英語の月の名前の由来、全部言えますか?古代ローマの神話と歴史で楽しく覚える12ヶ月の物語

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英語の学習を再開したばかりの皆さん、January, February, March… と、英語の月の名前を覚えるのに苦労していませんか?

「ただの丸暗記はつまらないし、すぐに忘れてしまう…」と感じているなら、この記事はきっとあなたの役に立ちます。実は、私たちが普段何気なく使っている英語の月の名前には、一つ一つに古代ローマの神々や英雄、歴史にまつわる壮大な物語が隠されているのです。

この記事を読めば、単なる記号だった月の名前が、生き生きとした物語として頭に入ってきます。単語の背景にある文化や歴史を知る「語源学習」は、記憶を助けるだけでなく、英語という言語が持つ世界観の奥深さに触れる絶好の機会です。学習がもっと楽しくなるはずです。

手っ取り早く基本を知りたい!という方は、まずはこちらのYouTube動画をご覧ください。このブログでは、動画の内容をさらに深掘りし、より詳しく、たくさんの例文と共に解説していきます。動画と合わせて、あなたの英語学習にお役立てください。

それでは、古代ローマへの時間旅行に出かけましょう。

暦の始まり: January (1月) vs. February (2月)

驚くかもしれませんが、もともと古代ローマの暦は1年が10ヶ月しかなく、始まりは3月でした。なぜなら、当時のローマは農業中心の社会。農作業ができない冬の間は活動が停滞するため、暦の上で重要視されていなかったのです。そのため、冬の約2ヶ月間には、正式な名前すら与えられていませんでした。

この「名前のない期間」に名前を与え、暦を月の満ち欠けに近づけるために1年を12ヶ月にしたのが、伝説上の第2代ローマ王、ヌマ・ポンピリウスでした。彼が暦の冒頭に追加したのがJanuaryとFebruaryです。

January: 始まりを司る神「ヤヌス」の月

Januaryは、物事の始まりと終わり、そして「門」や「扉」を司る神ヤヌス (Janus) に捧げられました。ヤヌスは、過去と未来を同時に見ることができる2つの顔を持つ、非常にユニークなローマ固有の神です(ギリシャ神話には対応する神がいません)。新しい年の「入り口」となる最初の月に、まさにぴったりの神様ですね。彼は全ての儀式の最初に呼びかけられるほど重要な神で、他の神々への祈りも、まず天界への門番であるヤヌスを通して行われるべきだと考えられていました。

  • 英語の例文: January is named after Janus, the Roman god of beginnings and transitions.
    • 日本語訳: 1月は、ローマの始まりと移り変わりの神であるヤヌスにちなんで名付けられました。
  • 英語の例文: Many people make New Year’s resolutions at the start of January.
    • 日本語訳: 多くの人々が1月の初めに新年の抱負を立てます。
  • 学習のヒント: 英語で「管理人」や「用務員」を意味する janitor という単語は、このヤヌス神が司る「門 (ラテン語: ianua)」が語源です。建物の入り口を守る門番としてのヤヌス神のイメージと繋げると、単語の意味がすっと頭に入ってきますね。

February: 「清め」の儀式の月

Februaryは特定の神ではなく、「清める」という意味のラテン語 “februare” に由来します。これは、古代ローマでこの時期に行われていた浄化の儀式「フェブルア (Februa)」から来ています。

元々、Februaryは1年の最後の月でした。そのため、過ぎ去った年の罪や穢れを洗い清め、新しい年(当時は3月始まり)に備えるための、精神的な大掃除の月だったのです。この時期には、豊穣を祈る「ルペルカリア祭」や、先祖の霊を鎮める「パレンタリア祭」など、浄化に関連する多くの儀式が行われました。

  • 英語の例文: The ancient Romans performed purification rituals in February to cleanse the city.
    • 日本語訳: 古代ローマ人は都市を清めるために2月に浄化の儀式を行いました。
  • 英語の例文: Despite being the shortest month, February has many important historical events.
    • 日本語訳: 最も短い月であるにもかかわらず、2月には多くの重要な歴史的出来事があります。
  • 学習のヒント: Februaryは日数が少ないことで知られています。一説には、初代皇帝アウグストゥスが自分の月(8月)の日数を増やすために2月から1日奪った、という話が有名です。しかし、これは13世紀の学者によって広まった俗説のようです。歴史のミステリーも、言語学習の面白いスパイスになりますね。

春の訪れ: March (3月) vs. April (4月)

厳しい冬が終わり、生命が力強く活動を始める春の月々にも、ローマの社会を象徴する神々の物語が込められています。

March: 軍神「マルス」の月

Marchは、ローマ神話で最高神ユピテルに次ぐほど重要視されていた神、マルス (Mars) の月です。マルスは戦争の神であると同時に、農耕の守護神でもありました。この二つの役割は、初期のローマ社会では表裏一体でした。農地と収穫物を守るためには強い軍事力が必要だったのです。春になり、畑を耕し始め、そして時には軍事遠征を開始する季節の始まりに、まさにふさわしい名前です。元々のローマ暦で1年の最初の月だったのも納得ですね。

