「そのバッグ素敵ですね!」「今日のプレゼン、素晴らしかったですよ!」
相手にこんなポジティブな気持ちを伝えたいのに、英語だとどう言えばいいか分からず、結局いつも “Good!” だけで済ませてしまう…。逆に、海外の方から褒められたとき、日本語の感覚で「いえいえ、そんなことないです」と全力で謙遜してしまい、相手を困惑させてしまった経験はありませんか?
英語でのコミュニケーション、特に「褒める」という行為は、単なるお世辞ではなく、人間関係をスムーズにするための大切なスキルです。しかし、そこには日本とは少し違う文化的な背景があり、知らずにいると誤解を生んでしまうことも。
まずは、基本をサクッと解説したこちらのYouTube動画をご覧ください。
動画で基本のフレーズと感覚を掴んだら、ぜひこの記事でさらに深く学んでいきましょう。この記事では、動画の内容をさらに詳しく掘り下げ、あらゆる場面で自信を持って使える豊富な例文と、知っておくと人間関係がもっと豊かになる文化のヒントをたっぷりとご紹介します。
なぜ英語で「褒める」が大切なのか? 日本 vs. アメリカの文化の違い
日本では、謙遜が美徳とされる文化が根付いています。そのため、褒められても「いえいえ、滅相もございません」「私なんてまだまだです」と否定することが、相手への敬意や礼儀正しい態度だと考える傾向があります。
一方で、英語圏、特にアメリカの文化では、褒めることはコミュニケーションを円滑にするための大切な潤滑油と考えられています。相手の良い点を見つけて積極的に言葉にすることは、相手への関心を示し、ポジティブな関係を築くための第一歩なのです。
よく、英語の褒め言葉は相手からの「贈り物(ギフト)」に例えられます。素敵なプレゼントをもらったら、私たちは「ありがとう!」と笑顔で受け取りますよね。それと同じで、褒め言葉も素直に受け取るのが自然な反応です。せっかくの贈り物を「いえいえ」と突き返してしまうと、相手は「自分のセンスや意見を否定されたのかな?」「喜んでもらえなかったな」と寂しく感じてしまうかもしれません。
まずは、この文化的な違いを少しだけ意識してみるのが、褒め上手・褒められ上手になるための大切な一歩です。
【シーン別】今日から使える!ネイティブ流・褒め言葉フレーズ集
それでは、具体的なフレーズをシーン別に見ていきましょう。難しい単語は必要ありません。まずは簡単なものから、声に出して真似してみてください。
1. 相手の持ち物・服装・見た目を褒める
一番簡単で、会話のきっかけにもなりやすいのが、相手が「選んだもの」を褒めることです。生まれ持った身体的な特徴(身長や顔のパーツなど)を直接的に褒めるのは、相手を不快にさせてしまう可能性もあるため、その人のセンスや努力が感じられる部分を褒めるのが失敗しないコツです。
基本のフレーズ: I like your …
一番シンプルで万能なのがこの形です。「あなたの〜、いいですね」「〜、素敵ですね」というニュアンスで、友人からビジネス相手まで幅広く使えます。
- I like your bag.あなたのバッグ、素敵ですね。
- I like your new hairstyle. It really suits you.その新しい髪型、いいですね。とても似合っていますよ。
- I like your shoes. Where did you get them?その靴、素敵ですね。どこで買ったのですか?
- I like your glasses. They look great on you.その眼鏡、いいですね。とてもお似合いです。
似合っていることを伝える: That looks good on you.
「あなたに似合っていますね」と、その人自身を含めて褒めたいときは、このフレーズがぴったりです。単に物を褒めるだけでなく、「それを着こなしているあなたが素敵」という、より温かい気持ちが伝わります。
- That dress looks good on you.そのドレス、とてもお似合いですよ。
- That color looks great on you.その色、あなたによく似合っていますね。
- That hat looks amazing on you.その帽子、すごく似合っていますね。
もっと気持ちを込めて伝えるフレーズ
“like” よりも少し感情を乗せたいときは、”love” を使ったり、形容詞を変えたりしてみましょう。
- I love your scarf!そのスカーフ、すごく素敵!
- That’s a lovely watch.素敵な腕時計ですね。
- What a beautiful necklace!なんて綺麗なネックレスなんでしょう!
