いお店知ってる?」など、買い物の話題に繋げられます。
- A: It’s so hot today! I want to eat ice cream. (今日は暑い!アイスが食べたいな)B: Speaking of hot, have you tried the new spicy ramen shop near the station?(暑い(辛い)と言えば、駅の近くの新しい激辛ラーメンのお店、試しましたか?)→ hot には「暑い」と「辛い」の意味があることを利用した、少し面白い繋げ方です。言葉の多義性を利用すると、会話がより面白くなります。
ワンポイントアドバイス
キーワードは、完全に一致していなくても大丈夫です。少しゆるい繋がりでも、会話の流れとしては自然に聞こえることが多いです。
3. 話題を切り替える: By the way…
By the way...
は「ところで」という意味で、多くの人が知っている便利なフレーズです。これまでの話の流れとは少し違う話題に移りたい時に、自然に切り替えることができます。天気の話で場の雰囲気が和んだ後、本題に入りたい時などに特に有効です。
使い方
天気の話 → (切り替え) → 全く新しい話題
例文
- It’s a beautiful day, isn’t it? By the way, what are you doing this weekend?(いい天気ですね。ところで、週末は何をしますか?)→ 天気の話で場を和ませた後、相手の週末の予定を聞き出すことができます。これは最も定番で使いやすいパターンの一つです。
- This storm is crazy! By the way, I heard you got a new job. Congratulations!(この嵐、すごいですね!ところで、新しい仕事が決まったそうですね。おめでとうございます!)→ 同僚との会話で、スモールトークから相手のお祝い事というポジティブな本題にスムーズに移行できます。
ワンポイントアドバイス
By the way… は、何か特定の目的(聞きたいこと、伝えたいこと)がある時に使うと効果的です。会話の主導権を少しだけ握って、話したい方向へ舵を切るイメージです。
3つのフレーズの使い分けまとめ
- It reminds me of… : 自分の内面(経験・思い出)に深く繋げ、親密さを生む
- Speaking of… : 話の中の言葉を拾って、関連する話題に横展開し、聞く姿勢を示す
- By the way… : 話の流れをリセットして、新しい方向に転換し、会話をリードする
この3つを使い分けるだけで、会話の展開が驚くほど自由になります。
STEP3: もっと広がる!天気から繋がる話題の宝庫
天気をきっかけに、私たちの身の回りの様々なことについて話すことができます。ここでは、具体的なテーマへの繋げ方を、より多くの会話例で見ていきましょう。
天気 vs. 週末の予定
天候は週末の計画に大きく影響します。これを利用しない手はありません。
- A: The forecast says it’s going to be sunny all weekend.(天気予報によると、週末はずっと晴れるそうですよ)
- B: That’s great! Do you have any plans to go out?(それは良かった!どこかお出かけの予定はありますか?)
- A: I think I’ll go for a drive. How about you?(ドライブにでも行こうかなと思っています。あなたはどうですか?)
天気 vs. 食べ物・飲み物
気候によって食べたくなるもの、飲みたくなるものは変わりますよね。
- A: It’s freezing today, don’t you think?(今日は凍えるほど寒いですね、そう思いませんか?)
- B: Absolutely! This weather makes me crave something warm, like a hot pot.(本当に!こんな天気だと、鍋みたいな温かいものが食べたくなりますね)
- A: That sounds delicious! I love hot pot in winter.(いいですね!冬の鍋は最高ですよね)
天気 vs. ファッション
服装は天気によって決まるので、とても自然な話題です。相手の持ち物を褒めるきっかけにもなります。
- A: It’s so windy today!(今日はとても風が強いですね!)
- B: I know! It’s hard to choose what to wear. By the way, I love your jacket. It looks perfect for a day like today.(ええ!何を着るか迷いますよね。ところで、そのジャケット素敵ですね。今日みたいな日にぴったり)
- A: Oh, thank you! I just bought it last week.(わあ、ありがとうございます!先週買ったばかりなんです)
天気 vs. 健康
暑さや寒さは体調に影響します。相手を気遣う言葉から会話を広げましょう。
- A: This heatwave is tough, isn’t it? It makes me feel so lazy.(この熱波はきついですね。なんだかだるくなっちゃいます)
- B: I know what you mean. Please be careful and drink a lot of water.(分かります。気をつけて、たくさん水分をとってくださいね)
天気 vs. 旅行・趣味
特定の天気は、過去の旅行の思い出や、好きな趣味に結びつきやすいです。
- A: Wow, it’s so humid today!(うわー、今日はとても蒸し暑いですね!)
- B: I know. It reminds me of my trip to Thailand last year. Have you traveled anywhere interesting recently?(ええ。去年のタイ旅行を思い出します。最近、どこか面白い場所に旅行しましたか?)
- A: Not recently, but I’d love to go to Thailand someday.(最近は行けてないですが、いつかタイに行ってみたいです)
まとめ: きっかけを掴んで、会話を楽しもう

今回は、天気の話から会話を広げるためのコツとフレーズを、たっぷりとご紹介しました。
- STEP1: 天気の表現に気持ちを乗せて、共感のきっかけを作る
- STEP2: 3つの魔法のフレーズ (
It reminds me of...
,Speaking of...
,By the way...
) で話題を繋げる - STEP3: 週末の予定や食べ物など、身近なテーマに発展させる
大切なのは、天気の話はあくまで「きっかけ」だと意識すること。そして、そこから相手のことや自分のことに関心を向け、会話のキャッチボールをしようとすることです。「完璧な英語を話そう」と気負うのではなく、「相手ともっと話したい」という気持ちが、自然な会話に繋がります。
今日学んだフレーズを、まずは一つでも使ってみてください。小さな成功体験が、次の自信に繋がります。焦らず、間違えても大丈夫。完璧を目指すのではなく、繋がりを目指しましょう。楽しみながら、あなたの英会話の世界を広げていってくださいね!

英会話カーディム講師。元外資系エンジニアでMBA保持者。海外留学なしに国内で独学にて英語を習得。ラテン語や印欧語、英語史の知識を持ち、英文法を含めた英語体系に詳しい。英語オタクで出版された英和辞典や英文法書は絶版も含めて殆ど持っている。
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