  • 英語の例文: The army prepared to march in March, as the weather became warmer.
    • 日本語訳: 気候が暖かくなるにつれて、軍隊は3月に行進の準備をしました。
  • 英語の例文: Ancient festivals honoring the god Mars were held in March.
    • 日本語訳: 軍神マルスを称える古代の祭りが3月に行われました。
  • 学習のヒント: 「武術」を意味する martial artsmartial は、「マルスの」または「戦争の、軍隊の」という意味の形容詞です。勇ましい軍神マルスと結びつけて覚えましょう。

April: 「開花」と「愛の女神」の月

Aprilの語源は、実ははっきりと分かっていません。しかし、それがかえって春の神秘的なイメージを掻き立てます。有力な説が二つあります。

  1. 「開く (aperire)」説: ラテン語で「開く」を意味する動詞 “aperire” から来ているという説。春になり、大地が心を開き、花のつぼみがほころび始める生命力あふれる様子を表しています。
  2. 「愛の女神」説: ギリシャ神話の愛と美の女神アプロディーテ (Aphrodite)、ローマ神話ではウェヌス (Venus) に関係するという説。4月1日にはウェヌスを祝う「ウェネラリア祭」が行われており、この月が女神に捧げられていたことが分かります。

この二つの説は、おそらく古代ローマ人の心の中では自然に融合していたでしょう。花が開く季節は、愛と豊穣の女神の力が最も輝く時なのです。

  • 英語の例文: Flowers begin to open and bloom in April, signaling the arrival of spring.
    • 日本語訳: 4月には花が開き、咲き始め、春の訪れを告げます。
  • 英語の例文: Some scholars believe the name April is connected to the goddess Venus.
    • 日本語訳: 一部の学者は、エイプリルという名前は女神ヴィーナスに関連していると考えています。

生命の躍動: May (5月) vs. June (6月)

春が深まり、緑が豊かになる5月と6月は、女性の営みと深く関わる女神たちの名が付けられています。

May: 成長の女神「マイア」の月

Mayは、豊穣と成長を司る女神マイア (Maia) にちなんで名付けられました。このマイアは、ギリシャ神話の神々の伝令ヘルメスの母であるニンフのマイアと、ローマ古来の「大きく成長させる者」としての女神のイメージが融合した存在です。彼女の名前は「より大きい、偉大な」という意味のラテン語 “maior” に由来するとも言われ、草木がぐんぐん成長する5月のイメージと重なります。

  • 英語の例文: The fields and trees are a beautiful, vibrant shade of green in May.
    • 日本語訳: 5月には野原や木々が、生き生きとした美しい緑色になります。
  • 英語の例文: May Day is a traditional spring festival in many European countries.
    • 日本語訳: メーデーは多くのヨーロッパ諸国における伝統的な春祭りです。
  • 学習のヒント: 「より大きい」を意味する major や、「威厳」を意味する majesty は、女神マイアと同じ語源から来ています。成長と偉大さのイメージで繋がりますね。

June: 女神たちの女王「ユノ」の月

Juneは、最高神ユピテルの妻であり、神々の女王である女神ユノ (Juno) の月です。彼女は国家の守護神であると同時に、結婚や出産、家庭といった、女性の人生のあらゆる側面を守る神として篤く信仰されていました。

6月に結婚すると幸せになれるという「ジューン・ブライド (June Bride)」の言い伝えは、この結婚を司る女神ユノへの信仰が起源となっています。古代ローマの風習が、数千年経った現代の私たちにまで続いているなんて、とてもロマンチックですね。

  • 英語の例文: She has always dreamed of being a June bride, surrounded by flowers.
    • 日本語訳: 彼女はずっと、花に囲まれたジューン・ブライドになることを夢見ていました。
  • 英語の例文: The month of June is dedicated to Juno, the protector of marriage.
    • 日本語訳: 6月は結婚の守護神であるユノに捧げられています。
  • 学習のヒント: ローマにあった「ユノ・モネータ (警告者ユノ)」の神殿の敷地内で貨幣が造られていたことから、money (お金) や mint (造幣局) という単語が生まれたと言われています。国家の財産を守るという信頼から、彼女の神殿が選ばれたのです。

権力者の時代: July (7月) vs. August (8月)

