海外旅行の楽しみの一つ、素敵なホテルでの滞在。でも、その最初のステップである「チェックイン」で、英語でのやりとりに不安を感じる方も多いのではないでしょうか。
「何を準備すればいいの?」
「専門用語を言われたらどうしよう…」
「もし飛行機が遅れたら?」
そんなあなたの不安を一つひとつ解消し、自信を持ってフロントに立てるようになるための完全ガイドです。
まずは、以下のYouTube動画でチェックインの基本的な流れをサクッと掴んでみてください。
動画で大まかな流れを理解したら、このブログでさらに詳しい知識と、あらゆる場面で使える実践的なフレーズを学び、準備を万全に整えましょう。この記事を読み終える頃には、ホテルのチェックインはもう怖くありません。旅の始まりを、最高の笑顔でスタートさせましょう。
1. これで完璧!チェックイン前に必ず揃えたい3つの持ち物
スムーズなチェックインは、事前の準備が9割です。パスポートや予約確認書は、スーツケースの奥ではなく、すぐに取り出せる手荷物に入れておくのが鉄則です。フロントで慌てないために、以下の3つは必ず手元に用意しておきましょう。
1-1. パスポート (Passport)
海外において、パスポートは唯一の公的な身分証明書です。多くの国では、法律によりホテルが外国人の宿泊者のパスポート情報を記録することが義務付けられています。日本の運転免許証やマイナンバーカードは身分証明書として通用しないので、必ずパスポートを提示できるようにしておきましょう。
出発前には、パスポートの有効期限が滞在期間をカバーしているか必ず確認してください。国によっては、入国時に「滞在日数+6ヶ月以上」などの有効期間の残存を求められる場合もあります。また、万が一の紛失に備え、顔写真のページをコピーしたものや、スマホで撮影したデータを保存しておくと非常に安心です。
1-2. 予約確認書 (Booking Confirmation / Reservation Confirmation)
予約サイトから送られてきた予約確認メールや、印刷した確認書を用意しましょう。予約確認書には、あなたの名前、チェックイン・チェックアウト日、部屋のタイプ(例:Double room, Ocean view)など、重要な情報が記載されています。提示を求められた際に、内容に間違いがないか自分でも再確認できます。
万が一、スマホの充電が切れたり、Wi-Fiが繋がらなかったりする事態に備えて、印刷したものとスマホ画面の両方があると完璧です。
ここで少し豆知識です。予約確認書には支払い状況によって呼び名が違うことがあります。
- Voucher (バウチャー): 旅行代理店などを通じて、すでに支払いが完了していることを示す証明書です。「料金支払い済み券」といった意味合いが強いです。
- Confirmation (コンファメーション): 予約は確定しているものの、支払いは現地で行う場合が主です。あくまで「予約の確認書」です。
どちらか分からなくても問題ありませんが、知っておくとスマートです。
1-3. クレジットカード (Credit Card)
宿泊費の支払いだけでなく、後述する「デポジット」のために、クレジットカードはほぼ必須のアイテムです。海外では現金よりもカードが主流の場面が多く、信頼性の証にもなります。
海外旅行に行く際は、有効期限や利用可能額を事前に確認しておきましょう。また、不正利用防止のために、カード会社によっては海外での高額利用にロックがかかることがあります。出発前にカード会社に連絡し、旅行期間と渡航先を伝えておくと、より安心して利用できます。付帯している海外旅行保険の内容を確認しておくのもおすすめです。
2. 最重要キーワード「デポジット」を徹底解説
日本のホテルではあまり馴染みがありませんが、海外のホテルではほぼ確実に求められるのが「デポジット(Deposit)」です。これは「保証金」のことで、チェックイン時にホテル側が宿泊客に請求するものです。
なぜデポジットが必要なのでしょうか?