2. 相手の行動・仕事・成果を褒める
相手の頑張りや、仕事の成果を認めるときに使えるフレーズです。ここでのポイントは、とにかく「具体的に」褒めること。「良かったよ!」だけでなく、何がどう良かったのかを具体的に伝えることで、お世辞ではない、心からの賞賛が伝わります。
基本のフレーズ: You did a great job on …
“Good job!” (よくやったね!) という表現もよく使われますが、少しカジュアルだったり、目上から目下へというニュアンスを含むことがあります。より丁寧で、どんな相手にも使いやすいのがこちらのフレーズです。
- You did a great job on the presentation today.今日のプレゼンテーション、素晴らしかったですよ。
- You did a great job on the report. It was very clear and easy to understand.レポート、とても良かったよ。すごく明確で分かりやすかったです。
- You did a wonderful job organizing the event.イベントの準備、見事でしたね。
感謝とセットで褒める
何かを手伝ってもらったり、親切にしてもらったりした時には、感謝の言葉と一緒に褒めるのがとても効果的です。
- Thank you, that was really helpful.ありがとうございます、本当に助かりました。
- I really appreciate your advice. It helped me a lot.あなたのアドバイスに本当に感謝しています。とても助かりました。
- I couldn’t have done it without you. Thank you so much.あなたなしではできませんでした。本当にありがとう。
能力やスキル、人柄を褒める
相手の持つ能力そのものや、内面的な素晴らしさを褒める表現です。言われた相手は、自分をしっかり見てくれていると感じ、とても嬉しく思うはずです。
- You’re so good at cooking. This is delicious!お料理がとてもお上手ですね。これ、すごく美味しいです!
- You have a talent for writing.あなたには文才がありますね。
- I admire your patience.あなたの忍耐強さには感心します。
- You’re always so positive.あなたはいつも前向きで素敵ですね。
【もう困らない】褒められた時のスマートな返し方
さて、今度はあなたが褒められた時の番です。戸惑ってしまう気持ちは分かりますが、一番大切なのは「笑顔で素直に受け取ること」。これが大原則です。
基本は “Thank you.”
まずはこれだけ言えれば100点満点です。相手の「贈り物」を、にっこり笑って受け取りましょう。変に考えすぎず、シンプルに感謝を伝えることが、相手への一番の礼儀になります。
- A: I like your jacket!そのジャケット、素敵ですね!
- B: Thank you.ありがとうございます。
“Thank you.” に一言プラスして、もっと気持ちを伝える
もし “Thank you.” だけでは少し素っ気ないかな、もう少し気持ちを伝えたいなと感じたら、簡単な一言を付け加えてみましょう。気持ちがより深く伝わり、そこから会話が弾むきっかけにもなります。
- Thank you. That’s very kind of you to say.ありがとうございます。そう言っていただけて嬉しいです。(より丁寧な表現で、目上の方にも使えます)
- Thank you. I’m glad you like it.ありがとう。気に入ってもらえて嬉しいです。(持ち物や服装などを褒められた時の定番)
- Thanks. I just bought it last week.ありがとう。先週買ったばかりなんです。(会話を広げたい時に便利です)
- Thank you. I worked hard on it.ありがとうございます。頑張って準備したんです。(仕事や努力を褒められた時に。自分の努力を肯定的に伝えられます)
- Thank you. That means a lot to me.ありがとうございます。そう言ってもらえると、すごく嬉しいです。(相手の言葉が心に響いた時に)
大切なのは、相手の言葉を真っ向から否定しないことです。「いえいえ、この服は安物ですから」といった謙遜は、英語では相手の審美眼を否定しているように聞こえてしまったり、「もっと褒めてほしいのかな?」と勘違いされたりする可能性もあることを、頭の片隅に置いておきましょう。
まとめ
今回は、英語で褒める時と褒められた時のフレーズや文化について、詳しく解説しました。
- 英語圏では、褒めることは人間関係を豊かにするポジティブなコミュニケーションである。
- まずは相手が「選んだ」持ち物や服装など、目に見えるものから褒めてみよう。
- 仕事や行動を褒めるときは「具体的に」伝えることで、気持ちが何倍も伝わる。
- 褒められたら、難しく考えず、まずは笑顔で “Thank you.” と素直に受け取ることが一番大切。
いきなり全てを完璧にこなす必要は全くありません。まずは「I like your…」や、褒められた時の「Thank you. I’m glad you like it.」など、一つか二つ、自分が使いやすいと思うフレーズを覚えて、実際に使ってみることから始めてみてください。
一つ一つの小さな成功体験が、あなたの英語に対する自信を育ててくれます。ぜひ、今日から身近な人の素敵なところを見つけて、勇気を出して伝えてみてくださいね。

英会話カーディム講師。元外資系エンジニアでMBA保持者。海外留学なしに国内で独学にて英語を習得。ラテン語や印欧語、英語史の知識を持ち、英文法を含めた英語体系に詳しい。英語オタクで出版された英和辞典や英文法書は絶版も含めて殆ど持っている。
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