「この本、面白いよ!」「あのお笑い芸人、面白いよね」「昨日のパーティー、すごく面白かった!」
日本語の「面白い」は、本当に便利で色々な場面で使える魔法のような言葉です。しかし、これを英語にしようとすると、「あれ、どの単語を使えばいいんだろう?」と手が止まってしまった経験はありませんか?
それもそのはず、日本語の「面白い」が持つ広い意味は、英語では主に3つの単語、interesting
、funny
、fun
に分かれているのです。
まずは、こちらの動画で3つの単語の基本的な違いをサクッと確認してみてください。
動画で基本のイメージを掴んだら、この記事でさらに一歩進んだ理解を目指しましょう。それぞれの単語が持つ細かなニュアンスや使い方を、豊富な例文と共にじっくりと解説していきます。この記事を読み終える頃には、あなたの英語表現がより豊かで、より正確になっているはずです。
なぜ日本人は「面白い」の英語に迷うのか?
本題に入る前に、なぜ私たちがこれほどまでに interesting
, funny
, fun
の使い分けに迷うのかを考えてみましょう。理由はシンプルで、先ほども触れたように、日本語の「面白い」という一言が、英語では複数の状況や感情を表すからです。
- 知的好奇心を刺激される「面白い」(例:歴史の本、科学のニュース)
- 思わず笑ってしまう「面白い」(例:コメディ映画、友人のジョーク)
- 体験して「楽しい」と感じる「面白い」(例:友人との旅行、趣味の時間)
これらすべてを日本語では「面白い」と表現できます。一つの言葉が複数の意味合いを持つのは日本語ではよくあることですが(例えば「甘い」は味覚だけでなく、考え方の未熟さも指しますね)、英語では、この3つの「面白い」を、それぞれ異なる単語で表現する必要があるのです。この感覚の違いが、混乱の元となっているのですね。
でも、安心してください。この違いを理解することは、英語の感覚を身につけるための自然で、とても大切なステップです。一つずつ丁寧に見ていきましょう。
1. interesting – 知的好奇心をくすぐる「面白い」
interesting
の中心的な意味は「興味深い」です。何かがあなたの知的な好奇心を刺激し、「へぇ、もっと知りたいな」「どうしてだろう?」と考えさせられるような時に使います。喜びや笑いよりも、脳が活性化するような知的な関心に焦点を当てた単語です。
interesting が使われる場面
- 未知の知識や情報を得た時(例:ドキュメンタリー番組、専門家の話)
- 複雑な問題や仕組みに触れた時(例:経済の仕組み、プログラミング)
- 珍しいものや意外な事実を知った時(例:珍しい昆虫、歴史の裏話)
- 人の意見や考え方に触れた時(例:議論、インタビュー記事)
interesting の例文
- This is one of the most interesting books I’ve read this year.
- これは今年読んだ中で最も興味深い本の一つです。
- His theory about the universe is truly interesting.
- 彼の宇宙に関する理論は、実に興味深いものです。
- I find quantum physics very interesting, although it’s difficult to understand.
- 量子物理学は理解するのが難しいですが、とても興味深いと思います。
- It’s interesting that he didn’t even say hello when he passed by.
- 彼が通りすがりに挨拶さえしなかったのは、興味深いですね。(少し変だ、不思議だ、というニュアンス)
ポイント:「面白い」がポジティブな意味だけではない場合
interesting
は、必ずしも「楽しい」や「嬉しい」といったポジティブな感情を伴うわけではありません。例えば、難解な問題や、少し厄介な状況に対しても使うことができます。
- That’s an interesting problem. We need to think about how to solve it.
- それは興味深い問題ですね。どうやって解決するか考える必要があります。
- Her reaction was… interesting. I didn’t expect her to say that.
- 彼女の反応は…興味深いものでした。彼女がそんなことを言うとは思ってもみませんでした。
さらに、会話の中では interesting
が、遠回しな表現として使われることもあります。例えば、人の意見に直接反対したくない時に、「うーん、なるほどね」というニュアンスで “That’s an interesting point of view.” と言うことがあります。これは「あなたの意見は変わっていて興味深いですね(でも私は同意しません)」という含みを持つ、少し大人な使い方です。
このように、interesting
は「興味を引く」という点に重きを置いた、少し客観的で知的な「面白い」だと覚えておきましょう。
2. funny – 笑いを誘う、または「奇妙な」面白さ
funny
は少し注意が必要な、二つの顔を持つ単語です。一つは皆がよく知る「笑える」面白さ、もう一つは「奇妙な」面白さです。この二つの意味をしっかり区別できると、表現の幅がぐっと広がります。
funny の意味1:ユーモラスでおかしい(Funny Haha)
こちらはジョークやコメディ、面白い失敗談など、思わず声に出して「ハハハ」と笑ってしまうような状況で使います。身体的な反応として「笑い」が伴うのが特徴です。
例文
- That comedian is very funny. I couldn’t stop laughing.
- あのお笑い芸人はとても面白い。笑いが止まりませんでした。
- She told us a funny story about her cat trying to catch its own tail.
- 彼女は、自分のしっぽを捕まえようとする飼い猫についての面白い話をしてくれました。
- It’s not funny! Don’t laugh. He might be hurt.
- 面白くない!笑わないで。彼、怪我をしたかもしれないよ。
- The way the little puppy slipped on the floor was so funny.
- 小さな子犬が床で滑った様子は、とても面白かったです。
funny の意味2:奇妙な、変な(Funny Strange)
もう一つの意味が「奇妙な」「普通ではない」です。何かいつもと違う、少しおかしいな、と感じる時に使います。これは笑いを誘うものではなく、困惑や不思議な気持ちを表します。「あれ?」と首をかしげるような感覚です。
例文
- My car is making a funny noise again. I should take it to a mechanic.