これは、宿泊中に発生する可能性のある追加料金(Incidental charges)を担保するためです。
- 部屋のミニバーや有料チャンネルの利用
- レストランやバーでの飲食代を部屋につけた場合 (charge to the room)
- 部屋の備品を誤って壊してしまった場合の弁償費用
- ルームサービスの利用料金
デポジットの金額はホテルや滞在日数によって様々ですが、1泊あたり50ドル~100ドル、あるいは滞在期間全体で一定額が設定されていることが多いです。もちろん、何も問題なくチェックアウトすれば、このデポジットは全額返金(または請求キャンセル)されますのでご安心ください。
デポジットの支払い方法: 一時請求 vs. プリオーソライゼーション
デポジットの処理方法は、主に2種類あります。この違いを理解しておくと、後でカード明細を見たときに混乱せずに済みます。
- カードへの一時的な請求 (Temporary Charge)一度クレジットカードにデポジット額が請求されます。カードの利用通知が届くこともあるでしょう。チェックアウト後、問題がなければホテル側がこの請求を取り消し、後日カード会社から返金されます。返金タイミングはカード会社によって異なります。
- プリオーソライゼーション (Pre-authorization)「与信枠の確保」とも呼ばれます。実際に請求はされませんが、デポジット額分のクレジットカードの利用可能枠(与信枠)が一時的に凍結(確保)されます。例えば、利用可能額が50万円のカードで5千円のプリオーソライゼーションが行われると、その時点での利用可能額は49万5千円になります。請求はされないので利用明細には載ってきませんが、使える金額は減っている、という状態です。こちらも、チェックアウト後に枠の確保が解除(リリース)されます。
フロントでは、以下のように説明されることがあります。
- We need to take a security deposit of $50.(保証金として50ドルをお預かりします。)
- This is just a temporary hold on your card. It will be released after you check out.(これはお客様のカードの一時的な確保です。チェックアウト後に解除されます。)
“Deposit”, “Hold”, “Release” といった単語が聞こえたら、デポジットの話だな、と理解しましょう。
3. これで完璧!チェックイン英会話ステップ・バイ・ステップ
さあ、いよいよフロントでの実践です。以下の流れとフレーズを覚えておけば、スムーズにやりとりができます。焦らず、一つひとつ丁寧に進めましょう。
Step 1: 挨拶とチェックインの意思を伝える
まずは笑顔で挨拶しましょう。これがコミュニケーションの第一歩です。
- Hi, I’d like to check in.(こんにちは、チェックインをお願いします。)
予約があることを伝える場合は、以下のように言うとより丁寧で分かりやすいです。
- Hello, I have a reservation under the name of Hanako Yamada.(こんにちは、山田花子の名前で予約しています。)
- Good afternoon. We have a reservation for two nights.(こんにちは。2泊で予約しています。)
Step 2: 名前の確認と書類の提示
名前を聞かれたら、フルネームをはっきりと伝えましょう。聞き取りにくい名前の場合は、スペルを伝える準備をしておくと親切です。
- (フロント) May I have your name, please?(お名前を伺ってもよろしいですか?)
- (あなた) It’s Hanako Yamada.(山田花子です。)
- (フロント) Could you spell that for me, please?(スペルを教えていただけますか?)
- (あなた) Sure. Y-A-M-A-D-A.(はい。Y-A-M-A-D-Aです。)
パスポートやクレジットカードの提示を求められたら、”Here you are.” や “Here you go.” と言って渡しましょう。
- (フロント) May I have your passport and a credit card, please?(パスポートとクレジットカードをお願いします。)
- (あなた) Of course, here you are.(もちろんです、どうぞ。)
Step 3: 宿泊カードへの記入
宿泊カード (Registration Form / Card) への記入を求められることがあります。住所(Address)、電話番号(Phone Number)、署名(Signature)などを落ち着いて記入しましょう。もし分からない項目があれば、遠慮なく質問してください。
- What should I write here?(ここには何を書けばいいですか?)
- What does “zip code” mean?(「zip code」とはどういう意味ですか?) ※郵便番号のことです。
- Should I write my address in Japan?(住所は日本のものを書けばいいですか?)
Step 4: 鍵と各種情報の受け取り
手続きが終わると、部屋のカードキーやホテルに関する様々な説明があります。一度にたくさんの情報を言われることが多いので、集中して聞きましょう。
- Your room is on the 10th floor. Here is your key card.(お部屋は10階です。こちらがカードキーです。)
- Breakfast is served from 7 to 10 a.m. at the restaurant on the first floor.(朝食は1階のレストランで、朝7時から10時までです。)
- The Wi-Fi password is GUEST1234. You can find it on this card.(Wi-FiのパスワードはGUEST1234です。このカードに書いてあります。)
- The gym and pool are on the second floor. They are open 24 hours.(ジムとプールは2階にございます。24時間ご利用いただけます。)
もし聞き取れなかった場合は、絶対に聞き返しましょう。聞き返すのは全く失礼なことではありません。後で困るよりずっと良いです。
- Sorry, could you say that again?(すみません、もう一度言っていただけますか?)
