「お店に外国人のお客様が…!どうしよう、英語で話しかけられない…」
お店で働いていると、そんな風に焦ってしまった経験はありませんか?
英語が苦手だと、つい緊張してしまいますよね。
でも、ご安心ください。流暢な英語は必要ありません。大切なのは、いくつかの簡単な「決まり文句」と、おもてなしの気持ちです。
この記事を読む前に、まずは基本をサクッと5分で理解できるYouTube動画をご覧ください。
動画で基本の流れを掴んだら、この記事でさらに深い知識とたくさんのフレーズを学びましょう。動画にはない、より詳しい解説や応用フレーズをたくさんご紹介します。
最初の挨拶:「いらっしゃいませ」は英語でどう言う?
お店に入ってきたお客様にかける第一声。日本語の「いらっしゃいませ」はとても便利な言葉ですが、実はこれにピッタリと当てはまる英語表現はありません。なぜなら、「いらっしゃいませ」は不特定多数に向けた呼びかけですが、英語の挨拶は「あなた」という個人に向けられるのが基本だからです。
お客様一人ひとりの目を見て、笑顔で挨拶することが、最高の第一印象に繋がります。
基本的な挨拶
まずはここから始めましょう。
・Hello. / Hi.
こんにちは。
・Hi there.
やあ、こんにちは。
これだけでも十分ですが、時間帯に合わせた挨拶をすると、より丁寧な印象になります。
時間帯別の挨拶
・Good morning.
おはようございます。(午前中)
・Good afternoon.
こんにちは。(正午~夕方)
・Good evening.
こんばんは。(夜)
さらに、もう一言付け加えるだけで、お客様との距離がグッと縮まります。
応用編:温かみをプラスする一言
・Hello, how are you today?
こんにちは、今日はいかがお過ごしですか?
・Good afternoon. How are you doing?
こんにちは。調子はいかがですか?
「見ているだけです」と言われた時のスマートな対応
「何かお探しですか?」と声をかけた時、「I’m just looking.(見ているだけです)」や「I’m just browsing.(見て回っているだけです)」と返されることはよくあります。ここで無理に接客を続けると、お客様にプレッシャーを与えてしまいます。
そんな時は、お客様が自由に店内を見て回れるような、心地よい雰囲気を作ることが大切です。
基本のフレーズ
・Of course. Please take your time.
もちろんです。どうぞごゆっくりご覧ください。
この一言で、「私たちはあなたを急かしませんよ」というメッセージが伝わり、お客様は安心して商品を見ることができます。
応用編:気遣いを伝えるバリエーション
・No problem at all. Feel free to look around.
まったく問題ありません。ご自由にご覧ください。
・Sure. If you need anything, please let me know.
もちろんです。もし何か必要なことがありましたら、お声がけくださいね。
「let me know(私に知らせて)」という表現は、押しつけがましさがなく、必要な時にはいつでもサポートしますよ、という優しい響きがあります。
お客様への声かけ:タイミングと最適なフレーズの選び方
お客様が何かを探している様子だったり、商品棚の前で困っているようだったら、それはおもてなしの心を示す絶好のチャンスです。しかし、声をかけるタイミングやフレーズの選び方を間違えると、かえってお客様にプレッシャーを与えてしまうことも。ここでは、状況に応じたスマートな声かけの方法を深掘りしていきましょう。
王道フレーズ:「May I help you?」vs.「Can I help you?」
この2つのフレーズは似ていますが、与える印象に違いがあります。この違いを理解することが、ワンランク上のおもてなしに繋がります。
1. 「May I help you?」- 丁寧さと敬意のしるし
・May I help you?
何かお手伝いしましょうか?
これは「お手伝いしてもよろしいでしょうか?」と相手に許可を求める、非常に丁寧な表現です。ホテルのフロントや高級ブランド店など、フォーマルな接客が求められる場面はもちろん、どんなお店でも使える、まさに「王道」のフレーズ。英語に自信がないうちは、まずこれをマスターしておけば、失礼になることは決してありません。
お客様との会話例
お客様:(地図を見ながらキョロキョロしている)
店員:Excuse me, may I help you?
(失礼いたします、何かお手伝いしましょうか?)
お客様:Oh, yes. I’m looking for chopsticks.
(ああ、はい。箸を探しているんです。)
2. 「Can I help you?」- 親しみやすさとカジュアルさ
・Can I help you?
何かお探しですか?
こちらは「私にお手伝いできますか?」と自分の能力を示すニュアンスがあり、「May」に比べると少しカジュアルで親しみやすい印象を与えます。カフェや雑貨店、アパレルショップなど、フレンドリーな雰囲気を大切にしたいお店にぴったりです。ただし、相手によっては少し馴れ馴れしいと感じる可能性もあるため、お店のブランドイメージやお客様の様子を見て使い分けるのが良いでしょう。
お客様との会話例
お客様:(Tシャツを何枚も見比べている)
店員:Hi, can I help you?
(こんにちは、何かお探しですか?)
お客様:Yeah, do you have this in a large size?
(ええ、これのLサイズはありますか?)
状況別!その他の便利な声かけフレーズ
「May I help you?」以外にも、状況に応じて使える便利なフレーズがたくさんあります。引き出しを増やしておきましょう。
お客様が何かを探していることが明らかな場合
・Are you looking for something in particular?
何か特別なものをお探しですか?
「何か」と漠然と聞くのではなく、「何か’特定の’ものを探していますか?」と尋ねることで、お客様の目的をより具体的に聞き出すことができます。
少し控えめに、でも親切に声をかけたい場合
・Is there anything I can help you with?