- また車が変な音を立てているんです。修理工場に持っていかないと。
- This milk tastes a bit funny. I think it’s gone bad.
- この牛乳、少し変な味がする。たぶん腐ってしまったんだと思う。
- A funny thing happened to me on the way here; I saw a man walking his pet pig.
- ここに来る途中で、奇妙なことがあったんです。ペットの豚を散歩させている男性を見ました。
- He had a funny feeling that he was being watched.
- 彼は誰かに見られているような、奇妙な感じがしました。
どうやって見分けるの?
「笑える」と「奇妙な」、この二つの意味は文脈で判断するのが基本です。話している人の声のトーンや表情も大きなヒントになります。楽しそうに言えば「ユーモラス」、心配そうにや真顔で言えば「奇妙」な意味になります。
ネイティブスピーカーでさえ、どちらの意味か分かりにくい時は “Funny haha, or funny strange?”(笑える方の面白い?それとも奇妙な方の面白い?)と聞き返すことがあるほどです。
以下の例で違いを感じてみてください。
- A clown’s job is to be funny. (ピエロの仕事は人を笑わせることだ) → ユーモラス
- I feel funny today, maybe I’m catching a cold. (今日は気分が変だ、風邪をひいたのかもしれない) → 奇妙・体調が悪い
まずは funny
には二つの意味があることをしっかり認識し、会話の流れや状況に注意する癖をつけましょう。
3. fun – 体験して「楽しい!」と感じる面白さ
fun
は、活動や経験を通して感じる「楽しさ」や「喜び」を表す単語です。interesting
のような知的な興奮や、funny
のような笑いとは少し違い、心がわくわくするような、参加型のポジティブな感情が中心です。
fun の重要なポイント
fun
は「笑い」を必ずしも必要としません。静かな活動でも、心が満たされて「楽しいな」と感じれば、それは fun
です。例えば、一人で没頭する読書やガーデニング、友人との穏やかなお茶の時間、新しいスキルを学ぶことなども fun
になり得ます。重要なのは、その経験自体がポジティブで心地よいということです。
fun の使い方:名詞 vs. 形容詞
fun
は名詞としても形容詞としても使われる、少し特別な単語です。この両方の使い方をマスターすると、とても自然な英語に聞こえます。
名詞としての fun
「楽しさ」そのものを表します。”have fun” (楽しむ) 、 “a lot of fun” (とても楽しい) 、 “for fun” (楽しみのために) といった形でよく使われます。
- We had a lot of fun at the party yesterday.
- 昨日のパーティーはとても楽しかったです。
- “Have fun on your trip!” “Thanks, I will!”
- 「旅行、楽しんできてね!」「ありがとう、そうするよ!」
- He plays the guitar just for fun, not professionally.
- 彼はただ楽しむためにギターを弾いています。プロとしてではありません。
- The event was full of fun and games for the whole family.
- そのイベントは家族みんなが楽しめるゲームや楽しさでいっぱいでした。
形容詞としての fun
「楽しい〜」と、人や物、出来事を直接説明する時に使います。口語的でとても自然な表現なので、ぜひ使えるようになりましょう。
- She is a fun person to be with. She always has great ideas.
- 彼女は一緒にいて楽しい人です。いつも素敵なアイデアを持っています。
- Skiing is a fun winter sport.
- スキーは楽しい冬のスポーツです。
- It was a fun evening, chatting with old friends.
- 旧友たちとおしゃべりして、楽しい夜でした。
- We played a fun board game last night.
- 昨晩、私たちは楽しいボードゲームをしました。
fun
は、個人的で主観的な「楽しさ」を表す、温かい気持ちの「面白い」と覚えておきましょう。
まとめ:一目でわかる!interesting vs. funny vs. fun
最後に、3つの単語の違いを簡単な表にまとめました。迷った時は、この表を思い出してみてください。
単語 | 中核となる意味 | どんな反応? | 主な質問 |
interesting | 興味深い、好奇心をそそる | 「へぇ、もっと知りたい」 | それは私に考えさせるか? |
funny | おかしい、ユーモラスな / 奇妙な、変な | 「アハハと笑える」 / 「あれ?変だな」 | それは私を笑わせるか?/奇妙か? |
fun | 楽しい、喜び | 「わーい!楽しい!」 | それは心地よい経験か? |
簡単な見分け方のヒント
- 頭を刺激する なら(例:博物館に行く) →
interesting
- お腹を抱えて笑う なら(例:漫才を見る) →
funny
- 心がハッピーになる なら(例:友達と遊園地に行く) →
fun
この3つは重なることもあります。例えば、fun
なボードゲームのルールがとても interesting
だったり、fun
なパーティーで誰かが funny
なジョークを言ったり。でも、まずは核となる意味をしっかり掴むことが大切です。
英語の「面白い」を使い分ける旅、いかがでしたでしょうか。最初は少し難しく感じるかもしれませんが、映画を見たり、本を読んだり、人との会話の中で「今のはどの『面白い』かな?」と意識して考えてみることで、それぞれの単語が持つ感覚が自然と身についていきます。
一番大切なのは、間違いを恐れずに、どんどん英語で自分の気持ちを表現してみることです。このブログが、あなたの英語学習の「面白い」きっかけになれば、とても嬉しく思います。

英会話カーディム講師。元外資系エンジニアでMBA保持者。海外留学なしに国内で独学にて英語を習得。ラテン語や印欧語、英語史の知識を持ち、英文法を含めた英語体系に詳しい。英語オタクで出版された英和辞典や英文法書は絶版も含めて殆ど持っている。
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