- Could you speak more slowly, please?(もう少しゆっくり話していただけますか?)
- Could you tell me the breakfast time again, please?(朝食の時間をもう一度教えていただけますか?)
- Where is the elevator?(エレベーターはどこですか?)
4. 知っておきたい「もしも」の時のトラブル対処法
準備を万全にしても、予期せぬトラブルは起こるものです。ここではよくある3つのケースについて、具体的なフレーズと共にその対処法を知っておきましょう。
ケース1: 飛行機の遅延などで到着が大幅に遅れる
これは最も注意すべきトラブルです。ホテルによっては、予約時に指定された時刻(例えば午後6時など)を過ぎても連絡がない場合、「無断キャンセル(No-show)」と見なされ、予約が自動的に取り消されてしまうことがあります。最悪の場合、ホテルに到着したのに部屋がない、という事態になりかねません。
飛行機の遅延や交通事情で到着が大幅に遅れることが分かった時点で、必ずホテルに連絡を入れましょう。電話が確実ですが、難しい場合はメールでも構いません。
- 電話で伝える場合:Hello, this is Hanako Yamada. I have a reservation for tonight.(もしもし、山田花子です。今夜の予約をしています。)I’m calling to let you know that my flight was delayed, so I will be arriving very late, maybe around midnight.(飛行機が遅れたため、到着が真夜中ごろと非常に遅くなることをお伝えしたくてお電話しました。)Please do not cancel my reservation.(予約をキャンセルしないでください。)
- メールで伝える場合:Subject: Late arrival notification – Hanako Yamada (Reservation #12345)件名: 到着遅延のお知らせ – 山田花子 (予約番号12345)Dear Sir/Madam,This is Hanako Yamada, and I have a reservation for tonight (Reservation #12345).Due to a flight delay, my arrival will be very late, around midnight.Please hold my room and do not cancel my reservation.Thank you for your understanding.Sincerely,Hanako Yamada
ケース2: 予約した部屋と違う、または部屋に問題がある
万が一、予約内容と違う場合や、部屋に清掃不備や故障があった場合は、落ち着いてフロントに伝えましょう。我慢する必要はありません。
- 予約と違う場合:
- Excuse me, I believe I booked a room with an ocean view, but this is a city view room.(すみません、オーシャンビューの部屋を予約したはずなのですが、こちらはシティビューの部屋です。)
- 部屋に問題がある場合:
- I’m sorry, but this room has not been cleaned yet.(すみませんが、この部屋はまだ清掃が終わっていないようです。)
- The air conditioner in my room is not working. Could you please send someone to fix it?(部屋のエアコンが動きません。誰か修理の方をお願いできますか?)
ケース3: カードキーが作動しない
部屋の前まで来て、カードキーが反応しない、というのもよくあるトラブルです。
- Excuse me, my key card doesn’t seem to work. I can’t get into my room.(すみません、カードキーが作動しないようです。部屋に入れません。)
- Could you please check my key card?(カードキーを確認していただけますか?)
まとめ

海外ホテルのチェックインは、少しの知識と準備があれば、決して難しいものではありません。むしろ、旅の始まりの楽しいイベントの一つです。
- 事前の準備(パスポート、予約確認書、クレジットカード)を万全にする。
- 「デポジット」の仕組みを理解しておく。
- 基本的な英会話フレーズを覚えておく。
- 聞き取れなかったり、困ったりした時は、勇気を出して質問する。
- 到着が遅れる時は、必ず連絡する。
これらのポイントを押さえておけば、自信を持ってチェックインに臨むことができます。スマートなチェックインで、最高の海外旅行をスタートさせてくださいね。Have a wonderful trip!

英会話カーディム講師。元外資系エンジニアでMBA保持者。海外留学なしに国内で独学にて英語を習得。ラテン語や印欧語、英語史の知識を持ち、英文法を含めた英語体系に詳しい。英語オタクで出版された英和辞典や英文法書は絶版も含めて殆ど持っている。
★ このブログの運営は、初心者専門英会話カーディム が行っています。★