年の後半に入ると、月の名前の由来は神々から実在の人間へと劇的に変わります。ここには、ローマが共和政から帝政へと移行する、歴史の大きな転換点が隠されています。

July: 英雄「ユリウス・カエサル」の月

Julyは、もともとラテン語で「5番目」を意味する “Quintilis” という名前でした。しかし、ローマの英雄であり、現代の暦の直接の祖先となる太陽暦「ユリウス暦」を導入したガイウス・ユリウス・カエサル (Gaius Julius Caesar) の絶大な功績を称え、彼の誕生月であるこの月が、彼の死後 “July” と改名されました。神ではなく、個人の名前が月に付けられた最初の例です。

  • 英語の例文: July is named in honor of the great Roman general, Julius Caesar.
    • 日本語訳: 7月は偉大なローマの将軍、ユリウス・カエサルに敬意を表して名付けられました。
  • 英語の例文: The Julian calendar, introduced by Caesar, is the basis for our modern calendar.
    • 日本語訳: カエサルによって導入されたユリウス暦は、私たちの現代の暦の基礎となっています。

August: 初代皇帝「アウグストゥス」の月

Augustも同様に、もとは「6番目」を意味する “Sextilis” でした。これが、カエサルの後継者であり、内乱を終結させて「パクス・ロマーナ(ローマの平和)」を築いた初代皇帝アウグストゥス (Augustus) にちなんで “August” と改名されました。面白いのは、彼がこの月を選んだ理由です。彼の誕生月は9月でしたが、彼が最初の執政官に就任し、クレオパトラを破るなど、彼のキャリアで最も重要な勝利を収めたのがこの月だったため、縁起の良い月として自分の名前を付けたのです。

  • 英語の例文: The first Roman emperor, Augustus, gave his name to the month we now call August.
    • 日本語訳: ローマの初代皇帝アウグストゥスが、私たちが今オーガストと呼ぶ月に彼の名前を与えました。
  • 英語の例文: The reign of Augustus was a time of great peace and prosperity.
    • 日本語訳: アウグストゥスの治世は、大いなる平和と繁栄の時代でした。
  • 学習のヒント: 英語の形容詞 august には「威厳のある、堂々とした」という意味があります。これは皇帝アウグストゥスに元老院が与えた「尊厳ある者」という称号に直接由来しています。

古代暦のなごり: SeptemberからDecemberの謎

さて、ここからが一番面白いところかもしれません。September以降の月の名前に隠された「数字のズレ」の謎を解き明かしましょう。これらの名前は、ローマ暦の進化を物語る「生きた化石」なのです。

月名本来の意味(ラテン語)関連する英単語なぜズレている?
September7番目 (septem)septuplets (7つ子)1年の始まりが3月から1月に変わったため、2ヶ月ズレた。
October8番目 (octo)octopus (タコ), octagon (八角形)同上
November9番目 (novem)novena (9日間の祈り)同上
December10番目 (decem)decade (10年間), decimal (十進法)同上

そうです。これらの月は、もともと3月を1番目として数えていた頃の「7番目、8番目、9番目、10番目の月」という、ただの数字の名前がそのまま残っているのです。年の始まりにJanuaryとFebruaryが追加されたことで、名前と実際の順番が2ヶ月ずつズレてしまったというわけです。

後の皇帝たちも自分の名前を月に付けようと試みましたが、カエサルやアウグストゥスのように定着しませんでした。これは、ローマの人々が、伝統の力を個人の権力者の気まぐれよりも重んじた結果かもしれません。

  • 学習のヒント: ラテン語の数字は、他の多くの英単語にも隠れています。
    • septemberseptem (7)
    • Octoberocto (8) → octopus (タコ、8本足)
    • Novembernovem (9)
    • Decemberdecem (10) → decade (10年間), decimal (十進法), decimate (元々は古代ローマ軍で10人に1人を罰したことから)
    • このように関連付けて覚えると、単語のネットワークが一気に広がります。

まとめ:物語を知れば、英語はもっと楽しくなる

いかがでしたか?

私たちが普段使っている英語の月の名前には、一つ一つに古代ローマの神話、儀式、英雄たちの野望、そして歴史の大きな変化が、地層のように積み重なって刻まれていました。

  • 1月・2月: もともと存在しなかった「始まり」と「清め」の月
  • 3月~6月: 自然のサイクルと人々の営みを映し出す神々の月
  • 7月・8月: 個人の権力が歴史を動かしたことを示す、英雄と皇帝の月
  • 9月~12月: 暦の変遷そのものを物語る、歴史の生き証人である月

このように、単語をただの記号としてではなく、その背景にある文化や物語に触れることで、英語学習はより深く、面白みのあるものに変わります。無味乾燥な暗記作業が、知的な探求の旅になるのです。

次にカレンダーをめくるとき、ぜひその月の名前の由来を思い出してみてください。きっと、いつもの日常が少しだけ違って、豊かなものに見えてくるはずです。

これからも、あなたの英語学習がもっと楽しくなるような知識の旅にご案内します。

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