何か私がお手伝いできることはありますか?
「May I help you?」とほぼ同じ意味ですが、少しだけ表現が柔らかくなり、より「もし何かあれば…」という控えめなニュアンスが出ます。
お客様の様子をうかがうカジュアルな一言
・Finding everything okay?
(注:Are you finding everything okay? の略)
お探しのものは順調に見つかっていますか?
これは非常にネイティブらしい、自然な声かけです。「大丈夫ですか?」と様子をうかがうようなニュアンスで、お客様にプレッシャーを与えずに声をかけることができます。
よりフォーマルで格式高いお店で使いたい場合
・How may I assist you?
どのようにお手伝いいたしましょうか?
「help」よりもフォーマルな「assist」という単語を使うことで、非常に丁寧でプロフェッショナルな印象を与えます。高級ホテルのコンシェルジュなどが使う表現です。
プロの技:声をかける絶妙なタイミング
最適なフレーズを選ぶのと同じくらい重要なのが、声をかける「タイミング」です。お客様の行動をよく観察してみましょう。
・キョロキョロと周りを見回している時:道や売り場を探しているサインかもしれません。
・同じ商品を何度も手に取ったり、説明書きを熱心に読んだりしている時:その商品に強く興味がある証拠です。
・複数の商品を見比べて悩んでいる時:専門家のアドバイスを求めている可能性があります。
こうしたサインを見つけたら、それがあなたのおもてなしの見せどころです。自信を持って、最適なフレーズで声をかけてみましょう。
ご案内・商品説明で使えるシンプル英語
こちらへどうぞ:ジェスチャーを添えて
お客様を特定の場所へ案内する際は、言葉とジェスチャーをセットにするのが鉄則です。
・This way, please.
こちらへどうぞ。
・It’s over there.
あちらです。
・It’s on the second floor.
2階にあります。
「This way, please.」と言いながら、手のひらを開いて丁寧に進む方向を示すだけで、もし言葉が聞き取れなくても、お客様は安心してついてくることができます。
商品説明のコツ:一番の魅力だけを伝える
商品の良さをあれもこれもと伝えたくなりますが、英語初心者は「ワン・キーフィーチャー(最も重要な特徴を一つ)」に絞って伝えるのが成功の鍵です。
・This is one of our best sellers.
こちらは当店の人気商品の一つです。
・This is made in Japan.
こちらは日本製です。
・I would recommend this one.
私でしたらこちらをおすすめします。
短い言葉でも、自信を持って伝えることで、商品の価値はしっかりと伝わります。
お会計からお見送りまでの鉄板フレーズ
お会計:数字はゆっくり、はっきりと
お会計は、お客様との最後の重要な接点です。
・Your total is 5,000 yen.
合計で5000円です。
・How would you like to pay?
お支払い方法はいかがなさいますか?
・Will that be cash or credit card?
現金ですか、カードですか?
金額を伝える時は、電卓やレジの画面を指差しながら言うと、聞き間違いが防げてお互いに安心です。
お見送り:「プラスワン」で心に残る体験を
お見送りの際に、ただ「Thank you」と言うだけでなく、もう一言ポジティブな言葉を付け加える「プラスワン」を意識してみましょう。
・Thank you very much. Have a nice day!
ありがとうございました。良い一日を!
・Thank you for coming. Enjoy your trip!
ご来店ありがとうございました。良い旅を!
この小さな一言が、ありふれた挨拶を、心に残る温かいおもてなしに変えてくれます。
もしもの時も安心!トラブル対応の英語
予期せぬ質問や要望に、どう答えたらいいか分からず焦ってしまうこともありますよね。そんな時に使える「魔法の言葉」を覚えておきましょう。
分からないことを聞かれた時
分からないことを知ったかぶりしたり、間違った情報を伝えたりするのが一番よくありません。正直に、そして誠実に対応しましょう。
・I’m sorry, I’m not sure.
申し訳ありません、私には分かりかねます。
・Just a moment, please. I will get someone who can speak English.
少々お待ちください。英語が話せる者を呼んでまいります。
このフレーズが言えれば、一人で抱え込む必要はありません。
要望に応えられない時(お断りする時)
値引きなど、お店のルールでできないことをお願いされる場面もあります。そんな時は、「クッション言葉」を使って丁寧に断りましょう。
・I’m afraid we cannot offer a discount.
申し訳ありませんが、割引は致しかねます。
・I’m sorry, but that item is out of stock.
申し訳ありませんが、そちらの商品は在庫切れです。
「I’m afraid…」や「I’m sorry, but…」といったクッション言葉を文の頭につけるだけで、相手を不快にさせることなく、丁寧にお断りの意思を伝えることができます。
まとめ

いかがでしたか?
接客で使う英語は、難しい単語や文法をたくさん覚える必要はありません。
大切なのは、
・笑顔とアイコンタクト
・シンプルで決まったフレーズを自信を持って使うこと
・おもてなしの気持ちをジェスチャーや一言に込めること
です。
この記事が、あなたの「英語で接客してみたい」という気持ちを後押しできれば嬉しいです。

英会話カーディム講師。元外資系エンジニアでMBA保持者。海外留学なしに国内で独学にて英語を習得。ラテン語や印欧語、英語史の知識を持ち、英文法を含めた英語体系に詳しい。英語オタクで出版された英和辞典や英文法書は絶版も含めて殆ど持っている。
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